案件3 魔女裁判 12
文才というのは、やはり生まれつきなものなのだろう。私にはとうてい、アユカのような文章を書くことはできない。アユカの才能には、心底敬服するばかりだ。
それにしても、ヒトミ。あんたの頭の悪さには、ほとほと愛想が尽きる。人の噂話以外、口にする言葉はないのかと言いたい。
英Rのミシェル=ハワードのことを、翳りのある男って素敵とかなんとか言っていたのは、どこの誰か。
青い鳥ばかり追いかけていては、足元がお留守になっていつか躓くだろうが。
全く。知ったかぶりをして、青ひげなんて言葉を使うのもいいが、〈青ひげ〉と言えば、猟奇大量殺人者の代名詞だろう?
何がヨハン先生ファンクラブか。浮かれ騒ぐのもいい加減にした方がいい。
長くなってすまないが、最後にシホ、『青い鳥』の概要を記してくれてありがとう。
それじゃまた。
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シホ→ディアフレンズ 1/21
近藤さんとの間に、そんなことがあったなんて全然知らなかったわ。リナちゃんの文章って簡潔で客観的だと思ってたけど、近藤さんの話の件は、まるで小説を読んでいるみたいでドキドキしました。情景が目に浮かぶようです。
あまりにもよくできていて、フィクションにも思えるぐらい。
化け物の巣窟って、一体どういう意味なのかしら。
女同士の騙し合いとか不毛な抗争とか、醜い嫉妬とか馴れ合いとかは、私達のクラスでは皆無と言っていいわ。でも女子高が初めてだったら、女同士で固まっているのが不自然に見えるのかしら。
そう言えばこの前、放課後に残って創立祭の準備をしていた時、ちょっとおかしな光景を見たの。
何だったのかな、あれ。
今から考えてもよく分からないんだけど。まず、放課後も遅い時間にどうして帰宅部の近藤さんが学校にいたのかってことなのよね。
階段を下りてふと見ると、近藤さんが立っていたの。彼女の死角になっていて、私には気付かなかったわ。
廊下の真ん中で立ち尽くしているから、気分でも悪いのかなって思ったの。確かに蒼白な顔をしていたわ。
それが突然右腕を振り上げたかと思うと、壁にバンッて音がするほど強く叩きつけたの。自分でそんなことするなんて変よね。
彼女、壁を突き飛ばすようにして、よろめきながらどこかに走り去ったわ。泣いてたようにも見えたけど、はっきり分かりません。
あと、次の日偶然近藤さんの右手首が見えたんだけど、黒い手形みたいな痣があったの。すごく気にはなってたんだけど……。




