45話 戻ってきた日常
いったん日常生活に戻ります!
幽霊屋敷での一件でどういう訳かアリスが風紀委員会に所属する事になった。
アリスのクラスには風紀委員が誰も居なかったらしい。
そしてフィアナは何故か『風紀委員会に入りたい』とシアン先輩に言ったが拳骨を落とされて渋々、自分の部屋へと戻っていった。
そうそう、アリスは授業に出るようになった。
しかも、これまで提出しなかった宿題を全てやり終えてな。
まだ入学して間もないとはいえ、これをたった一日で終わらせたので俺はある意味、呆れている。
「アリス・フラメル、参上しました!」
うるさいのが増えました。
風紀委員室は世界樹ユルグレイトの中にあるけどけっこう広い。
でも、他の風紀委員はパトロールとかで学園内や学園外をぶらついてるので閑散としている。
とは言ってもパトロールも仕事のうちである。
故にほぼ我らが風紀委員長、シアン先輩の私室になっているのだ。
「暇だ」
「じゃあ、エレノアの所に出した資料を受け取りに行って」
「了解しました。アリス」
「空間歩行者発動!どうぞ!」
マジで瞬間移動って便利だな。
「失礼します!資料を受け取りに来ました。…寝てる」
生徒会室に入るとエレノアが生徒会長の机に頭を置いて寝ていた。
連日の騒ぎのせいで疲れているようだ。
起こさないように目的の物を探すか。
と、意気込んだのはいいが目の前に置いてあった。
「う~ん…龍!?」
「失礼しました」
「えっ!?もう行くの!?ちょっと待って~!」
何か言ってるがもう既に扉は閉まりかけているので戻れない。
さっきまで寝ていたし、世間話程度のモノだろう。
ガチの用事があるなら寝ないで今頃は訪ねている筈だ。
「持ってきました」
「エレノア、何してた?」
「寝てました」
「またあの子は~」
最近、シアン先輩の方が怒らすとヤバいことがわかった。
まあ、あんな妹が居たらそうなるわな。
「アリス、その水属性魔法を消して席に戻れ」
水をかけて驚かすつもりか?
その証拠に閉じかけた扉を再び開けようとしている。
「はい。すみませんでした」
アリスは龍に注意されて少し落ち込みながら席に戻った。
「龍、あんたアリスの弱みでも握ってるの?」
「知りませんよそんなの」
あの一件以降、アリスは必ずお昼を俺と食べてる。
そうわざわざ俺のクラスに来てだ。
別に構わないが何かあったか?
「そういえばディルフェアン連合ってどうなったんですか?」
「王国騎士団が総力を挙げて捜査中よ。貪狼騎士団の下っ端が捕らわれて撤退したかまだ潜伏してるかのどれかなの。それに手紙の内容も気になるし」
「確か内容は…」
「『例の物をユルグレイト王国で見つけた。それを回収するので期日までにユルグレイト王国に潜伏すること。失敗は許されぬ。何としても手に入れろ。我らの目的のために』と書かれていたわ」
シアンは龍の方を見て目で合図を送った。
龍はジェイスに言われたことを振り返る。
あの手紙を騎士団に届けた後に龍はジェイスにこう言われた『例の物とやらが君、もしくはその魔眼かもしれないので充分、気をつけること。王の護剣がこの国に居ない今、君の身を守れるのは君だけだ』と。
要するに龍は警戒するよう釘を刺されたのだ。
「曇ってるな」
「何か今週の天気は荒れるらしいよ」
「そんな事わかるんですか?」
「魔法でわかるよ!」
はぁ、天気予報より当てになるな。
しかし、この時の俺はまだ知らなかった。
貪狼騎士団、ディルフェアン連合の目的の物は俺ではなく俺の近くにあった物だということを。
まあ、狙っている物はわかっていますよね。(^∀^;)
それではまた次の話で!




