chapter19 思索は茜に染まり
実験に夢中になっているうちに――気付けば、空は赤く染まり、暗闇が覗いていた。
「あ、やば」
オレはそう呟き、魔法を解除して家へと急ぐ。
「ただいま」
空が闇に落ちる前に、無事帰ることができた。
転生前もそうだったけど、没頭しすぎるのがオレの悪癖かもしれない。
時間があるからとラノベを読んでいたら――ふと時計を見たときには、会社へ行くギリギリの時間。慌てて支度して家を飛び出したことも何度もある。
夜だって、仕事から帰ってゲームをしていたら、気付けば深夜二時なんてこともザラだった。
そんなことを思い出しながら居間へ向かうと、母が声をかけてきた。
「おかえり。遅かったわね。
お昼ご飯も食べに来ないで、なにしてたの? 魔法の練習かしら?」
そう尋ねられ、
「うん、少し熱中しすぎた」
と答える。
おそらくだが、十時間くらいウォータードールを弄っていたと思う。
目に見える成果は得られなかったけど。
あの魔法は、自分の意識を投影する必要がある都合上――難易度が格段に上がる。
意識を投影することに大半のリソースを割かれてしまい、ほかのことをする余裕がない。
慣れればいけると思うけど、今は無理だな。
ウォータードールを完璧に操作できるようになれば、敵情視察なんかもできると思うんだよね。
視界は見えないけど、魔力感知で周囲の様子は把握できていた。
まぁ、近くにいたから、どっちの魔力感知なのかわからないのがネックかな。
前世のとあるマンガを参考に、思いつきで作った魔法とはいえ――ここまで難しい魔法になるとはなぁ。
オレは、しみじみとそう感じていた。
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