俺と不思議少女の先輩
カフェでデート中の冬とお兄ちゃんに出くわして、気まずい雰囲気の中、そこへ生徒会の光崎癒菜さんと出会い、仲介役に割って入ってくれた。
そして私は、冬とお兄ちゃんの話がまとまる三日間。 癒菜さんの家にお邪魔することとなった。
私の通う高校には、一人暮らしの人が多く、癒菜さんも一人暮らしらしい。
一人暮らしの理由は人それぞれ。 小さい頃に両親を亡くしたり、離婚したりといろいろある。
癒菜さんは両親との関係がよくなく、それで高校から一人暮らしをしているらしい。
「部屋、広いですね」
「そお? ありがとう」
親の援助もなく一人暮らししているものだから、てっきり狭いかと思ってた。 言葉に出してなくても・・・やっぱり失礼だよね。
「その辺すわって、お茶出すね」
うわ、高そうなソファー。 うちのソファーとは大違いだよ。
「それで、いつからなの?」
「え?」
いきなりなんお話をふってくるんですか。 話の趣旨がわからない。
「やだなぁ、風夜のことに決まってるじゃない」
「あぁ、そのことですか・・・え・・えっと・・一目惚れ」
犬だった頃からとは言えない。
「癒菜さんこそ、あぁ言っておきながら、さっきはデートだったんじゃ?」
「デッ、デートじゃないわよ、ただ一緒に出掛けてただけ」
それをデートと言うのでは?
その後も恋バナ、癒菜さんの思い出などたくさん語ってくれた。
この人は、お兄ちゃんのことを大切にしてくれている人だと分かった。 それと同時に・・・・。
会話中、たまに見せる笑顔。 私は見覚えがあった。
「あ、あの、もしかして、前にうちに来たことありますか・・・?」
この心から安心させられる笑顔、私は知ってる。
「前に? そうね、中学の頃に一回・・かしら」
この人なら・・・癒菜さんなら・・・・・私のことを言っても、大丈夫かな・・・。
「あの頃の風夜はシャイでね、私が声かけてもなかなか会話してくれなくて、つい帰りに家までついて行って入れてもらったの」
「そうですね、あの頃は年頃の時期でしたから」
頭の中であのころのお兄ちゃんを思い浮かべると、つい笑っちゃう。
「それに私・・中学の頃までは・・・いじめられてて・・・ね」
「あっ・・・ごめんなさい」
一瞬癒菜さんの表情が暗く、悲しくなった気がして誤った。
きっとひどいことをされたのだろう。
「あ、いいのいいの。 こっちこそ関係ない話ししてごめんなさいね・・・あっ、そうそう、その時が初めてなのよね。 風夜と家以外で話したの」
その時・・・つまりお兄ちゃんと初めて出会ったのはいじめを受けていたとき。
「校舎裏でいじめられていた私をね、風夜が助けてくれたの・・・・かっこよかったわよ」
癒菜さんは楽しそうに私の知らないお兄ちゃんの武勇伝を語りだす。
その日助けて以来。 お兄ちゃんは冬さんと一緒に癒菜さんと生き帰り、校内でもなるべく一緒にいるようにしていた。
そうしたことで、いじめる生徒は癒菜さんに近寄らなくなった。
全てが楽しく、明るい毎日だった。
でもある日。 そう・・・私が死んだあの日。 あの日以来、お兄ちゃんは家からでなくなり、いつも家で自分を責めていたと癒菜さんは言った。
「私が迎えに行っても、玄関でどれだけ待っても、風夜は出てきてくれなかった・・・・私じゃなにも力になれなかった」
癒菜さんのその言葉は、お兄ちゃんの支えになれなかった。 助けてくれた恩返しをできていないを責めるような言い方にもとらえられた。
そして癒菜さんは「・・・でも」っと言葉をつなげる。
「美奈が風夜の家に来てから、前の風夜に戻ったみたいで・・・なんでかしらね」
癒菜さんなら・・・・信じてくれる。 革新はないけど、そんな気がする。
「あ・・・あの!」
私は勢いよく立ち上がり真剣な眼差しで癒菜さんの綺麗な瞳を見る。
私の真剣さが伝わったのか、癒菜さんは何も言わず真剣な、眼差しで私を見る。
「信じてもらえるとは思ってません。 だけど、いいます。 私は風お兄ちゃんの・・・・・風夜の犬だった・・・ミーナなんです!」
はっきり言ってバカバカ悪しい。 お兄ちゃんだって最初は信じてくれなくて、今だってもしかしたら疑っているかもしれないのに。
会って間もない癒菜さんにうち明かすなんて・・・・。
普通の人なら「あたま大丈夫?」の一言で受け流されるか笑われる。
でも癒菜さんは違った。
私が非現実的な事を言っても、じっと私の目を見て黙り込んでいる。
その目は真剣でいて、私が嘘をついていないか見抜いている。 そしてその答えは・・・・・・・。
「・・・・本当みたいね」
信じてくれた。
「あの、どうして信じられるんですか? こんな非現実的なことを」
気になったので聞いてみた。 癒菜さんはべつに人の心を読み取る力があるわけでもない。
なら、なぜだろう。
癒菜さんは私の問いかけにすぐに答えてくれた。
「本来風夜の家にいないあなたが、なぜ風夜の中学時代の家のことを知っているのか、なぜならそれは美奈がミーナだから・・・・ってところかしら」
「でも、私は・・・せっかく会えたのに、何をしてあげればいいか・・・・わからないんです・・・」
私の悩みのような、独り言にのようなものに、癒菜さんは答えてくれた。
「何もしなっくてもいいと思うわよ?」
「え?」
癒菜さんの答えに私は少し驚いた。
「別になにもしなくても、風夜はあなたから離れたりしないし、たぶん美奈のことを一番に考えてると思うわよ?」
「で、でも・・・じゃあなんで、お兄ちゃんは私に黙って冬と・・・・・私のことを考えているならいって――――――」
「わかってないわね、だからじゃない、風夜はきっと冬と付き合ってることをあなたにいったなら、美菜が遠慮するようになるから、いわなかったに決まってるじゃない!」
癒菜さんに言われて気づいた・・・本当ならとっくに気づくべきなのに、私は気づくどころか、冬に妬いてた。
それにもし冬と付き合っていると聞いたら、癒菜さんの言う通り、身を引いていただろう。
お兄ちゃんは私と冬、両方を幸せにするために頑張っていたのに・・・・勝手に怒って、バカみたい。
「どぉ、わかった?」
私の様子を見た癒菜さんが私に問いかけてきた。
「はい、私バカでした!」
そういうと、癒菜さんはニッコリと笑った。
こうしてその日は終わった。
次の日の登校は癒菜さんと一緒に登校した。
癒菜さんと登校すると、改めて本当に生徒会長なんだと実感する。
なぜなら次から次へと通りかかる生徒が笑顔で癒菜さんに挨拶をしている。
「すごいですね、癒菜さん」
「そんなことないわ、みんな当たり前のことを当たり前にやっているだけよ」
そんな会話をしていると、前方からお兄ちゃんが歩いてきた。
見た感じ、冬さんはいない、部活なのだろうか
なんて声をかけていいかと思っていると―――――――――
「おはよっ、美菜」
「え・・・おはよう」
意外なことに、普通に声をかけてくれた。
昨日の会話をしてから、ずっとお兄ちゃんのことが気になって仕方がない。
意識してるのかな?
自分でもそう思ってしまうほどだった。
「昨日のことだけどさ、本当に―――――」
「わかったから、もういいよ、私のこと考えてのことなんだよね?」
私はなるべく意識しないように、普段を装って答えた。
「え?おう」
「二人の蟠りが解消されたところで本題なんだけど、冬との話はまとまったの?」
癒菜さんがそう聞くと、お兄ちゃんは頭を掻いて「それがさぁ・・・・」という。
「昨日あのあと話したんだけど、嫌だって言われて・・・・」
「まぁまだ期限はまだですが、早くいめなさいよね?美奈ちゃんのために、一年ぶりに出会えたのにこれじゃあ可哀想でしょう?」
「え・・・?」
疑問を浮かべるお兄ちゃんに、冬先輩は昨日のことを話した。
もちろん、私がお兄ちゃんのことが好きというのは言っていない。
「・・・そうか、でも美菜は話してもよかったのか?」
「うん、私はよかったよ」
よかった、お兄ちゃんはしっかり私のことを考えてくれてる。




