神々の最初の悪戯
この世界では、不公平は生まれた瞬間からすでに存在している。
裕福な家に生まれる者もいれば、愛情の中に生まれる者もいる。そして……何も持たずに生まれる者もいる。
そして、ある者たちは……マイナスから生まれる。
だが人生とは残酷な舞台であり、
スタート地点がどれほどであろうと、その後に起こる全ては
これまで自分自身がしてきた選択の結果に他ならない。
...
ある世界では、生まれた瞬間に守護が与えられる
神々から一人ひとりに与えられる固有のスキル
炎を操れる者、水を自在に操れる者
動物と会話できる者、狩猟が極めて得意な者
一つの国を変えるために生まれた者たち
他者を震え上がらせるほどのスキルを持つ者たち
…
しかし、全員がそのように幸運なわけではない。
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神殿の中で、部屋の周囲は白い法衣を着た司祭たちで埋め尽くされ
青い法衣を着た神父が、女神の像に向かってゆっくりと進んでいた
…
おぎゃ~おぎゃ~
白い布に包まれた赤ん坊が、女神像の足元に横たわっていた。
頭の上に白い魔法の輪が浮かび上がる
そして少し離れた場所で、一人の男と女が互いに抱き合いながら、その赤ん坊を見つめていた
……
神父は両手を組み合わせ、女神像の前で深く頭を垂れた
そして祈りの言葉が部屋中に響き渡る
「女神モギラ様よ。」
「我らを常に守ってくださり、」
「この土地に与えてくださった数々の奇跡に感謝します。」
「今、新たな命が我らの元に訪れました。」
「どうかこの子をお守りください!」
「これまでと同じく、我らをお導きください。」
...
部屋は今、白い光で満たされ
白い魔法の輪の上に灰色の文字がはっきりと浮かび上がる
「Undying Will」
「Multi Simulation。」
…………………………
ばたばた…ばたばた…
夫婦は手を離し、神父の方へまっすぐ向かった
彼らの顔は汗でびっしょりで、視線はあの板から離れない
「どうなりましたか、神父様?」
「この子は、私たちの子ですが……」
「結局、何を受け取ったのですか?」
…
はぁ…
神父は目を閉じ、軽く首を横に振った
手を伸ばして魔法の輪に触れる
「恐らく……この子は……」
「受け取ったものは……」
「灰色のスキルだけです。」
…
女の顔がみるみる青ざめ、目を見開いて赤ん坊を見つめた
指が震え始め、体が徐々に縮こまっていく
「いいえ……そんなはずはない……」
「そんなわけがない……」
「これはきっと冗談よ……」
「この子の能力が……」
「まさか……」
「頭の中だけにあるなんて!?」
…
…
神父はゆっくりと顔を上げ、目元を和らげて軽く頷いた
「そのようです。」
「しかし、この種の能力も決して悪くはない。」
「この子に十分な教育を与えれば、」
「必ずや偉大な人間になれるでしょう。」
「歴史書に残る天才たちと同じように。」
…
女は顔を床に向け、目を細め、顔中にしわを寄せた
髪は今や乱れ、両手で頰を強く押さえる
「女神は私をからかっているの?」
…
たっ。
男は眉を寄せ、神父に近づいていった
左腕を赤ん坊の方へまっすぐ伸ばす
「きっと何か間違いがあるんでしょう?」
「この子がどうしてそんな平凡なものを持てるというのですか!?」
「どうかもう一度確認してください!」
…
神父は首を振り続け、魔法の輪を何度も見つめた
「たとえ百万回確認しても結果は同じです。」
「ユニークスキルは決して変わらない。」
「どんな場合でも。」
「どうか二人は時間をかけて、この子をゆっくり育ててみては。」
「そして……」
………
あはっ…あはは…
女は突然後ろに体を倒し、両手をだらりと垂らして、声が空間に響き渡る
「どこにそんな贅沢なものがあるっていうのよ!」
「家には金がないし、借金取りももう来てるのよ。」
「私はお前に全部賭けたのに、お前は私にこんなことをするの?」
…
「なんで私はお前をお腹に宿したの?」女は体を前に縮め、赤ん坊を睨みつけた
「なんでお前は他の人みたいに奇跡を持ってこないの?」
「なんで私の祈りに応えないの?」
「いっそ消えてしまえばよかったのに!」
…
男は女の前に飛び出して立ちはだかった
両手を広げ、顔にしわを寄せる
「そんな言い方をするな!」
「何を言おうと、この子はお前の子なんだぞ。」
「この子がそんな言葉を聞く必要はない!」
…
あはっ…
乱れた髪の間から、女の目が前方を睨む
「だったらあいつもお前と同じ役立たずね。」
「口では変わると言うくせに。」
「でも毎回お前は金を全部ギャンブルに使ってしまう!」
「世間は可哀想よ!」
「あの子はお前に育ててもらう必要があるの!」
「私はどうなるの?」
………
とんとん…
部屋の奥から、年配の女が立ち上がった
杖を床に突き、夫婦の方を見上げる
すぐ隣で、一人の司祭がその女を支えていた
「もし二人がその子を引き取りたくないのであれば……」
「うちに売ってください。」
「望む金額を支払いましょう。」
「あの子は私が丁寧に世話をします。」
「神父様がそれを保証します。」
「悪くない取引でしょう?」
…
女は突然体をまっすぐに起こし、乱れた髪を直した
服をきちんと整え、
体を軽く曲げて黒い服の老女に頭を下げる
「そんなに親切に言ってくださるなら……」
「私たちにはもう何も望むものはありません。」
…
「よろしい。」年配の女は杖を出口の方へ向けた
「では少し外で待っていてください。」
「準備をします。」
…
「問題ありません!」女は微笑み、男に目配せした
「どれだけ時間がかかっても構いません。」
………
すた…すた…
夫婦は光が差し込む出口の方へ進んでいった
女の顔には明るい笑みが浮かんでいる
…
ぴたっ
しかし男は、足が突然遅くなった
体を少し傾け、横たわっている赤ん坊をちらりと見た
…
「まだ何を待ってるの?」女は男を睨みつけた
「また天才的なアイデアでも出すつもり?」
「それとも父親らしいところを見せるつもり?」
…
…
すた…すた…
そして男は去っていった
部屋の扉がゆっくり閉まり、外の光が夜の闇に消えた
………………………………
神父は老女の方へ近づき、顔をしかめた
両手を前に出し、体を低くした
「本当に大丈夫ですか?」
「表向きは良いように聞こえますが……」
「この子のスキルは……」
「せいぜい……」
…
老女の口元がゆっくりと歪み、指が杖の上で軽く動いた
「Undying Willを持っているじゃない。」
「そのまま働かせればいいのよ。」
「些細な金など気にする必要はないわ。」
「もっと有用なものが手に入るんだから。」
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[16年後]
夜が訪れ、家々の扉は固く閉ざされていた
周囲にはわずかな明かりが漂うだけ
そして人の列が、絶え間なくある店へと向かっていた
………….
人で溢れた一室の中で
宴会のテーブルには料理が山積みされ、
大きな酒の杯が床中に転がっている
何人かの女が、ウェイトレス姿で部屋中を歩き回っていた
受付カウンターには紙が所狭しと貼られている
……
びりびり…びりびり…
一人の女が、目の下に黒いクマを作り
壁に貼られた紙を次々と破りながら、
顔をしかめて奥の厨房の方を向いた
「そこで寝てんのか?」
「もっと早くしろよ?」
「客が待ちくたびれてるんだぞ。」
…
じゅうじゅう…じゅうじゅう…
広い厨房の中で、調理器具がそこら中に散らばり
大きなトレイの上に食材が山盛りになっている
その中でただ一つの人影が、ずっと炒め物を続けていた
「今頑張ってるよ!」
「あと10分くらいでできるから。」
…..
だんっ
「関係ねえよ!」女は手を強くトレイに叩きつけた
「金払ってるんだから遅れるんじゃねえ。」
「この山を全部片付けろ!」
「客はてめえ一人で回せるかどうかなんて関係ねえんだよ!」
「今日の給料はいらねえってことか。」
「不滅太一。」
…
ぎゅっ!
フライパンが今、隅に置かれた
太一は頭にリボンをきつく結び、視線を食材の山に向けた
「それは困ります。」
「でも……大丈夫です。」
…
「たとえ3分でも、予定の範囲内ですから!」




