俺と不思議少女の喧嘩
夏休みまでもうすぐ美奈も俺も楽しみでいっぱいだ。
「美奈、俺今日出掛けるけど、一人で出掛けられるよな?」
「うん、大丈夫だよ、どこ行くの?」
「ちょっとクラスの男友達と遊びにな」
本当は冬とのデートに付き合うのだが、そんなこと言えるわけもなく、誤魔化した。
そんな俺を美奈は優しく玄関
まで俺を見送った。
「お兄ちゃん、ちょっと慌ててたけど・・そんなわけないよね」
お兄ちゃんを信じないとね。
「どうしよっかな~」
一人で大丈夫と言ったのはいいけど、実際一人で行ける場所なんて限られてるし、かといって私友達なんていないし、
とりあえず冬に会ってみよう
と電話をかけてみた。
だけど、留守電って言うのででてくれない、お兄ちゃんにも、楽しい場所はないかなって思って電話したけど同じく留守電。
「う~んお金はあるんだけどな~・・」
とりあえず家にいても仕方ないから町に出てみることにした。
今日は駅一個となりの商店街に行った。
服屋さんとかクレープ屋さんとかアクセサリー屋さんとかいろんなお店を回って、時刻は12時30分近くを指していて、私も小腹が空いてきたころ。
近くにカフェテラスがあった。
そこのチョコティラミスが甘くて美味しそうだからついついよっちゃった。
「うん!、美味しい!」
ティラミスを食べ終えて、大好きなココアを飲み終えて、次は何処に行こうかと考えているといつからいたのだろうか、見覚えのある後ろ姿が視界に入った。
「あれって・・・」
恐る恐る近づいていく。
別に恐る恐る近づく必要なんてないのに、なにかがそうさせてる・・・。
なんか、呼んではいけない気がする。
そこに行ってはいけない。もう一人の私がそう問いかける
だけど私は恐る恐る近づいて声をかける、そして私の予想は当たった。
「お兄ちゃん?」
「お、おぉ!、美奈か、今友達と来てるんだ、だから、悪いけど、今は・・・」
俺はどうにかして今のこの状況から美奈を遠ざけなければならない。
しかし、間が悪く、彼女が駆け寄ってくる。
「待たせてごめん、レジこんでて!」
「っ!・・」
俺は反射でビクッと方を震わす。
そしてまもなく、美奈の姿を確認した冬は、「あっ」と少し驚きぎみになり、気まずいふいんきなる。
「え、冬?、これはどういうことなの?だって今日は男友達と出掛けてくるって・・」
私は状況が読めない、そこには男友達じゃなく、いつも以上に、着飾ってる冬の姿があり、両手にはお持ち帰り用のカップが二つ。
たぶん、一つはお兄ちゃんのかな。
「えっと、これはだな・・・」
やばい、どうにかごまかさないと。まずい。
「たまたま一緒になっただけだよね?」
冬のフォローが入り、俺はそれに便乗する。
「そ、そう!たまたまなんだ、男友達が先行っちまってはぐれちまったところにちょうど冬がいてな、アハハハ」
「そうそう!」
俺は美奈が納得してくれると思った。
「ちがうどしょ?」
「え?」
俺は予想外の言葉を美奈から告げられ驚きを隠せない。
「うそだよね、本当は二人とも・・」
いよいよ不味くなってきた、でも言い訳が思い付かない。
「そうよ、風夜は私と付き合ってるの?、二週間も前から!」
あろうことか、この状況で一番言ってはいけない言葉を言ってしまった、全てを無にしてしまう一言を。
あれほど約束したことを、冬はあっさりと。
「え・・?」
私は状況が読めなかった。
うぅん、わかってたけど、理解しようとしない。
「うそ・・・」
「本当よ!、風夜は私と付き合ってるの!」
もう、ここまで言ってしまえば取り返しがつかない、ごまかそうにもごかせない。
そして全員が無言になってしまう。
と、そこに、聞き覚えのある人物の声が耳にはいる。
うまくいけば助け船になるのかもしれない。
「先輩!、ここです!おすすめのカフェ!」
「まぁ、たつやが見つけたにしてはいいカフェね」
「じゃあ、あそこに座っ・・ってあれ?風夜じゃね?」
助け船が気づいてくれた。 生徒会風紀委員、委員長の光崎癒菜
うちのクラスの男子こと冬の双子の弟、朝波たつやだ。
「よう風夜、両手に花だな、デー・・・トって訳じゃ無さそうだな・・どうした?」
どうやら察してくれたみたいだ。
「それがさ・・」
俺は全てを癒菜とたつやに話す。
「ばかね」
「だけど・・他に方法が・・」
「いいわ!、この件、今回は風紀委員として私が仲介してあげる・・・か、勘違いしないで、ただクラスの空気が悪くなったら困るから、貴方が困ってるからってわけじゃないから・・///」
さすがクラス1のツンデレ委員長、今日もツンツンしてる。
だけど仲介は助かる、はっきりいって俺一人だったら、最悪な結末だっただろう。
「ところで、なんで癒菜先輩とたつやが一緒なんだよ」
「そりゃあまぁな、いろいろあんだよ」
「たつやの自習とか宿題、しょうがないからこの私が手伝ってあげたの、その代わり今度美味しいお店連れていってって頼んだのよ」
「ってわけだ、とりあえずあそこの気まずそうな二人どうにかしないか?」
俺が言えた義理ではないが、たつやの言うことには賛成だ、というよりはあたりまえだ。
あのまま二人にはできない。
「とりあえず風夜、貴方は今日から三日、冬と一緒にこれからを話なさい、その間妹は私が預かります」
「わかりました」
そこで今日の話は終わった。
美奈は癒菜先輩がつれていき、いろいろと話してくれるらしく。
冬と俺は三日以内に別れるか継続か決めなければ、先輩が学校にいい、それなりの罰がくだされるとのことだ。
元々学校側も男女交際を良い方に見ていないからな。
それだけは避けなければ。
いや、本当に避けるべき点は、美奈のことだ、あぁ見えて結構傷つきやすく、何かあると引きずるから、大丈夫か心配だ。
けど、そこは癒菜先輩がどうにか頑張ってくれるだろう・・・たぶん。
俺と不思議少女の喧嘩END