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7話 最序盤で中ボス戦を

龍VSオーク

「オマエ、ダレダ」


 おいおい、これは流石に無理があるだろ!?

 棍棒を持った巨体が天井を突き破って降りてきた!


「…オマエガコロシタノカ?」


「足元のジャムはお前の仕業だけどな」


「ハラヘッタ」


 うわっ!?足元のゴブリンを口に入れやがった!!

 仲間意識とかないのかよ。

 それよりも隙だらけだ!


 龍は食事に夢中になっているオークを斬る。

 しかし、分厚い皮膚に妨げられ出血はない。


「硬った!?」


「オマエ、ジャマ」


 龍は体を反転させて棍棒を避ける。

 棍棒はそこいらに置いてある椅子や机を押し出して、窓ガラスを割り、列車の外へと放り出す。


「当たるかよ!」


 よし!皮膚が薄い部分に当たったのか出血した!


「イタイ!」


 オークは振り切った棍棒を地面を砕くようにして龍へと叩きつける。

 龍は間一髪で避けて反撃に転じようとするがよろけてしまう。

 棍棒によって生じた衝撃が予想以上に大きかったのだ。

 そして巨腕に捕まれて前方に叩きつけるように投げ飛ばされた。

 まるであの時、龍がゴブリンにしたように。


「シンダ?」


 握りしめた刀を手放した龍はピクリともしない。

 そして血が溢れ出して赤い水溜まりを作る。

 乗客の誰もが彼の死を確信した。


「…お兄ちゃゃゃゃん!!」


 同様にオークも確信する。

 自分の食事を邪魔するものはもういない。


「ハラヘッタ。ゲフフ、クウ!クウ!」


 オークは床を軋ませてゆっくりと反転した。

 子供は小ぶりで食べやすい。

 女は柔らかくて美味だ。

 男は堅いが食べ応えがある。

 そんな事を考えながらヨダレを垂らして近づく。


「…逃げろ!」


「早く後ろに行けよ!」


「詰まってるんだよ!」


 乗客達は後方車両に雪崩れ込む。

 だがパニックを起こして一向に進む気配がない!


「ハジメハチイサイノ!!」


 オークはあの女の子に手を伸ばす。

 だが、僅かに背中を駆け抜ける殺意に気がつき足を止める。

 数秒の誤差、その失敗によりオークは背中から血液を吹き出す。


「アハハハハッ!!なに無視してんだ!」


「ナンデ!?ナンデ、イキテル!!」


「勝手に殺すな!!テメェの部下がクッションになってくれたわ!!」


 そう、オークは殺された二匹のゴブリンへと龍を投げていたのである。

 あの時に出来た血溜まりはゴブリンの死体から流れ出た血液だ。


 オークは振り替えるのと同時に棍棒を振るう。

 その隙に龍は移動して背後に乗客を置く。

 再度、刀を振り下ろすが棍棒で防がれて弾かれる。

 それら一連の動作を繰り返して押し合い状態になる。


 この棍棒、何製か知らんがとにかく堅い!

 そして刀が簡単に刃こぼれしてガタが来ている!

 予備なんてないのに直ぐに折れるぞ!


「ここで踏ん張れよ!お前が死んだら乗客全員がこいつの腹の中だ!」


 龍は己を鼓舞する。


「ブシ、ココデオワリ!オレノカチダ!」


 まだまだ死んでたまるか!

 あの特大わんこを除いて今まで戦ってきた奴らより何十倍強い!

 今の力じゃこいつの命を刈り取れねぇ!!

 俺はこの世界を救った魔王の孫なんだろ!

 だったら力を振り絞れ!!

 俺に眠る魔族の力を振り絞るんだ!!!

 守りたい…罪のない人が目の前で死ぬ、そんなのは見たくない!

 さっさと力をよこせぇぇぇぇぇぇ!!


 龍の刀は中心から折れる。

 その時、乗客達の淡い希望も霧散した。

 今度こそ自分達の番、列車の旅は最悪の結末を迎える。

 しかし、少年の闘志はまだ消えてはいない。


「オワリダ!!」


「終わらせるか!持ってけぇぇぇ!」


 龍はとっさに折れた刃を握りしめオークの右肩に突き刺す。

 それによりオークは力を緩めてしまい攻撃を中断する。

 更に半分の長さになった刀を強引に腹へと捩じ込んだ。


 オークはよろめいて片膝をつける。

 それはオーク、そして乗客すら予想できなかった僅かな勝機への光景である。

 更に龍は混乱するオークとは違い一切の無駄なく次の行動へと移す。


「予備なんて考える必要なかったわ!!」


 俺は包丁を二丁握りしめた。

 握り方は短刀と同じだがこれじゃあ斬れない。

 だから斬るのではない、この獲物は皮膚を斬り裂くために用いる。

 

 龍は包丁を振るい連続でオークに斬り裂く。

 それは決して致命傷には及ばない。

 けれども傷も積もれば命へと繋がる。


「満身創痍の底力、見せてやるよ!」


 傷口を殴り蹴ったりして傷口を更に開かせる。

 反撃の隙を与えずに休まず連続で。

 彼の髪や服は彼の流した血と敵の血で赤く染まり始めた。

 血飛沫を散らせて狂乱且つ華麗に攻撃を行う様はまさに一種の舞のようである。


「おら!」


 龍はオークを蹴飛ばした。

 オークはドアに衝突する。


「オークを蹴飛ばしたぞ!」


「いける…。いけえぇぇぇ!!」


 乗客達が龍に声援を送る。


 オークの目に写る龍はまるで獲物を狩る狂犬のようであった。

 どんな攻撃をしても立ち上がり研ぎ澄まされた殺意を向き続ける。

 見下ろすほど小さな体から何故にそれほどまでの力が込み上げてくるのか理解できない。

 迫る死神にオークはただ列車から逃げることしかできない。

 再び天井を棍棒で壊して屋根へと逃げ出した。

 そして龍は深呼吸を加えて、テーブルを踏み台にして屋根へと登った。


 もうすぐで駅に着くのか列車の速度は徐々に徐々に落ちている。

 だが、それなりに風が吹いており、力を緩めると吹き飛ばされそうだ。

 普通の人ならここまで追いかけてこない。

 しかし、このオークは人々の平和な時間を台無しにしたあげくトラウマを植え付けた。

 悪戯に命を奪おうとした清算は必ず果たす。

 そんな執念で血塗れの体に鞭を打ってここまで来た。


「いい加減、終わりにしようか!!」


「ガアァァァァァ!!」


 オークは最後の咆哮を轟かせて、ただ我武者羅に棍棒を振り回す。

 それに対して龍は包丁を一直線に投げてオークの右腕に突き刺す。

 棍棒は手放してしまいオークは丸腰になった。

 空かさず龍は素早く体当たりをしてオークの腹に深々と包丁を差し込んだ。


「ハナレロ!」


「じゃあ、御要望通りに離れてやるよ!」


 龍は離れるのと同時に捻るように包丁を抜いた。

 するとオークの腹からは血液が吹き出して風の流れの都合上、オークはそれを顔に浴びてしまう。


「アア!コロス!コロス!コロス!」

  

 オークは血で目を潰され、叫びながら龍を探す。

 しかし、その方向に龍は居ない。

 居るとしたら本物の死神である。

 それをオークは理解できずに怒りのままに棍棒を振るって汽車から落下、そのまま地面に激突して絶命した。


「ああ、流石に無茶しすぎたか…」


 龍は受けた傷口から血が出ぬよう手で押さえつけて列車に戻っていった。


「オークは?」


「倒した」


 オークの死を教えると龍はその場に倒れた。

 

次回はいろいろあった汽車の旅は終わり遂にユルグレイト王国に到着します!

それではまた次の話で!

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