表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/168

第八十四話 宇佐山城の危機

 宗則は、覚恕から託された紹介状を握りしめ、心に重い責務を抱えながら信長軍との合流を急いでいた。野田城の戦いから撤退してきた信長とその軍勢が目の前に迫り、宗則の心に安堵と緊張が交錯した。


 信長を前にしたとき、宗則は深く一礼し、覚恕との会談内容を報告する決意を固めた。


「信長様、覚恕様との会談結果ですが、覚恕様は和平を望んでおります」


 信長の鋭い眼が宗則を捉え、その視線には冷静さと深い感情が宿っていた。


「ほう、それで覚恕はどう出るつもりだ?」


「覚恕様は御上の弟君として、国の安泰を心から願っております。信長様に和平を求めています」


「そうか……しかし、今は宇佐山の状況次第だ。来い、全軍を動かすぞ」


 宗則は信長と共に急ぎ宇佐山城へ向かった。その途中、聞こえてくる戦の喧騒が宗則の心に緊張と決意を呼び覚ます。


 宇佐山城に突入した信長軍は、今にも落城しそうな城内の闘気に包まれながら、浅井・朝倉勢と激突した。敵兵たちの絶叫と剣戟の音が響き渡る中、宗則は一瞬の躊躇もなく駆け込んだ。


 信長が剣を振り上げた瞬間、騎馬で突撃し、彼の声が怒りと共に響き渡った。


「全軍、儂に続け!浅井・朝倉勢を討ち取るのだ!」


 信長の突撃に続き、信長軍が一斉に動き出し、浅井・朝倉勢を駆逐していく。その光景はまさに戦場の修羅場であった。


城内に入った信長と宗則が目にしたのは、無念の中で倒れた森可成の亡骸であった。


「可成……」


 信長の眼に宿る悲しみと怒りが、一瞬の間に彼の心を彫り込んだ。信長の拳は激しく震え、その握り拳からは一滴の血が零れ落ちた。


「可成。長年支えてくれた…お前の無念に応えるために、立ちはだかる者は儂がこの手で全て討ち取ると誓おう」


 信長の叫びが兵たちの胸に響き、士気を一層高めた。


「浅井・朝倉勢を討ち滅ぼすのだ!」


「うおおぉぉぉぉおおおぉおおおおぉぉぉおぉ!!!!」


 その号令に呼応するように、信長軍の奮戦は続き、浅井・朝倉勢は比叡山へと撤退し、籠城を決意していた。


「明智光秀、佐久間信盛よ、比叡山を包囲せよ。覚恕のしたことを解くためにもな」


 宗則の心に湧く覚恕の言葉と紹介状の存在が、信長に訴えた。


「信長様、覚恕様からこの紹介状をいただきました。彼の和平の願いを信じていただければと…」


 信長の視線が紹介状に注がれ、その目が見開かれる。


「これは……宗則、お前は大和へ行け。この紹介状の意図を確かめて来い」


 信長の驚きと冷徹な指示に、宗則は深く一礼して答えた。


「ありがとうございます、信長様。必ずや果たしてまいります」


 その後、信長軍は比叡山の包囲を続ける。宗則は覚恕から託された紹介状を手にして、大和へと向かう決意を固めた。


「私の運命はここにある。共に新たな道を切り開こう」


 比叡山の包囲が続く中、宗則は大和への道を歩み始めた。その背には広がる比叡山の景色が、新たな試練と運命の道を照らしていた。



数ある作品の中から今話も閲覧してくださり、ありがとうございました。


気が向きましたらブックマークやイイネをお願いします。

また気に入ってくださいましたらこの後書きの下部にある⭐︎5の高評価を宜しくお願い致します。


執筆のモチベーションが大いに高まります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ