王子様
自室に入るや否や、「私は悪役令嬢じゃないわよー!!」と叫んだ。
何!?私は悪役令嬢だっだっけ!?自分でも疑うような扱いに口が塞がらなかった。
そう“悪役令嬢”自分の娘がたどるであろう未来の話。
思えば、ゲームの中の彼女はとても意地悪だった。もちろんヒロインをいじめる事が役割りではあるけれど、彼女は少しやり過ぎでは?と正直、思っていた。
そこまで考えて気づいたのだ。「そうだ!娘をあの性格にしなければいいのよ!!」
思い立ったら即実行を理念としていた前世の私。いまこそ発揮すべきでしょ!!
と言うわけでまずは、娘に会いに行くことにした。
私の部屋と同じぐらいの大きさの部屋でワーリスは寝ていた。
生まれた時から王家に嫁ぐことが決まっているからこれぐらいの扱いにはなるわよね。などと、勝手に納得していると、一人の侍女が近づいてきた。
とても不思議そうに私を見つめる。「奥様、どうかなさいましたか?」
どうやらこの世界では貴族は娘の世話には全く関わらないのが当たり前らしい。
まずはそこから改革だ。
私は「今日から娘の世話は自分でやるわ。でも、とても不慣れだからお手伝いして欲しいの。」そうお願いすると、メイドは不思議そうな顔をしていたが、お願いし続けることで渋々ではあったが受け入れてくれた。
そこからの毎日は忙しかった。
病弱設定ゆえに、公務などはそれほどないがとにかく育児が大変だった。
子供部屋に寝泊まりしようとするとベットから毛布を持ってくると、流石に止められたので、渋々自室へ退散。
しかし気になって寝むれない。仕方なく、ベットの上でゴロゴロしていると隣の部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。私は、靴も履かずに子供部屋へ駆け込んだ。
そんな日が続いき最初こそ驚いていただか、今ではすっかり慣れたようで、今ではスリッパやブランケットを用意してくれている。
本当に感謝だ。
月日は流れ、娘は5歳になった。今日はこの国の第一王子、つまり娘の婚約者との初対面の日だ。
相変わらず、私の周りに変化は無かったけど、お世話の甲斐あってか、娘は我儘では無く、誰に似たんだか、順調に人見知りを発揮していた。
そして私も、娘の初めてを一緒に見守れて、何がなんでもこの子を守らなくてはならないという想いがより強くなっていた。
そんな事を考えていると、王子様たちが待つ、お城へと到着した。
「お初にお目にかかります。ワーリス・チェリ・エリザベートでございます。」
この世界では階級の下の者が先に挨拶をするのが一般的だ。
「はじめまして。僕の名前はアラン・グリー・ブルームと言う。これからよろしくね。」
二人が挨拶を終えるとまだぎこちなかったが、二人でお茶をさせる事になった。
別室で待機する事になった私と旦那様。案の定重たい空気が流れる。
旦那様は早く帰宅したいようで時計をチラチラ、チラチラ見ていた。
一応、私あなたの妻ですけど!?こっちは無視かい!?と一応ツッコンでおくが、今更の事である。
各言う私も、さっきの王子様の態度が、引っかかっていた。
ゲームの王子の性格は横柄な俺様が鼻につくタイプだったはずだが、もしかしたら王様の手前猫を被っていたのかもしれない。
でも、もしかしたら、万が一にも、娘が我儘にはならなかったように、王子にも変化があったのもしれない、
そんな事を考えていると、お開きの時間になったようで、メイドさんが娘を連れてきてくれて、私たちは帰ることになった。
屋敷へ帰る馬車の中、娘は浮かない顔だった。
気になった私は部屋に娘を呼び出し、メイドに人払いをする様に頼んだ。
「チェリ、どうしたの浮かない顔をして。あんなに憧れていた王子様だったでしょう?どうだった?」
娘は少し躊躇いながら口を開くと「王子様は、本当は王子様じゃなかった」と泣き出した。
やはり、あれは表の顔、本来の王子は横柄で、今回のお茶会も二人っきりになるや否や人が変わったらしい。とうとう現実をみてしまった娘は沈んでいた。
どうすることも出来ず、泣き続ける我が子に一晩中寄り添って朝を迎えたのであった。




