案件3 魔女裁判 11
アユカの言う通り、次はバスケの名門光明女子とあたる。自分達のベストを尽くして、精一杯戦いたいと思う。
わざわざ授業を公欠して臨む試合なのだから、当然のように勝利を期待されるのが痛いところだ。
それにしても、今日の昼間の出来事は腹に据えかねる。
シホとヒトミは、購買にパンを買いに行っていたので知らないだろうが、昼食に転校生の近藤愛美を誘ったのが間違いだった。
アユカは黙っておくべきだと言うが、そうは思えない。
この話を聞いてどう思うかは、二人の判断に任せるのが一番いいのだろう。
近藤さんは、四限目の授業が終わると、いつの間にか教室から姿が見えなくなる。この日も、授業の片付けをしているなと思っていたら、ふと気が付けば風のように教室の扉から出ていくところだった。
アユカが慌てて呼び止めて、いつもどこで食事をしているのかと聞くと、胡散臭そうな目つきで、屋上だと一言で答えた。
屋上に許可なく入ることは禁じられているが、その時はそんなことを言っている場合ではない。
寒いのになぜそんな所で食べるのかと私が聞くと、近藤さんは空気が澄んでいて奇麗だからと言うのだ。
可愛い顔をしているのに、ニコリと愛想笑いの一つもしない。
変わっているのか、お高く止まっているのか。私には判別が着かなかった。
「よかったら、私とリナさん、いつも一緒にいる四人で食事にしません?」
近藤さんは何を言っているのだろうと言いたげな顔で、首を横に振った。
「お気持ちは有り難いのですが、ここでは食事をする気分にならないので、失礼させてもらいます」
頭を深く下げると、近藤さんは呆気にとられている私達を残して、身を翻して廊下に消えた。
階段の方に向かったので、屋上にいくつもりなのだろう。
近藤さんが吐いた捨て台詞を、アユカはよく聞きとれなかったと後で洩らしたが、私にもよく意味が分からなかった。
「ここは……の巣窟だわ」
それでも、今になってはっきりと思い出した。彼女は言ったのだ。
「ここは化け物の巣窟だわ」
最後に近藤さんが見せた表情が、気になると言えば気になる。まるで何も知らないことを哀れむかのような視線だった。
何だか柄にもない文章を書いてしまって恐縮だが、昼間の出来事を思い出すにつけ、ふつふつと湧いていた怒りも収まってしまった。 このページは破り捨ててくれて構わない。なかったことにして欲しい。




