表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第4話 モブリオ様の大逆転 ~マイエンジェルよ永遠なれ~

 四度、俺がマイエンジェルに命を救われたことを、俺が生きているうちに知ることはなかった。

 俺はその日、マイエンジェルを貶めるやつらにケンカを売って、砂にされてそのままあの世行きになるはずだったらしい。

 マイエンジェルの様子がおかしかった時に、不用意に近づいて『災禍』とかいう呪いにかかってしまったらしいんだ。

 だが、あわやのところでマイエンジェルが災禍を封印、俺は四度目の死線から生還したのだと――


 だが。

 だが、マイエンジェル。


 その呪いは、俺がマイエンジェルのためになる死に方をする呪いだったそうだ。

 俺なんかの命を助けなければ。

 たったひとつのモブの命を犠牲にすれば。

 マイエンジェルは帝国の歴史に淫売の魔女だなんて、永遠の悪名を残さずに済んだんだ。

 それどころか、無辜(むこ)の民が犠牲になる内戦を阻止するための犠牲になった聖女様として、(まつ)られることになるはずだったんだ。

 俺は、それでもよかった。

 あんたが、泣かずに済むはずだったなら、俺は――



  **――*――**



 俺はついに、シナリオの呪いのすべてを突破した。

 俺はもちろん、シナリオのことなんて知らなかったが。

 何の罪も、存在感もないモブ一匹の息の根を止めるために、ここまですんのかってくらい、俺のここ三年間には死の罠が張り巡らされていたんだ。破滅エンドの落とし穴だらけだったんだ。

 なんてことだ、マイエンジェル。

 あんた、マジでスゲェよ。

 あんたがしてくれたことのすべてを知ったら、全世界のモブが泣くだろう。あんたはモブの女神様だ。

 なのに、マイエンジェルは世紀の悪女にされちまった。

 その他大勢(モブ)は、真実に辿り着いたりしないから、その他大勢(モブ)なんだ。


 だが、俺だけは。

 四度目の死線をくぐり抜けたこのモブリオ様だけは、真実に辿り着いた。


 マイエンジェルは誰よりも優しく可愛らしい聖女様だ。

 断じて、世の男という男を(とりこ)にし、世界を混沌に(おとしい)れる淫売の魔女なんかじゃないんだ!


 逃げるように天界に引き籠もられたマイエンジェルを追い、俺はアスタール邸の猫の世話係から昇格し、皇宮の猫の世話係となった。

 皇帝に大量の猫を飼う趣味なんてなかったが、マイエンジェルを慰めるため猫を飼うことを、――皇帝に直訴(じきそ)するのは怖かったので、例のクソガキに提案してみたら、クソガキもマイエンジェルを心配していたらしく、あっさり通った。ペットショップで買うのは駄目で、捨て猫を拾ってきて下さいと注文されたが、いいだろう、見直したぜクソガキ。



 こうして、俺の人生の大逆転が始まった。

 皇宮の侍女たちは、皇帝が集めた選りすぐりの美少女揃いなんだが。

 残念だったな皇帝陛下。

 三高がちやほやされる時代は終わったんだぜ?

 これからは三優の時代、そう、俺の時代だ。


 マイエンジェルを慰めるため、大量の猫を皇宮に持ち込んだ優しい俺。

 誰もが嫌がる猫どものクソとマーキングの始末をスマートにこなし、美少女揃いの侍女たちに極上キャットフードを差し出す優しい俺。

 俺自身は猫どもに格安キャットフードしかやらないと決めている。

 そうすることで、猫どもが美少女たちに、より必死に愛想を振りまいてエサをねだるようになるからな。

 我ながら策士だ、俺、頭良すぎじゃね?

 マイエンジェルはクソガキのものなのでフリーな俺。


 頼りになる三優にしてフリーな俺はモテた。皇帝よりモテた。

 俺の危機は主に皇太子のせいだったが、半分は第二皇子(現皇帝)のせいだったわけでな。

 メシウマだぜ!!


 ちょーしこいて絶世の美女クラスの女を相手に二股かけた皇帝は、今日も、自業自得すぎる地獄の修羅場に苦しんでいやがる。

 ざまぁ! ざまぁ! プークスクス!!



 俺は今日も美少女たちに囲まれてちやほやされながら、だが、二股かけたら皇帝の二の舞だろうかと、明日は我が身だろうかと、最近はふと、戦慄を覚えることがある。

 うぅむ、みんな優しくて可愛いんだが、どうしたものか――

★☆ あとがき ☆★


この物語は『悪役令嬢と十三霊の神々』の番外編です。


『第44話 悪役令嬢は初めての戦闘で無双する』に居合わせて、悪役令嬢にみとれてボケっとしていた『敵兵M』から見た『とある乙女ゲームの世界』はこんな。


『悪役令嬢と十三霊の神々』シリーズは徹底的にモブにスポットを当ててみたい、奇妙な野心作です。

本編では町人Sにスポットが当たりますが、スポットを当ててもらった町人Sだけが救われる物語ではなくて、より幅広いモブが救われ、しかも、誰も断罪されない物語。

そんな、奇跡のハッピーエンドを迎えるためにこそ、人間の限界を超えた転生チートが使われたらいい。


というわけで、次回作はほぼギャグだった本作とのギャップがすごい、『亡国の公子』から見たとある乙女ゲームの世界『シナリオが始まる前に滅んだ国の物語』です。

文章は童話調ですが、内容はとんでもなくシリアスで悲劇的です。(結末はバッドエンドとハッピーエンドに分岐します)


番外編を通して、『敵も味方も救いたい』悪役令嬢の思いを届けられれば幸いです(*´∇`*)



★☆ モブリオ君から ☆★


うおぉおお!

最高評価くれた人、ありがとう!!

作者に「モブリオ君を評価してもらってもなぁ」とか言われて、「面白かったらご評価お願いします」って書いてもらえなかったのに!(ノдT)

ひでぇ作者だよな! 俺をなんだと思ってるんだよ!

それでも評価してくれたあんたこそは神だ、ありがとう!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ