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神威  作者: 猫と日だまり
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武器作ってみます。

「さて、元の世界に戻るにしてもこの世界に留まるにしても、取り敢えず一度王都に来て貰いたいのだけど・・・そうね、魔物とかも出るから、せめて自分の身を守る術を学ばないとね。」



 取り乱していたからかまだ少し赤い顔のミラーラは、そう言ってメガネをかける。赤ぶちの丸いメガネで、少し幼い顔と大人びた目との相性は抜群だった。



「なんでメガネかけたの?魔術の威力でも上がるの?」



 ふと思ったことを尋ねると、ミラーラはそっぽをむいて恥ずかしげに指を絡ませる。



「だって、カッコいいじゃない・・・」



「か・・・かわいい・・・」


「か・・・可愛いとはなにか!くそぅ・・・私より背が高いからって!」


「どうどう。」


「私は馬ではないわっ!」


「いやぁ・・・ミラーラっていじられキャラよね。」


「・・・意味は分からんが何となく馬鹿にされている気がする・・・」



 こほん、とわざとらしい咳をして、ミラーラは続ける。



「と、に、か、く!王都への道のりで面倒に巻き込まれないために何か護身術とか覚えて貰いたいんだけど・・・何か、使える武器はある?」


「そーねぇ、薙刀は好きだけど使える訳じゃないし・・・やっぱ弓かな?」


「そう、なら作って。」


「・・・パードゥン?」


「勿論魔力で作るのよ?これはイメージして、そのまま手の中に出してみる感じで出来るはずよ?因みに、武器を出している間は常に魔力を消費するわ。必要な時にいつでも出せるようにしておくのがベストね。」


「・・・イメージするだけ?」



 葉月が胡散臭そうな目で尋ねると、ミラーラは当たり前のように頷く。



「貴女ならそれだけで出来るはずよ。」



 うーん・・・と唸ってみるが、ミラーラには何かが現れた様子は伺えない。



「出来ない?」


「いや・・・なんていうか・・・出来た・・・と思う。」


「歯切れ悪いわね。けど、弓なんてどこにも・・・」



 言いかけたミラーラを葉月は手の中に作った弓で小突く。



「ほら、ここに。」


「・・・なにしたの?」


「いやぁ・・・なんか透明の弓が出来ちゃった・・・みたいな?テヘ」


「テヘ。じゃないわよ!?なにそれ・・・ちゃんと使えるの?」


「うん。ちょっと触っただけだけど、普通の弓みたいだよ?ところで、矢も自分で作るの?」


「・・・そうね、一応やってみて?」


 よし!と力を貯めるイメージをして、矢を作る。



「うん、出来たよ。」


「それも透明とでも言うの?」



 葉月の手になにも握られてないが、なにかを握っている感じはする。



「まぁ、普通魔力で作った矢は、空気中の魔力が邪魔に綯って使えないことが殆どなの。いくら規格外な貴女でも無理かもね・・・」


「うーん・・・じゃあさ、こう・・・風の加護!とかないの?」


「あるわよ?矢を護るイメージで魔力を組んでみるといいわ。一度、やってみましょうか。」



 そう言ってミラーラが指さしたのは窓から60mほど先にある木の実だった。



「窓越しに射れる?」


「やってみる。」



 矢に力を込めて、早く、速く、疾く飛べー!と念じると、微かに矢の周りに風が生まれた。もし加護が本物なら、いつも通り射たらダメだなあと思った葉月は、正面に獲物を持ってくるように立つ。



「あたってー!」


「そんな上狙いであたる?」


「わかんないけど取り敢えずどんな感じか様子見ワンショット。」



 ぶつぶつと答えると、"無"の状態になる。

何も考えず、当てることにのみ集中する。

ゆっくりと構えて、見えない矢を見えない弓にあてがう。



「・・・」



そして、射た。



パーンッ!!



「「え?」」



 葉月の放った矢は見事、木の実の真ん中を射抜いた。だが、速すぎる。放った瞬間には木の実は粉々になっていた。

 その、まるで銃を使ったかのようなスピードと正確さに、二人とも言葉を失う。



「うん、使えるね・・・」


「そう・・・ね。」


「てかさ、これ・・・生き物に使って大丈夫かな?」


「・・・さぁ?」

葉「そういえばミラーラ、なんか言葉遣いコロコロ変わるね?」


ミ「仕方ないわ。どうしても巫女としての言葉遣いと普段の言葉遣いとが混ざってしまうの。」


葉「"~じゃ"とか"~か"とかは巫女だからってこと?」


ミ「うん、そうね。だからいつもなら"~わ"とか"~ね"とか言うのだし。」

葉「驚いたりすると言葉遣いメチャクチャになるものね。」


ミ「うう・・・恥ずかしい・・・」


葉(か・・・可愛い)

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