Refuse to fail 5
保健室についた俺たちは、扉の前で息を整えていた。
この扉の先にある砂時計に何か隠されているかもしれない。興奮していた俺たちは息が完全に整う前に扉を開けようと手を掛けた。その瞬間、俺の肩に誰かが手を置き、話しかけてきた。
「はぁ......はぁ......君たちね、廊下を......走ったら危ないだろ」
そのかすれた声と肩に置かれた手の主は過呼吸手前の波中せんせーだった。
「うわぁぁぁぁぁ波中せんせ!? なんでここにいるんすか!?」
セミは直前まで息を整えていたのが嘘のように、絶叫した。
「さっき保健室の......砂時計がなんとかって言ってるのがね......聞こえたから......好奇心が抑えられなくて......じゃなくて心配でついてきたんだよ」
「そうだぞ、少人数なら何か起こったときに対処がしづらい。動くなら固まっていくべきだ」
なおも息を切らし続けている波中せんせーの後ろから、平坂部長と息を切らしている名前は知らない先生が歩いてきた。
「それは......すみません。興奮しすぎました」
「......」
「......? おい、セミも謝まっとけ......ってあれ? あいつは?」
俺の横で呼吸を整えていたはずのセミがいつの間にかいなくなっていた。そして保健室の扉が開いていた。
中を除くとセミが目的の砂時計を手に持ってこっちに走ってきていた。
「おい! 見ろよ! この砂時計動いてなっ」
セミは俺たちの方を見ながら走っていたためか、途中で滑って見事に体が90度回転していた。
そして手に持っていた砂時計は床に落ち、ガラスにひびが入った。
その瞬間、俺の視界は真っ暗になり、意識も飛んでしまった。
そして俺が意識を取り戻し、目を開けると、視界には懐かしさを感じる斜めに立てかけられたホワイトボードと、張り付けられたいろんな色の磁石、そして少し埃のかぶったカラーコーンやサッカーボールが映っていた。
ここは、三中サッカー部の部室だった。
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