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change  作者: 虚虎 冬
科学都市編
39/98

閑話:単純改名

 トコトコ。ダクダク。ヒョコヒョコ。

 三人の足がアスファルトを踏みしめる。

 ここは、<科学都市>から<武国>へと向かう道。<楽園サラダ>から<科学都市>へ向かうところは、「道」が無く毒草の平原だったのだが、こちらはきちんと舗装されている。

 アスファルトはあるし、たいして変な生き物は見ていないし、あまり異世界に来たという気がしない。

 勿論魔法はあるが、あまりこの世界で使われないようだ。仕事の時に役立つ魔法を使うくらい。

 店で売っている食べ物の原材料は、バケモノばかりなのだから、国と国の移動中に何回か見てもおかしくないのだが。

 と、ムーシャが思っていると、何やら前の二人が話している。

「……いや、今更……」

 リゼリアが渋っていて、

「でも、嫌だし……」

 リュウが食い下がる。

「何の話?」

 ムーシャが聞くと、リゼリアが困ったような顔をして振りかえった。

「それがさ、リュウが名前変えたいって」

「『リュウ』は記号だもの。嫌なんだよ」

「リュウって呼びなれたしさ……」

 ムーシャはポンと浮かんだ名前を言う。

「ユウ、じゃダメ?」

 「リ」を取って、「ュ」を大きくしただけだが。

 リゼリアも単純さに気付いているようで、

「呼び間違えるよ……」

 苦い顔だ。

 しかしリュウは満更でもなさそうで……。

「ってこれでいいのかよ」

「『リュウ』でなければいいの。ムー姉、ありがとう」

 たいして真剣に考えていなかったので、お礼を言われても気まずい。

「本当にいいのかなぁ、ユウで。他に無いの、リゼ?」

「本人がいいって言ってるんだからいんじゃね?」

 リゼに振っても、あっさりかわされた。


 そんな適当なノリで、リュウの名前はユウになりました。

 本当にいいのでしょうか。

 とりあえず、<武国>にたどり着く前に、呼び慣れようと思います。

―――(5月22日、ムーシャの日記より)

次回更新、9月14日

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