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二者面談

街に戻ってきて1ヶ月。

訓練が続く中で僕は一人一人と話をする機会を作っていた。

隙間の時間で行うため、全員分終わらせる頃には2ヶ月くらいかかるだろうか。

メインは魔法を扱う中で不安なことがないかということだけど、僕自身みんなと個人的な話をすることが少なかったため、みんなのことを知りたいと思ったからだ。

「そういえば、エートの故郷はどこにあるの?」

隣を歩くエートは、水の入った水筒から口を離してこちらを見る。

「僕の故郷はアルシオン。

そこまで大きくはないけど、農業を行っている村では有名な方だよ。」

農業か………魔法というのはその人が生まれた環境や人生によって姿を変えるという場合もあるけど、エートの土の魔法はそこから関係しているのかもしれない。

「ここで魔法を学んでいる理由は、将来村で働くためなの?」

「うん。うちの両親は優しい人たちでさ、無理に泥臭い仕事なんてやらなくていいって言ってるんだけど、僕はあの村も家も好きだし、やっぱりずっと暮らしていたいって思いが強いんだ。

1年に2、3回はアルシオンに戻ったりもしてて、その度に向こうの手伝いもするんだけどみんなにすごい喜んでもらえるんだ。

やっぱり、自分が楽しいと思える人生を歩みたいからさ。」

いつものように細い目で笑みを浮かべた彼に、僕は問いかける。

正直、僕にとって嬉しくない回答が返ってくる可能性も秘めている。

それでも聞かなければならない。

「今、僕が教えてるような魔法を学ぶことは楽しいと思える人生に繋がってると思う?」

その問いに少し驚きながらも、彼はキッパリと答える。

「どれだけ楽しい人生を目指していても、死んじゃったら意味がないからね。

生きるための魔法としても、純粋に魔法の技術を高めるためとしても、今の勉強は僕にとって価値あるものだよ。」

優しく結ばれた口元を見て、僕も頬を緩める。

「あ、そうだ。」

しばらく歩いたところで、エートが近づいてきて小さな声でゴニョゴニョと呟く。

「な、なるほど…?

少しはセルジュとも距離が近づいてきたし、聞いてみるのもありかなぁ………」

「やっぱり人間関係を深めるためにはこういう話も大事だよ。」

そんなこんなで、僕たちはその日の行程を終えた。




「こんなことやる必要なんてねーよ。」

大きなあくびをしながら部屋から出てきたセルジュを連れて、僕たちは寮を出ていく。

いまだに当たりは強いものの、僕たちは普通くらいには話をするようになっている。

いつの間にかの出来事で、時間が解決してくれるというのは本当なのかもしれない。

「それで、何か困っていることとかはない?」

「無いに決まってんだろ?そもそも、そんなのお前の力なんて借りずに一人で解決してやるよ。」

「正直、僕には困っていることというか知りたいことがあって………」

「ん?なんだ?」

「僕がこの学校に来た時、セルジュは僕に対して嫌な雰囲気をビンビンに出してたでしょ?

なんでそれがなくなったのかな〜って。」

「別に理由なんてねぇよ。」

こちらを見ることもなく、セルジュは答える。

しかし、口調こそめんどくさそうにしているが、その横顔は真剣さを感じさせる。

「本当に理由はない?」

「ない。」

「本当に?」

「ないって言ってんだろ。」

こちらを睨みつけてきたその目を、真っ直ぐに見つめ返す。

「な、なんだよ。」

一歩引き下がりつつも、彼は目を離さない。

「ルーベルナさんから聞いたんだ。

セルジュとクレムが持っている呪いについて。」

“呪い“という単語が出た瞬間、セルジュの表情が強張る。

「それを知ってどうすんだよ。

呪いはどうやっても消えることはない。俺とあいつが魔力を持っている限りな。」

やっぱりそこか………

攻略の糸口を見つけた僕は、すぐにその話題で話を始める。

「できるだけでいいんだ。

セルジュの過去や呪いについて教えてほしい。

ルーベルナさんから聞いただけじゃ情報不足なんだ。」

その瞳を真っ直ぐに見つめる僕を、彼も真っ直ぐに見つめ返す。

僕が思っている通りならば……………

「はぁ……わかったよ。教えてやる。」

観念したように両手をあげ、セルジュは空を見上げて語り始める。



「俺がクレムと出会ったのは、5歳の時だった。

今となっちゃ記憶はほとんどないが、俺は両親に捨てられて彷徨い歩き、森の中にあったクレムの家にたどり着いた。

そして、クレムの家に迎え入れられた。

こっからはちゃんと記憶がある。

クレムの親は父親がすでに死んでいて、母親とクレムの二人暮らしだった。

厳しい環境の中で、あいつは魔法の練習をしていたんだ。今も使っている通り、水の魔法だ。

俺はクレムが頑張っている姿を見て、自分も何かできるようになりたいと思った。

でも、あいつの母親は俺たちが一緒に食料をとりにいくのを可としなかった。

しかし偶然にも、俺も魔法が使えた。

それからはクレムに魔法を教わりながら、毎日のように特訓したさ。

少しでも自分を助けてくれた人に恩返しがしたい一心でな。

それから少し時が経って、俺たちは学校に入った。

魔法学科に入ることは猛反発されたが、その反対を押し切って俺たちはここに入ってきた。

ここ最近は全く会ってないからな。

今も元気にしてるといいんだが………」

悲しい目をしながらセルジュは目線を下げる。

いつも強気な彼だが、実際はその顔の裏に優しさを持っている。

こうして過去の話をしている間も、クレムとその母のことを心の底から考えているのだと伝わってくる。

「知ってんだろ、俺の持っている呪いのこと。」

こちらを見て問いかけてくるセルジュに、頷きで答える。

「俺の呪い………自分の愛した相手の代わりに死ぬってやつ。

昔その呪いについて教えてくれた神父は、“悲涙の呪い”って言ってたけどな。

ほんと、意味わかんねぇもんだ。」

苦笑する彼に、

「セルジュはクレムのことが好きなんだろ?」と聞いてみる。

「まぁn………ちげえよ!」

やっぱり好きらしい。

「セルジュはきっと、僕なら呪いをなんとかできるんじゃないかと考えたのかもしれない。

けど、今の僕にはその解決方法はわからない。」

正直に打ち明けた僕に、赤い顔を見せないためか顔を合わせないようにしていたセルジュがわかってるよと返す。

「でも大丈夫だ。

クレムもセルジュも絶対守る。

僕がいなくなった後も、二人がしっかり生きていけるようにするさ。」

………………

少しの間静寂がすぎ、セルジュが口を開く。

「なぁ、生きていく上で大切なことってなんだ?」

急な問いに、僕は少し悩んで答える。

「一度転んでも、もう一度立ち上がること、じゃないかな。」

「そうか………」

短く答え、何か考え込み始めたため立ち去ろうとする僕に、彼は大声で言葉を放つ。

「お前の力なんて借りねぇよ!自分で何度だって立ち上がってやらぁ!」

その声に振り返ると、ニッと口角を上げる彼の顔が視界に映る。

セルジュなら、本当にやってのけるかもしれない。

そんなことを思いながら、僕はその場から離れるのだった。

こんばんは。羽鳥雪です!

今年も今日で終わりになりました。

原稿を失ったり原稿を失ったり原稿を失ったりとなんとも大変な最近でしたが、来年も気張っていきたいと思いますのでどうぞ応援よろしくお願いいたします!

それでは、良いお年をお迎えください!

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