2章:禁忌魔法
カズキ
「よし、ついたぞ」
トルク
「け、結構大きいですね」
アーク
「そりゃ土地を広く使ってるからな」
オズマ
「オリヘリアス学園はエストリアより少し後に作られた学校だ。
二つともアリエス王国の中では古参にあたる」
オズマ
「オリヘリアス学園はエストリアと比べると
規模が少し違うだけで、中身は大して変わってない。
もちろんグループというシステムはないがな」
オズマ
「そして二つとも国代表という看板を勝手に背負ってるから
やたらプライドが高いんだ」
オズマ
「だから他校からは似た者同士じゃんって言われてたりする。
まぁエストリアと違って本当の意味での魔法習得学校として
建てられたから、気持ちはわかるんだがな」
トルク
「へぇ……」
アティナ
「着いちゃいましたけど、ここからどうしましょうか?」
ハーティー
「私達としては別に町の宿屋に泊まってもいいんだが、
おそらく寮に泊まらせられるだろう。
このまま学校に入って報告を済ませよう」
アティナ
「わかりました」
エリー
「さてさて、どうなることやら……」
アリス
「……」
オリヘリアス学園一同
「エストリア学園の皆さん、ようこそお越しくださいましたー!」
エリー
「うわっ、びっくりした~!」
ハーティー
「これはこれは、丁寧な挨拶をありがとう」
オリヘリアス校長
「いやいや、久しぶりにエストリアの皆さんと
お会いできる日を心待ちにしておりましたからな!
丁重にもてなすのは当然ですよ!」
アティナ
「はぁ……」
オリヘリアス校長
「それで……今回はいつまで泊まられるんですか?」
ハーティー
「だいたい1週間くらいだ」
オリヘリアス校長
「1週間ですか……」
エリー
「少なかったかしら?」
オリヘリアス校長
「い、いや、そんなことはありませんぞ!
ただどのくらいなのかを聞いておかなければ
予定を立てられないこともあるのでな、聞いてみたまで」
エリー
「あら、そうだったの」
オリヘリアス校長
「それでこの後はどうなされるつもりで?」
ハーティー
「寮に荷物を置いてゆっくりしたい。
そんな感じだとやけに気合を入れて待ってたみたいだからな、
今日1日つぶれるのを覚悟する時間が欲しいんだ」
オリヘリアス校長
「はっ、かしこまりました!」
オズマ
「まぁ、そういうわけだから、
そんなホテルに泊まるVIPな客をもてなすような感じはやめて、
普通にしてくれよ」
オズマ
「これから1週間一緒に学ぶんだからさ」
学生達
「は、はい!」
トルク
「あのぉ~、カズキさん?
なんでこの人達こんなに下から話しかけてくるんですか?」
カズキ
「そんなの簡単だよ。
エストリアの方が立場が上だからさ」
カズキ
「エストリアの方が人気が高すぎて、
人員確保のためにこの町の出身者は
この学園に半ば強制的に入学させられるからね」
カズキ
「合併するのが手っ取り早いんだけど、
どんな町にも学校があるわけじゃないから、
閉校しにくくてね」
カズキ
「こうやって、ただの交流なのに依頼として
行かせるのも教育の質をうちのレベルに
追いつきたいからという側面もあるんだよ」
トルク
「へぇ~」
アーク
「見ての通りやけに下に出過ぎて
調子狂うことも多々あるんだけどな」
アーク
「でもまぁ、それも教育の質さえ同じになれば
後は人数と広さしか違わないからな」
アーク
「俺達みたいな奴を定期的に派遣させて、
能力の向上を計っているのさ」
トルク
「きちんと考えられているんですね」
エリー
「逆にうちらの生徒からしてみれば、
ただただめんどくさいだけだから人気がない依頼なんだけどね。
本来教師がやるべきことだし」
エリー
「生徒の方が来れば仲良くなりやすいし、
切磋琢磨しやすいでしょっていう大義名分がなけりゃ、
やる人なんていなかったでしょうね」
アティナ
「その方がたとえ最初はやる気なくても
まぁ友達作れるからいいかと
気持ちを切り替えやすいですからねぇ」
女子生徒A
「ねえねえ、皆どんな名前なの?
今まで覚えた魔法を一通り見せてよ!」
ハーティー
「おっと、生徒が集まって来たな」
ハーティー
「早急に荷物を置いてきてここに戻って来よう」
アリス
「はい」
アティナ
「ここで寝泊まりするんですね」
エリー
「そうみたいね」
アーク
「しっかし殺風景だなここ」
エリー
「そう言わないの。
あんたは宿屋みたいに男女別々が良かったの?」
アーク
「いや。一部屋にまとまって過ごせるのは
普通にありがたいと思ってるぜ」
アーク
「ただこんなんじゃ誰も使わないだろ」
ハーティー
「施設が揃ってない所は皆こんな感じだ。
私達の寮みたいに過ごせるだけましだと思おう」
エリー
「そうですね」
トルク
「ここに荷物を置いたらすぐに学校に行く感じですか?」
ハーティー
「私はそうするが、個人の自由にしていいんじゃないか?
向こうからここにやって来る人も何人かいるだろうからな」
トルク
「そうですか。
じゃあ僕はここで休ませてもらいますね」
トルク
「疲れてはいないんですが、どうも小腹がすきましてね。
自由にしていいのならありがたくそうさせてもらいますよ」
オズマ
「俺もそうするかなぁ。
元々必要のないこと以外あまり外に出ないからな」
ハーティー
「それじゃ、今この時間から各自自由行動という事で」
ハーティー
「エリー、アティナ。行くぞ」
エリー
「はーい」
アティナ
「カズキ君、行ってくるね」
カズキ
「おう、行ってらー」
カズキ
「こうして、荷物を寮に置いた俺達は、
オリヘリアスの皆に自己紹介をして、
楽しく1日目を終えるのだった」
カズキ
「しかし、この後あんなことが起きるとは思いもしなかった……」
寝て起きた後。
ハーティー
「皆おはよう。
今日から依頼の期間だ。
エストリアの学生として恥じない生活を送るように」
エリー
「はい!」
カズキ
「もちろんです!」
トルク
「(いやぁどんな人達なんだろうなぁ。
楽しみだなぁ……!)」