目覚めます。
朝食をとろうという話になり、ミラーラと葉月は小屋の1階に降りた。常駐の青年は見回りらしく、今はここには居ない。
「ねぇ、ミラーラ。」
「どうしたの?」
はむはむとパンを頬張っているミラーラを眺めながら、ふと感じたことを聞いてみる。
「この世界の人ってさ、みんな小さいんだね。」
「あー…うん、そうね。この身長でも年齢なら貴女より上の筈よ。」
「ふーん。ミラーラって何歳なの?」
「20よ。」
「なん・・・だと?」
葉月の年齢は17である。しかし、身長だけ見れば、ミラーラは138cm、葉月は168cmである。その差30cm。
「ほら、私の方がお姉さんなのよ。」
少しふんぞり返って語るミラーラが可愛い。
「・・・ねぇ、お姉様。」
「どうしたの?葉月。」
「私、魔法が使いたい。」
「・・・良いわよ。お姉さんになんでも聞きなさい。」
その可愛さにニヤニヤしつつ、葉月は魔法の基礎について学んだ。
どうやら魔術とは風、火、水、土、雷、光、闇、時の8種類に分けられるらしい。
風、火、水は光の仲間、土、雷は闇の仲間、光と闇は時の眷属で、つまりは相性として時の魔法が一番強いと言うことだ。
「木火土金水じゃないのね。」
「?」
「あぁ、気にしないで。陰陽師とか好きなだけだから。」
「ふぅん?」
あまり噛み合ってない会話だが、葉月はやる気満々である。
「どうやって使うの?」
「うむ、そうだな。魔力は大気中にある。それをかき集める感じだな。そして放つ。それが基礎だ。」
いいつつ、ミラーラは体の前に出した手のひらから野球ボールサイズの光る球体を出す。
「もっとも、感覚で慣れるまでは分からんかもしれんがな。」
勝ち誇ったような笑みを浮かべながら葉月を見た。そこで葉月の負けず嫌いが発動する。
内心やってやると思いつつ、集中して魔力を感じようとする。すると、なにか手の中に"在る"ような気がした。
「うーん…こんな感じかな?」
それを集めるイメージをし、放つ。
「・・・は?」
「おぉ!出来たっ!」
その球体のサイズは、果たして半径1m以上のものだった。
「ちょっとまって・・・今、2秒くらいしかタメなかったよね?なに、このサイズは・・・」
「お姉様、これどう?」
逆に勝ち誇った笑みで質問する葉月に、ミラーラは唖然としながらも返事を返す。
「どう・・・って、カンペキよ。しかも貴女魔力値高いのね・・・たったあれだけの間にこれほどの魔力を集めるなんて、よっぽど魔力の内包量が多いんだわ。」
ふふん。とでも言いたげな表情の葉月は、しかしすぐに真面目な顔になり尋ねる。
「ねぇ・・・これでなにが出来るの?」
ミラーラもすぐ真面目な表情になり答える。
「そうね、これほどの魔力であれば時の魔術も使えるのでは無いかしら。魔術は、魔力を使って想像した事を現実に起こすものなの。例えば・・・そうね、単純に、時よ止まれ・・・とかどうかしら?」
「おぉ、ザ・ワールド!よし、やってみる。」
そう言うと目を瞑り先ほどと同じように集中し、魔力を感じる。それを体内に入れて放出するイメージで呟く。
「さぁ、時よ止まれ!ザ・ワールドッ!!」
とその時、シン・・・と音が消えた。
「あ・・・え?」
目を開くと、部屋の中が無色になっていた。
「出来た・・・」
そう、目の前には本当に固まったように動かないミラーラが居て、しかし窓の外は鳥が飛んでいた。
すると、不意に色が戻り、ミラーラが動き出す。
「今・・・止まってたの?葉月の立ってる場所が違うわよね・・・?」
「あー、なる程。止まってた方としては瞬間移動に見える訳だ。」
ミラーラは驚愕の表情で呟く。
「うそ・・・冗談だったのに、本当に時を止めるなんて馬鹿げた力が・・・」
「あー・・・つまりさ、ミラーラ。魔力って属性うんぬん言うけどなんでも有りなんだね。」
そう言うと、ミラーラはキッと葉月を見る。
「そんな訳無いじゃない!人によって特定の属性しか使えない人も居るし、まして時の魔術なんて使える人殆ど居ないのよ!?その中で、時を止めるなんて・・・それはつまり、一定の空間の時を切り離してしまうものなの!そんな・・・次元に干渉するような魔術、普通出来ないわよ!」
つまり・・・
「なんというチート(笑)」
えー…あとがきで補足をば。
属性は、時がトップ、次いで光と闇、その下に風と火と水、土と雷があります。
光や闇、または時の魔術は、その下に有る属性の魔術が扱える人々が力を合わせて使います。
だから、巫女が全員集まれば時の魔術を使い、次元に干渉して葉月を元の世界(日本)に戻せるのです。
一人で時が使える・・・という事は、つまりその下に有る属性・・・そう、全ての属性が使えるという事なのです。
なんというチートww
しかし、だからと言って葉月一人では日本に帰れる訳ではありません。何故なら、日本は魔術という概念がない(つまり空間転移という事をしない)ため、多世界的な日本の座標(作者は次元座標と呼びます)と言うものが葉月には分かりません。
空間転移には、多世界解釈としての話になりますが、次元座標が必要になるのです。
この場合、世界間の相対座標が次元座標となりますが、それは感覚として、(世界の在り方故)この世界の人々には分かるのですが、日本人の葉月にはさっぱりな訳です。
そして、それは数字として表せるわけでもありません。何故なら、起点(0、0の点)が存在しないからです。まぁ、だからこその相対座標なのですが。
そんな訳で、まだまだ葉月はこの世界に居続けます。
・・・分かりにくいですねorz
まぁ、つまり葉月だけじゃ帰れないんです。そこ分かって頂けると良いなぁ・・・と思いつつ。




