屋根裏部屋
テーマ「屋根裏部屋」
《 お題 》
『庭』と『同僚』を使って140字SSを書きましょう!
【屋根裏部屋】
僕の家の屋根裏部屋は不思議なガラクタで一杯だ。
子供の頃遊んだ木馬がキイキイ揺れる。
オルゴールが思い出した様に歌いだす。
窓を見下ろす壁の肖像画がウインクして教えてくれる。
僕は窓辺から庭を見下ろす。
会社の同僚がこの家を見上げている。
小煩いお節介め!
僕は舌打ちをしてカーテンを引いた。
《 お題 》
〔悲鳴がきこえた〕です。
〔二人称(君、あなた等)の使用禁止〕かつ〔キーワード「体育館」必須〕で書いてみましょう。
【窓】
この屋根裏部屋の窓からは、広い世界が見渡せる。
毎朝家の前を通るあの少年は、明日からはもう学校へ行くこともない。
ほら、丘の上の体育館から悲鳴が聞こえただろう? 彼の断末魔だ。
試合に負けたのは彼のせいではないのに。
白い顔がガラスに映り、僕に囁きくすくすと嗤う。
外の世界は怖いね、と。
《 お題 》
『我慢したくない』を最初に使ってSSを書いてください。
【声】
「我慢したくないよね?」
それは誰かの声なのか、それとも廻るメリーゴーランドのオルゴール?
衣装箱の上に腰掛けて、僕は黴臭い本の頁を紐解いていく。
「我慢しなくていいんだよ」
ミシミシと響く天井。
「後何日?」
僕は声に問い掛けた。
さざ波のような嗤い声が空気を揺らす。
我慢なんかしていないさ。
《 お題 》
『花束を抱えて』をお題にして140文字SSを書いてください。
【花束】
きつい百合の芳香に、僕は開け放たれた窓から身を乗り出して覗き下ろした。
「君、お父さんはご在宅かな?」
僕に気付いた男が僕を仰ぎ見る。
ああ、あのお節介の同僚だ。
「お見舞い? 白百合を抱えて?」
可笑しくて堪らない。
あいつは僕が判らないんだ!
僕の笑い声に低い声が重なる。二重奏のように。
《 お題 》
『夜空』と『最後』を使って140字SSを書きましょう!
【最後の夜】
パトカーのヘッドライトが幾つも夜空に反射する。
僕は屋根裏の出窓に腰掛けて、慌ただしく動き廻る警官たちを眺めていた。にやにやと。伏せた顔から上目遣いに。
衣装箱から見事なまでに干からびた僕の骨が運び出されている。
「見ちゃいけない」
優しそうな刑事が僕の顔を覆う。
窓ガラスに映る顔が嗤う。
《 お題 》
『ただし、ご注意を。』をお題にして140文字SSを書いてください。
【報酬】
年老いた身体を捨て、この屋根裏部屋を捨てた。
若々しい体で僕は庭を駆け回る。
「ただし、ご注意を」
地面から声が響く。
「ちゃんと狩りをするんだよ」
僕はもう歳を取らない。死ぬ事もない。
その見返りに、あいつを影に潜ませてあいつの餌を狩らなきゃならない。
でも平気さ。
ほら餌の方からやって来た。




