66話 真実が眠る屋敷
シエラが住んでいた屋敷にレッツゴー!( っ・ω・)っ
そこで龍は驚愕の真実を知ることとなる!
シエラが住んでいた屋敷はアルファス洞窟から少し離れた小高い丘陵の上に建っている。
庭には石像や噴水もなく花壇があるだけで至ってシンプル。
そしてシエラの父親はアルファスの領主だったそうだ。
しかもアルファスはルシフェル大帝国領らしい。
道理で王の護剣の対応が早いわけだ。
ということはシエラは俺の部下に当たるのかな?
まあ、今まで通り、友達として接するけどな。
「週に一回ほど確認のために来ている。それとアルファスの代表に管理してもらっているので取り壊されることはない」
「…花が多いな」
「そうだな。さて、盗賊が入っていないか確認してくる。龍君は適当に屋敷を中に居てくれ」
「了解しました」
…おっと物凄く暇になってしまったな。
広くて立派な屋敷だけど敷地の方は実家が勝っている。
山、二座分の敷地になっているからな。
さて、そんな変なとこで争わずに探索をしてみよう。
ちょっと気になることあるし。
『小僧、あのドラゴニュートは付いて来ていないんだよな?』
「当たり前だろそんなの。付いて来たら世界規模で個力の影響が出るわ」
初めて声に出して会話をしたような気がする。
端から見たらどう見えるだろうな。
ただの危なっかしい独り言か。
『それはおかしい。何故かこの屋敷の二階の部屋からあのドラゴニュートと同じ魔力を感じるからな』
「魔力って指紋みたいに残るものなのか?」
『多少は残滓としてな』
「…そこに行ってみるとするか」
屋敷に入ると昼過ぎだが夜のように暗い。
日が射し込んでいないせいなのか気分も暗くなってしまう。
この屋敷はまるで主の帰りを待つ忠犬ハチ公のようだ。
錆び付きそうなドアノブ、ゆっくりと開く扉、寂しげな女子部屋、ベットの近くの棚に置いてある人形が悲しそうな目つきをしている。
「失礼します。…シエラの部屋…ぽいな」
「その通りだ」
廊下からジェイスが顔を出した。
「学園長、いつの間に!?」
「もう暫くかかる。帰る時に声をかけるからな」
「わかりました」
学園長はもう行ってしまったか。
で、魔眼、気になる物はどれだ?
『その棚にある本だ。四冊、五冊ほどだな』
…見た目からしてアルバムのようだな。
開けるのに少しだけ抵抗があるなぁ。
でも、解決の糸口になる情報がありそうだし見させてもらおう。
龍は本棚からアルバムを取りページをめくった。
「やっぱりアルバムだ」
アルバムにはこの世界の動物と戯れる幼き日のシエラ、家族との旅行風景、些細な日常の一コマ等が収められた写真が入れられていた。
これとして何か変わった写真はなく、どの家庭にもありそうな写真しかない。
『普通の写真だな』
ああ、変わったような箇所はないぞ。
シエラが触っていたから魔力が付いたんじゃないか?
『それも考えうるが…。小僧、一ページ戻れ』
何か気になる場所でも?
『この写真、何かおかしくないか?右のページにある真ん中の写真だ』
魔眼が指摘したのは屋敷の前でシエラが笑顔でピースサインをしている写真だ。
「…シエラが浮いている!?魔法の類か!?」
『いや、そこに本来はあった筈の何かが消えているんだ。さっきのページに戻れ』
「…さっきと同じ写真!?でも、これにはシエラの家族が写っている」
シエラはドラゴニュートだが浮いてる写真では翼らしきものは見当たらない。
いったいどうなってんだこれ!?
『ポーズが違う。これは二枚目だ』
「だが一枚目には家族は写っていない」
『小僧、あのドラゴニュートはかなり深刻な状態らしい。証拠にこのページ以降に家族は写っているが以前のページは写ってない。つまり、古い写真から徐々に家族が消えていっている』
これも拒絶の力なのか?
存在自体をこの世から抹消する。
誰の記憶からも居なくなるなんて恐ろしい力だな。
龍は次のアルバムを取る。
『…ここから両親は亡くなった後か。これが奴の姉か』
その後、俺は全てのアルバムを見終わり一息つくため椅子に座った。
気になることが余計に増えた。
そもそもシエラの行動自体が矛盾している。
過去にやった行動もな。
「…なあ、拒絶は一定以内の者に害を及ぼすんだよな?」
『そう言っておったな』
「…じゃあ何でシエラは姉とアルファス洞窟に咲くクリスタルローズを見に行くことができたんだ?」
さて何で行けたんでしょうね?( ・ω・)
舞台は学園に戻ります。
まだ夏休みじゃないよ!
それではまた次の話で!




