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嘗て困窮しただただ緩やかな滅びを待つだけの国があった。
大地の聖母はその運命を哀れみ、自らの体を分けた子を送り出し滅びの道より救いあげようと試みたが、愚かなる者らはそれを鼻で笑い、聖母の分け身たる者を酷く扱い追い返してしまった。聖母は嘆き、その嘆きにより風の精霊が心を痛め言った。
口さがない噂を流行らせるのが好きならば、こちらも質の悪い病を流行らせよう。体の痛みを知れば少しは人を気遣うという心も生まれるでしょう。
そして風はクスクスと笑い声を立てながら彼の国の中を走り、病を振り撒いた。
子を馬鹿にされ酷い扱いを受けた聖母の怒りに火の精霊もまた激怒して言った。
様々な恩恵を受けておきながら唾を吐きかけるとは、何と愚かで卑怯な事か!そのようなものら、我が皆燃やし尽くしてくれる!!
乾いた空気と燃えやすい家屋、それに火を使う家々に赴いた火は己の怒りを表すように轟々と火柱が立つほどに炎を暴れさせて回った。
聖母が流す涙に水の精霊は悲しげな顔をしながらその涙を拭い言った。
私の大切な貴方を泣かせる彼奴らが憎い。荒れ狂う河川だけでは心は静まらない。この心に流れる毒がいずれ水にも流れ出す、私の苦しみを味わうがいい
果たして滅びの国は本当に存在していたのか。今となっては誰も知る由もない。




