048 会談
「さて、本題にはいろうか。」
アリア女王がそう言ってソファに深く腰掛けた。
「本題というのは?」
「分かっているだろう。今回のアイデクセの異常襲来についてだ。」
アリアはそういうと一息ついた。
「話が長くなるが、いいな?」
アリアのその問いにハヤトとセイナは頷いた。
「そうだな、まず、今何が起こっているかを言っておこう。この国の各地で、魔物が異常行動を起こしている。高ランクの魔物が棲みかを離れて人里を襲ったり、今回のように一種の魔物が大量発生したりだ。これらはすべて、約千年前の死炎龍襲来戦の兆候と酷似している。おそらくだが、そう遠くない未来、死炎龍が覚醒するだろう。」
そこまで説明すると、アリアはため息をついた。
そしてハヤト達に目を向けて言った。
「今回、ウォリア村へ出現したレッドルビードラゴン。あれを倒したのはお前だろう?」
ハヤトに鋭い眼を向けながら言った。
ハヤトも目を反らさずに答える。
「さて、そうだとしたらどうするんですか?」
「……SSランクの魔物を無傷で一撃で仕留めるなど、その時点で世界最強クラスの実力だ。第三次死炎龍襲来戦においても大きな戦力となるだろう。それに、アイデクセ=ロードをほぼ単独で仕留めたそうじゃないか。」
「色々あったんですよ。それに、レッドルビードラゴンを一撃で仕留めたような技は一日一発という制約付きです。」
ハヤトは苦笑しながらそう答えた。
「そうだとしても、だ。第三次死炎龍襲来戦は、おそらく冒険者ランクA以上の超精鋭たちのみで臨むことになるだろう。それも、全世界から実力者を集めてだ。どれくらいで死炎龍が覚醒するかは定かではないが、千年前の文献によると、約100日後だ。これより速い可能性も充分あるため、約60日後を目安に我々は準備する。そこで、お前にも協力を仰ぎたいのだが、一つ問題がある。」
「俺たちのギルドランクですね。」
「そうだ。別にそこの娘――セイナは参加しなくてもいい。だが、ハヤトには参加してもらわないと困る。」
その言葉にセイナは少し俯く。
「そこでだ。58日後にAランクへの昇格試験を行う。それまでにC、B
ランクとしての実績を積んでくれ。」
「……それはまた、急なお話ですね。構いませんけど、一つ条件があります。」
「なんだ、言ってみろ。」
「その試験、セイナも一緒にやらせてください。」
その言葉に、セイナとアリアは驚いた。
「ほう、実力が伴っていれば、構わんぞ。」
アリアが笑いながら言った。
「ありがとうございます。それでは失礼します。」
ハヤトはそういうと席を立った。
セイナも慌てて立ち上がり、扉へと歩き始めたハヤトを追った。
森都の冒険者ギルドへ入った2人は、酒場に腰を下ろした。
「さて、これから忙しくなるな。」
ハヤトがそう言った。
「何であんなこと言ったの?」
セイナが少し俯きながらハヤトに聞いた。
「昇格試験のことか?」
「…うん。」
「おれだけ参加するってのもおかしな話だろ。それに、この旅の目的、覚えてるか?」
「世界樹の頂点にいって、お母さんと話すこと。」
「そうだ、そして世界樹の最上層の探索許可は、冒険者ランクSランク以上でないと出されない。」
「………!?」
セイナは驚いて目を見開いた。
森都に着けば世界樹へと行けると思っていたのだ。
「世界樹は世界屈指の難関迷宮だ。最上層へとたどり着いたのも遥か昔だから、全部で何階層あるのか見当もつかない。そう考えたら、当然の難易度だな。」
ハヤトはそう言った。
「ま、だから、早めにランクを上げておくに越したことはないだろ。」
「…そうだね、ありがとう。」
「さて、じゃあ依頼をこなすとするか。」
ハヤトとセイナがそう言って腰を上げたとき
「おうおう、そこの黒い兄ちゃん。随分かわいいパーティメンバー連れてんじゃねえか。」
ハヤトは相手の顔を見ないままため息をついた。
ハヤトも、いつかこんなことがあるだろうと予測していたのだ。セイナの容姿は、女王と比べても見劣りしない程可愛い。
「おれはCランク冒険者のドブデルグフゥッ!!??」
裏拳で瞬殺した。
「壁の下でピクピクしてるドブデルグフゥさんは置いといて、依頼、どれにする?」
「…あ、ええと、これなんかどうかな?」
セイナはポカーンとしていたが、気を取り直して掲示板から紙をとってきた。
「…なるほど、じゃあ、これでいくか。」
二人が選んだ依頼は――――
【ヒクイドリの捕獲】
Bランク依頼だ。




