64話 王の護剣の力
龍が王の護衛と力を合わせて竜を討伐します!
ジェイスはハイキング気分で来ているので役立たずです(´-ω-`)
広間には恐竜のような大きなドラゴンが我が物顔で居座っていた。
角は大きな槍のようで尻尾にハンマーのようだ。
簡単に説明するとトリケラトプスの角とアンキロサウルスの尻尾を中型のティラノに取り付けたようなドラゴンだ。
強そうてか格好いい!
初めてドラゴン見た!
テンション上がってきたあぁぁぁぁ!!
「龍様の目が輝いている」
「羨ましいですね。龍様、あの竜はホーンランスドラゴン、凶暴で鱗が堅い危険な竜です」
「倒せるのか?」
「少し難しいですね。私達、二人はサポート系の魔法は使えません。私は主に遠距離攻撃が専門です。そしてジェイス様は軽装なので戦闘参加は不可能。また龍様は可能な限り戦ってはいけません」
見たところウルミナは弓、ヘイスは剣か。
で、ジェイスはまるでハイキングに行くかのような格好だ…。
あんた最初っから王の護剣に頼るつもりだったろ!
心の中で踏みとどめておくが王の護剣は俺専属の護衛だぞ!
「…個力は使えるんですか?」
「はい。私は気配消滅という気配をほぼ消すことが出来る個力でヘイスは」
「衝撃波っていう手で触れた相手に衝撃波を与える誰でも出来そうな個力です。自分で言ってはあれですが。俺達は普通の人でもやれそうな事を条件なしで出来るだけですよ」
さほど強力な個力ではないが戦闘には問題はなさそうだ。
だが時間をかけすぎるとクリスタルローズを傷つける可能性があるから俺も参加しよう。
援護ぐらいなら離れてでもできる。
「俺も戦います。それにこれは俺がシエラと約束した事です」
「ですが万が一のことがあれば…」
「援護ぐらいなら出来ます」
護衛されてボスを倒してもらい、それを自分の力で採ってきたかのようにシエラに渡すのは俺の性格が許さない。
それに守られてばかりの皇帝になるのだけは嫌だ!
「わかりました」
「ウルミナ!?相手は仮にも竜種だぞ!お前もあれの強さぐらいわかっているよな!」
「じゃあ、ヘイスは龍様に宿るこの闘志を消せるの?」
「ああ!!わかりましたよ!だけど危険を感じたら直ぐに逃げてください。クリスタルローズは俺達が採って帰りますから!」
一度は躊躇ったヘイスだが龍の目を見て渋々に戦闘参加を許可する。
龍と自分勝手に何も考えずに突っ走っていた彼の日の自分を重ねたのだ。
「ありがとうございます。じゃあ、さっさと狩って帰るぞ!」
「「了解!」」
まずはヘイスが広間に突入した。
それに気づいたホーンランスドラゴンは警戒態勢に入る。
しかも俺達、三人の存在を対象に気づかせないよう細心の注意を払って。
「個力、衝撃波発動!どっからでもかかってこい!糞ドラゴン!」
「個力、気配消滅発動」
そしてウルミナも個力を発動させて壁や天井から突き出ている水晶の後ろに隠れる。
「さて俺はどうやって攻めるかな?」
「遠距離から銃で攻撃するのはどうだ?」
あの意見を出してる所、言いにくいんですが黙っていてください、何かイライラしてきます。
それに端からそのつもりだ!
けど銃は止めておこう。
「銃は鱗の堅さがわからないと無理です。もし貫けなかったら弾が跳ね返りヘイスさんに当たる可能性があります。なのでヘイスさん!」
「何ですか龍様!」
「離れてください!個力、創造発動!」
「へっ?」
龍は手榴弾を創ってホーンランスドラゴンの足元、目掛けて投げる。
しかし、その鱗の堅さ故かホーンランスドラゴンは無傷だ。
「今の爆発魔法ですか!?」
「近代兵器です」
(あれが異世界の武器、まるで魔法を放ったみたい!少し侮っていたかも)
手榴弾はただの小手調べだ!
爆発よりも高火力で自慢の鱗を粉砕させる!
「ヘイスさん!」
「今度は何ですか!」
「大砲です!」
砲弾はホーンランスドラゴンに命中した。
無傷だがホーンランスドラゴンを少し退かすことが出来た。
「堅った!何であの威力でヒビすら入んねぇんだよ!」
「今度は俺の番です!」
ヘイスはホーンランスドラゴンに触れて衝撃波を発動させて隙を作り、連続攻撃を浴びせるが剣は折れてしまった。
「俺の愛剣がー!」
「ヘイス、早く離れて!尻尾の攻撃が来るよ!」
ホーンランスドラゴンの尻尾攻撃はヘイスには直撃しなかったが周りに生えている水晶を全て砕いた。
そしてその破片がヘイスに当たる。
ヘイスは腕で目を覆って失明を避けるがホーンランスドラゴンが追撃を加える。
初撃は免れたが次がくるぞ!
あの体勢ではヘイスに角の攻撃が直撃する!
鉄の壁を創れば今なら間に合う!
突如として目の前に出現した鉄の壁によって攻撃を遮られたホーンランスドラゴンは少し後退する。
更に龍は鞘に入れた剣を創りヘイスの方に投げる。
「今のうちに下がれ!それと代えだ!」
「あざっす!」
(とりあえずあの角だけでも砕く!)
「弓技、パワーショット!」
精度より攻撃力に特化したパワーショットをウルミナが角に目掛けて放つ!
最悪なことに矢は弾き返され声がした方にホーンランスドラゴンは水晶の塊を尻尾で弾き飛ばす。
「ウルミナ!前から言ってるが声を出して攻撃するな!バレるだろうが!」
「うっさいわね!この方がカッコイいでしょ!」
何なのこの二人…。
夫婦漫才をするためにやって来たの?
「まるで龍君とフィアナだな」
「俺はフィアナとあんなことをした覚えはない!」
ホーンランスドラゴンは一旦、攻撃を中断して広間の入り口付近で援護をしている龍を凝視する。
そして角をそっちに向けて突進を開始した。
「こっちに来た!」
龍はヘイスを守ったように鉄の壁を創りホーンランスドラゴンの攻撃を防ごうとする。
だが龍はホーンランスドラゴンの特性を理解していない。
ホーンランスドラゴンは追い払いや牽制程度の突きなら大した攻撃はしない。
しかし、突進する際は魔法で強化された突進を行うため並みの防御など容易く貫通させる。
それを王の護剣の二人は恐れていたのだ。
「いけません龍様!ホーンランスドラゴンの突進は魔法で強化されているんです!」
ウルミナの忠告は無駄となりホーンランスドラゴンは鉄の壁を破壊する。
一方、ヘイスは龍は守るために全力で駆け寄る。
そしてジェイスは龍を押し出そうとするが間に合わなかった。
ホーンランスドラゴンの角は龍の腹部を貫いて壁に突き刺さった。
「いやあぁぁぁぁぁぁ!!」
腹部を貫かれた龍はどうなるのか!?
もちろん、不死なので反撃を始めます!
それではまた次の話で!




