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新たな時代と学校

あ、街があった。

ルーベルナさんとセルフィスさんは僕に魔力を渡した後天界に行ってしまったので、僕は1人で空を飛んで街を探していた。地上にいるよりは、天界にいた方が安全だと考えたからだ。

それと、前の時代ではダメと言われたらしいが、この時代では本来存在する時間が違う神が天界へ入ることが許可されているらしい。

天界にも制度の更新なんていうものがあるのかなんて思いつつも、あの呪いがある以上、できる限りリスクは減らさなければならない。

ここはその恩恵を受けようということで2人とロックを送り出し、僕は数時間で見つけ出したその街の人気がない場所に降り立ち、歩き出す。

大きな通りに出たところで、

「おいお前!何をしている!」と声が響く。

なんだろう。喧嘩かな?

周りを見渡してみると、僕の方に一直線に進んでくる兵士が1人。

え、僕?

「おいお前、年はいくつだ!」

「えっと………6歳、ですけど…………」

グイグイ距離を詰めてくる兵士に気圧されながらも、僕は答える。

「だったらなぜ学校に行っていない!

いや…わかったぞ?脱走だな?」

学校………?確かルーベルナさんが言うには1万年前には学校というところがあったみたいな話をしていたけど………その“学校“?

「連れ戻してやるから来い!」

強引に引っ張られ、僕は引きずられていく。


拝啓、ルーベルナさんとセルフィスさん。僕は学校生活を送るしかないようです。

などと言いつつも、心のどこかで新たな体験を喜んでいる自分がいた。




「ふむ…遠くから来たからこの街について何もわからない、と?」

「そういうことです……」

学校の入り口付近に立っていた人に引き渡されてl僕が答えると、少し年配の男性は怪訝そうな顔をしながらも僕を学校内へと入れた。

こんなにあっさりと入れていいのだろうか?そんなことを思いつつも、僕は学校に入ることになった。


「大体の事情も言葉が十分話せるというのもわかった。文字は読めるか?」

またまた他の人に引き渡され、広い部屋の中で僕の向かいに座ったその人は聞いてくる。

「文字を読むのもできると思います。」

「そうか、ならばこれに触れてみろ。」

そう言ったその人に、綺麗な水晶玉を渡される。

「これを持って集中すれば、魔力があるならば水晶が反応する。やってみたまえ。」

手に取ったそれを持ち、僕は少し力を込める。

すると、その水晶は光ったかと思った直後パリンと割れた。

や、やばい。割っちゃった!

どどどどうしよう!?弁償!?

いや、ていうか僕お金とか持ってないじゃん!

神程術式でルーベルナさんを呼ぶ……?

でも天界でなんか大切なことしてたら大迷惑だし………

「おい、君。」

「ひゃい!」

思わず立ち上がった僕と同じタイミングで、その人も荒々しく立ち上がる。

「すごいじゃないか!」「ごめんなさい!」

………………………………

「「え?」」

顔を上げた僕を見て、その男の人は笑う。

「まさかこの水晶をあそこまで輝かせた挙句割れるまでしてしまうとは。君は才能の塊のようだな。」

ニッと笑みを浮かべ、

「遅くなったが、私の名はフロウ。この学校の校長をしている者だ。」と名乗る。

「あ、えっと、エール・メルぺディアです………」

僕の名前を聞いて、フロウさんは頷く。

「たとえ家出だとしてもなんだとしても、君は私の教え子だ。できる限りの力を貸そう。

ようこそ、我がフェルニッセル国立学校へ!」

差し出された手をとり、硬く握手を交わす。

「それで、さっき何について謝っていたんだ?」

そう言われて思い出し、僕は水晶を壊したことを再び謝罪する。

「あぁ、そんなこと気にするな。また買えばいいのだ。」

少しホッとしながらも本当にいいのかという思いを持っていると、大きな笑いを放ったフロウさんに連れられ、僕は自分の教室?とやらへと歩いていくのだった。





教室に入ると、5人の席に座っている人たちと1人の前に立っている男の人がいた。

「それじゃあ、モイトン先生、あとは頼みました。」

フロウさんは僕をモイトン先生と呼ばれた人に引き渡し、去っていく。

優しそうな先生に背中を押され、僕はみんなの前に立つ。

「またも急なことですが、今日から新入生が増えるみたいですね。

君、自己紹介を。」

と言われ、僕は一歩前へ出る。

最近はリュシアさんとルーベルナさんとセルフィスさん、ロックとしか話していなかったため、緊張しながらも口を開く。

「え、ええっと………エール・メルぺディアです。よろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げると、先生からの拍手が送られる。

「お前、何歳だ?」

遠方から放たれた、少し怒りを持っていそうな言葉。

そこを見ると、金髪の男の人がこちらを見ている。

「え、あっと、6歳です。」

そう答えた僕に、その人は

「たった6歳が魔法学科に入るだと?全く、この学校はどうかしたんじゃないのか?」と言って苦笑する。

「はいはい、あんたも同じくらいの歳から学校に通ってるんだから文句言わない。ごめんね、メルぺディア。

こいつはセルジュ。あ、私の名前はクレムね。よろしく。」

茶髪………とは言っても少し違う、栗色と言えば伝わりそうな髪色の女の人が、セルジュさんを止めながら自己紹介をしてくれる。

後の3人は、僕のことを黙って見ている………いや、観察していると言った方がいいだろうか。

「予備の机があってよかったです。

出してくるのでちょっと待っててください。」と言って、先生は廊下へ出ていく。

どうすればいいのか悩んでいると、

「ねぇ君、使える魔法の属性はなんなの?」と観察していたうちの1人が声をかけてくる。

目が細い、紺色の髪の男の人だ。

「属性……一応、僕が知っている限りの属性全部と、系統的に言うと時間魔法や空間魔法も使えます。」

そう答えると、セルジュさんが立ち上がる。

「はー馬鹿らしい。こんな子供の話なんて放っておいて俺はトイレに行ってくらぁ。」

そのまま廊下へと出ていく彼の背を呆れ顔で追っていたクレムさんが、あんたも14の子供でしょうに。と呟きながらこちらを見る。

「それにしても、6歳で魔法ならまだしも全属性って………俗に言う天才ってやつかしら?」

なんて言いながら僕を見る彼女から目を逸らしつつ周りの生徒を見ると、みんな同じ服を着ているのがわかる。

なんだろう。聞いてもいいのかな?いまいち空気感がわからない。

やっぱり大人数の人間関係って難しすぎ………

そう思っていたところに、

「お待たせしましたね。」と先生が姿を現す。

魔法で机を浮かし、手には透明な袋に入れられている服を持っている。みんなと同じものだ。

「学校からの贈り物です。

うちでは、入学する生徒全員に制服を配っていますので。」

明日から着てくださいと言われ、それを貰う。

「さぁ、メルぺディアくんの席はあそこです。座ってください。」

先生が運んできてくれた椅子に座り、前を向く。

「よろしく、メルぺディア。」

右の席に座ったクレムさんに言われ、僕も返事を返す。

「な、なんでお前がそこにいるんだよ!」

教室に戻ってきたセルジュさんの大声を聞きながら、僕はクレムさんとセルジュさんに挟まれた席で授業を受けるのだった。

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