chapter24 魔物の気配 〜異変の入口〜
※衛兵のリーダー視点です
しばらく、番外編が続きます
森の空気は、妙に静かだった。
リュシェアは足を止める。
鳥の声がない。
虫の音も、いつもより薄い。
「……嫌な静けさだな」
低く呟き、手を軽く上げる。
後ろの隊が即座に停止した。
無駄がない。
それだけは、長年で染みついた癖だった。
「この先は予定より奥だぞ」
部下の一人が小声で言う。
「分かってる」
短く返す。
本来なら、ここまで来る必要はない。
せいぜい森の浅い部分の巡回で十分なはずだった。
だが、ここ数日の報告は妙だった。
──森の奥から魔物が出る。
──昼間でも見かける。
──数が減らない。
「……あり得ん話じゃないがな」
経験上、魔物が群れることはある。
だが、それには“理由”がある。
縄張りの崩壊。
上位種の出現。
あるいは、何かの異常。
どれも、ろくなものじゃない。
「隊長」
前方の偵察役が戻ってくる。
顔色が少し悪い。
「どうした」
「足跡です。複数……いや、多すぎます」
リュシェアは眉をわずかに動かした。
「どのくらいだ」
「……追えません。途中で重なってます」
一瞬、沈黙。
「……そうか」
静かに息を吐く。
想定より、少し悪い。
剣の柄に軽く手を置きながら、前を見る。
木々の間が、妙に暗い。
「進むぞ」
「隊長、本気ですか?」
「偵察だ。戻る判断材料が必要だ」
反論はない。
隊は再び動き出す。
数十歩。
さらに十数歩。
そして──
「……いるな」
リュシェアは呟いた。
木の影。
動いた。
次の瞬間、低い唸り声。
緑色の影が、こちらを見た。
ゴブリン。
一体ではない。
もう一つ。
さらにもう一つ。
「……隊列、組め」
声は落ち着いている。
だが、内側で何かが少しだけ引っかかった。
(少し、多いな)
剣を抜く。
「接触する」
短く告げる。
ゴブリンが一斉に動いた。
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