美味い話 / 恋敵 / 出逢い / パノラマ模型 / 媚薬
《 お題 》
『どこにもいけない』を最初に使ってSSを書いてください。
【美味い話】
どこにもいけない…。
僕は掌の小銭をチャラリと鳴らす。小遣いも尽きた。
プ、プーと、クラクションに面を上げる。
見知った顔が笑っている。
「しけた面だな」助手席に乗り事情を話すと「バイトしないか」と誘われた。
外国へでも行けるという。
それがまさか、この世へ帰って来られないバイトだなんてね…
《 お題 》
『聞いたことある』を最初に使ってSSを書いてください。
【恋敵】
「聞いたことがある」
彼女が懸命に説明するそいつの名前に、俺はそっけない返答で素知らぬ振り。
それなら、と益々彼女の言葉に熱が籠る。
いいじゃないか、そんな奴。何がインターハイだよ。弓道なんてマイナー部で。
俺は流行りのバスケ部なのに!
あんな、今時黒髪の…
畜生、いい男だよ。俺から見ても!
《 お題 》
「深夜の橋の上」で登場人物が「待つ」、「靴」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【出逢い】
深夜の橋の上に立ち尽くし、ノートルダム寺院を見上げていた。
セーヌ川の辺をそぞろ歩く僕の眼前に突如現れたその美しい姿態。
僕は言葉を忘れて彼女の姿に見とれていた。
何故だろう?
この寺院は酷く女性的だ。
石橋に響く靴音が僕の意識を呼び戻す。
僕を待っていたかのように、影は僕を見て微笑んだ。
《 お題 》
『無限』と『欠片』を使って140字SSを書きましょう!
【パノラマ模型】
記憶の欠片を一つ一つピンセットで摘み、僕はパノラマ模型を作っている。
君に初めて出逢った公園。
待ち合わせのいつものカフェ。
この大通りはデートコース。
駅前を右に折れたら水族館だ。
ほら、走っちゃ駄目だ!
…小高い丘を置く。
白い花を植えていく。
一本づつ。
君の眠る墓地。
無限に広がる記憶の街。
《 お題 》
『笑ってくれる?』をお題にして140文字SSを書いてください。
【媚薬】
「笑ってくれる?」
バーで隣り合わせたその女は、肩を竦めて囁いた。
「私、人を殺した事があるの」
ほら、こんな風にして、と指に挟んだカクテルグラスに、白い粉をサラサラ入れた。
女の瞳が怪しく光る。
差し出されたグラスを一気に煽った。ゴクリと喉が鳴る。
「効くのよ、それ」女の腕が絡みつく。




