白昼夢 / 沈黙 / 運 / 疫神 / 旋律
《 お題 》
『太陽』と『白昼夢』を使って140字SSを書きましょう!
【白昼夢】
照りつける太陽に意識が白く霞む。ゆらゆらと揺れる視界に映るのは、遠い故郷の萌えいづる山々。爽やかな緑の風。花の香り。男を呼ぶ、高く甘い声。荒れ狂う嵐の後、一人生き延び放り出された。それは、染み一つない蒼穹と見渡す限り影一つない蒼い海原に漂う小舟の上、白い太陽が男に見せる最後の夢。
《 お題 》
〔重たい扉〕です。
〔直喩禁止〕かつ〔味の描写必須〕で書いてみましょう。
直喩が駄目なら暗喩で、と変なこだわりで。
【沈黙】
向かい合わせに夕食の席につく、僕たちの間には大きな重たい扉がある。昔は僕もこの扉を開けようと、押したり、引いたり叩いたり…。君は、視界に入れる事もなく黙々と食事を取っている。砂を噛む味気なさにも、もう慣れた。でも僕は未だに信じている。これは只の重たい扉で、いつか開く日が来る事を。
《 お題 》
『重なった偶然』をお題にして140文字SSを書いてください。
【運】
信号が赤に変わった。階段の途中で靴紐が解けた。降車する人がぶつかって鞄が落ちる。僕の鼻先で電車のドアが閉まる。閉められた校門の前で、僕は彼女と顔を見合わせた。苦笑いする彼女に、僕も微笑み返す。さあ、幸運の女神の前髪をしっかりと掴むんだ。重なった偶然を運命に変えるのは僕次第だから。
《 お題 》
『永遠を信じる』を最初に使ってSSを書いてください。
【疫神】
荘厳な扉が開かれる。輝く仮面舞踏会の夜の灯。色鮮やかな金、銀がくるりくるりと舞い踊る。闇色のマントを翻し仮面の男が闊歩する。次々と扉を開けて。永遠を信じて享楽のダンスに興じる彼らの間をぬうように。黒死病を引き連れて。仮面の下の髑髏が嗤う。カタカタと。死の舞踏を踊る。カラカラと。
(記憶の奥の方に残っていたポーの「赤死病の仮面」のイメージで)
《 お題 》
〔声にならない〕です。
〔オノマトペ禁止〕かつ〔キーワード「楽譜」必須〕で書いてみましょう。
【旋律】
漂うような、妙なる調べに涙が溢れた。星降る夜の不思議な旋律。声にならない感動を、逃さぬ内に急いで楽譜に書き起こす。途端に止まるその調べに、僕は息を潜めて手を止めた。気配を消して、祈りを込めて、ただ一心不乱に耳を澄ます。静寂に溶ける芳香。揺らめく細い吐息の様な、甘やかなセレナーデ。




