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久しぶりなうえルーファスがヘタレ……
最近婚約者の様子がおかしい
以前は自分の姿を見つければ華のような笑顔を浮かべながら声をかけてくれていたのに、最近は常に憂鬱そうな顔……というよりは何かに怯えているような不安そうな顔をしている。
「エミリア様ですか?特にお変わりなく過ごされております。」
彼女の侍女に最近の様子を聞いてみたが返事はいつもと変わらず。
一体何に怯えているんだ。
そんななか開かれた夜会
エミリアはいつもと違い大人っぽくシックなドレスを身にまとい、まるで女神のような神々しさだ。
どんな言葉も彼女の前には何の意味を成さないような気がして何も言えなかった
エミリアはダンスを1曲踊るとすぐに友人達のもとに行ったので自分も王太子のもとで談笑していた。
そこで紹介された男爵令嬢のアンブローズ
彼女が纏うドレスは可愛らしく以前のエミリアを彷彿とさせ自然と顔が緩んでしまったらしい。
咄嗟に気づいてアンブローズの顔をみると頬を紅潮させ、涙で潤んだ顔で自分を見上げていた。
やってしまった……
この顔は女性受けするらしい。
以前もこんなことがあり大変だったのだ。
俺はエミリア以外は特に興味がない。
エミリアに出会った時の衝撃と手に入れたい衝動、彼女を自分だけのものにして他の誰の目にも触れさせたくない……そんな気持ちは生まれて初めてだった。
そんななかエミリアが婚約者という絶好のポジションにいるのに逃がすはずが無い
それなのにこんなところを彼女に見られたらあらぬ疑いをもたれてしまう
しかし立場的な問題もありこのままアンブローズ嬢を放ってエミリアのところにいくわけにもいかないのだ
王太子のすすめとアンブローズ嬢の希望もあり
彼女と一曲踊ったが、何故か二曲目も踊りたいと言ってきた。
彼女は同じ人物と二曲連続で踊る意味を知っているのだろうか。もしかすると最近まで平民だったこともあり知らないのかもしれない。そう思い断りをいれようとした時、視界の端にいたはずのエミリアが居なくなった。