92話 未来占い
次回でこの章は終わります!
今回は未来について占ってもらいます!
要するに次にすることの予告です。
俺はフィアナに案内されて小さなテントの中に入った。
信じはしないが今後について占ってもうためだ。
占い師は黒色の布を被って顔が見えないようにしており、口元は少し青に近い黒の布で覆っている。
まさに異世界らしい占い師だな。
「おやおや、ずいぶんと大所帯で」
それと何故か知らんけどフィアナを含めた全員が集ってる。
もちろん、王の護剣と使用人は居ない。
だが小さなテントなだけあって狭すぎる。
「占ってもらうのは俺なんだからお前らは外にいろ。暑苦しい」
「龍の未来、皆が気になってるから仕方がない」
「…お願いします」
シエラの言う通り、梃子でも動かなそうだし続行だ。
というか俺の場合は国家の行事としてやってもらった方が良くね?
「では未来占いを行います。文字通り、未来のみを占うものです。というよりかは予言に近いですね」
「予言?」
「私の占いはよく当たるので。…これから五枚の羊皮紙を机に起きます。そこに好きな順番にあなたの血を垂らしてください。血が嫌ならば魔力を注いでも結構です。しかし、不安定になります」
異世界らしい占いの仕方だな。
郷に入れば郷に従え、痛いけど血を垂らすか。
龍は渡されたナイフで人差し指を少し刺して血を垂らす。
右端、左端の横、真ん中、左端、右端の横の順に垂らした。
「ありがとうございます。それでは垂らした順番にめくります。それが起こる出来事の順です」
いや、もうそれって予言だよね?
起こる出来事の順って言ってるよ。
「まずは一枚目、『真実と対面する。困惑するが喜ぶがよい。だが伝えし者の望みにより歯車は異常をきたす』です。歯車は人を表しておりますが誰かはわかりません。あなたか身の回りの誰かです」
「真実って何でしょうね?」
「さあな。知らされてないことはあらかた知ったはずだぞ」
というか俺の望む真実って何だ?
この歯車は文章的に俺だな。
異常は多分、病気か何かだな。
「次に二枚目、『数多の祝い事有り。だが混乱も有る。混乱は二つの災禍を呼び、歯車が反転する。災禍は三つとなるが一つは見逃せ。二つを対処せよ。しかし、それは前兆なり』です」
遠回しの言い方だからわけがわからん。
黙って訊いておくか。
「次に三枚目、『二つの歯車は終わりを遂げる。止める方法は有る。心に問いかけろ。声に耳を傾けろ。だが、苦難は始まったばかり』です」
何かさっきから悪いことしか書かれてないよな?
俺の人生、ハードモードに突入してるじゃん。
人生はもとからハードモードか。
「次に四枚目、『悪魔の都に行くであろう。決して誰も信じるな。特にガーゴイルには。そして悪魔は大切なモノを奪う』、最後ですね」
ああ、何か急に不安が襲いきってきた。
…一応、念のために訊いておくか。
「この事が起こるんですよね?」
「先ほども言いましたがこれは起こる出来事です。起こることがわかっているのなら対処できます。運命を変えるのはあなた次第」
運命を変えるのは俺、次第か…。
怖がっていても仕方がない!
とりあえず今は何も考えるな!
「『悪意は笑みを浮かべた。もう、手遅れだ。間に合わない。大切な歯車が一つ、欠ける』以上で未来占いを終えます。また何処かでお会いしましょう」
全ての予言を言い終えると詫びを述べて龍達を外に出す。
また、トランクを広げて咳払いした後に手を二回叩く。
するとテントは自動的に折り畳まれていき用具と共にトランクに吸い込まれていった。
そして占い師は最後のお客であった龍に礼をして次の目的地に向かっていった。
「そろそろ、直った頃じゃない!」
「そうですね。戻りましょうか」
「疲れた。フィアナ、おんぶして」
「いやよ。ちょっとの距離だし歩いたら?」
女子組はさっさと列車に戻っていくが男子組は考え事をしている龍を待っている。
先ほどの占いを上手く消化できていないようだ。
「先に行くけど大丈夫か?」
「ああ、ちょっとしたら追い付く」
「わかった。レイ、先に戻るぞ」
「オッケー!龍も早く戻ってきなさいよ」
「おう」
歯車って人のことを表しているんだよな?
俺か他の誰かを。
反転って裏返しになることだな。
じゃあ、誰かが裏切るってことか?
『終わりを遂げる』とか『欠ける』とか出てきたけど要するにそれって、
「誰かが死ぬのか…?」
『そんな不吉なことを考えるな。予言など我の知ってる限り、当たった試しがない』
「そうだよな。滅ぶ滅ぶとか散々、言われてるけどまだ地球はグルグル回ってるしな!」
さて、あともう少しで日本に帰れるし、気持ちを明るくして行きますか!
次回は異世界転移をして日本に戻ります!
そして龍の休暇スタート!
それではまた次の話で!




