山奥の神社に棲むサラマンダーに出逢ったので、もう少し生きてみようかと決めた僕と彼の話
テーマに「サラマンダー」をいただきました。
《 お題 》
「夕方の神社」で登場人物が「くすぐる」、「トランプ」という単語を使ったお話を考えて下さい。
【始まり】
蝉の声が降り注ぐ夕方の神社の境内に、和らいだ木漏れ日とぼやけた影が、敷き詰められた玉砂利をくすぐる様に揺れている。
都会から逃げて来た僕は、未来を終わらせる為ここにいた。
社の縁の艶のない杉板の継ぎ目にトランプが一枚挟まっていた。僕の運命を見透かす様な、スペードのエースの札だった。
《 お題 》
『No thank you』をお題にして140文字SSを書いてください。
【出逢い】
ぼんやりと見つめていたトランプが、いきなりボッと燃え上がり消えた。
キキキッと金属の擦れ合う様な笑い声。
「契約しないか」
耳元で悪魔が囁いた。
「No thank you」
咄嗟に答えた僕の眼前を鬼火が踊る。
「じゃ、友達にならないか」
赤い羽赤い身体の小さな精霊。これが彼との出逢いだった。
《 お題 》
『口笛』と『肩』を使って140字SSを書きましょう!
【友達】
口笛を吹くと、耳元を切るような疾風が駆け抜けバサバサと羽音が覆う。
僕の肩に留まった彼が僕の髪を引っ張る。
「焦げてしまうよ」僕は頭を傾げたまま首を振る。
キキッと甲高い笑い声。
すっと肩が軽くなる。
羽を広げ空を旋回する炎の精霊。
赤く揺れる鬼火の様な彼がこの土地で初めて出来た友達だった。
《 お題 》
『ハズレだね』を最初に使ってSSを書いてください。
【孵化】
「ハズレだね」
僕は孵ったばかりの卵を覗き込み、溜息混じりに彼を振り返る。
ひゅんと、閃光が走る。
「そうでもないだろ」
ぽうっと青に照らされた殻の陰に、小さな渦が震えている。
僕たちが孵した風の精霊の卵。出てきたのは自慢にもならない吐息の様な小さな渦巻。
「餌次第さ」
キキッと彼の笑い声。
《 お題 》
『夢だけの世界』をお題にして140文字SSを書いてください。
【日常】
リアルに重なる夢だけの世界。
彼の好きなモスコミュールを窓辺に置いて、僕は今日も待っている。
ザザーと吹き込む風がカクテルを撒き散らす。ぽっ、ぽっと光る飛沫が焔に変わる。螺旋に渦巻き広がっていく金の焔。
風の精霊を首に背負い、ほら、今夜も彼がやって来た。
僕にしか見えない、僕だけの友達。
《 お題 》
〔わからずや〕です。
〔格言、名文の引用禁止〕かつ〔「赤」の描写必須〕で書いてみましょう。
【喧嘩】
初めて彼と喧嘩した。
理由は思い出せない程些細な事。
「わからずや!」
キンキンと高い声が僕を詰る。
燃え上がる赤い翼の輪郭が、怒りでぼんやり揺らいで見える。
赤から黄、青へと色を変える彼。
「綺麗だな」
怒りを忘れて見とれていると、
「そうだろ」
とくるりと宙返り。
ご機嫌は?
いいに決まっている。
続くかも?




