# 第六話 旅立ちの日
# 第六話 旅立ちの日
朝。
村は静かだった。
昨日の戦いが嘘のように。
だがレインは知っている。
平和は戻っていない。
ヴァルグは必ず来る。
もっと強い敵を連れて。
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村長の家。
レイン、ミリア、そして村の大人たちが集まっていた。
重苦しい空気。
誰もが同じことを考えている。
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村長が口を開いた。
「レイン」
「お前はどうする」
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レインは迷わなかった。
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「旅に出ます」
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その一言に全員が息を呑む。
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「魔王軍のこと」
「王家の封印のこと」
「俺は何も知らない」
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拳を握る。
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「だから知りたい」
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「強くなりたい」
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「守れる力が欲しい」
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静寂。
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そして。
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村長はゆっくり笑った。
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「そうか」
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「なら行ってこい」
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レインは驚いた。
反対されると思っていた。
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村長は立ち上がる。
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「昔からお前は変わらん」
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「無茶ばかりして」
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「夢ばかり追いかけて」
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少しだけ目を潤ませた。
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「だが」
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「そんなお前だから応援したくなる」
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レインの胸が熱くなる。
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初めてだった。
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夢を否定されなかったのは。
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「ありがとうございます」
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深く頭を下げた。
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その日の昼。
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村の入口。
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多くの村人たちが集まっていた。
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レインは旅支度を終えていた。
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古いリュック。
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父の赤いマフラー。
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腰にはアストラ。
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そして。
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隣にはミリア。
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「本当に行くんだね」
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ミリアが少し寂しそうに言う。
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「うん」
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「怖いけどな」
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正直だった。
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レインは強がらない。
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怖いものは怖い。
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不安なものは不安だ。
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それでも進む。
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それがレインだった。
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ミリアは微笑む。
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「その方がレインらしい」
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その笑顔を見て。
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レインの心臓が少し跳ねた。
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アストラが呟く。
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『分かりやすいな』
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「うるさい」
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『顔が真っ赤だぞ』
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「うるさい!」
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ミリアは不思議そうな顔をした。
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「どうしたの?」
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「なんでもない!」
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村人たちが笑う。
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少しだけ空気が軽くなった。
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そして。
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旅立ちの時。
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レインの母が前へ出る。
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小さな袋を渡した。
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「お弁当」
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「お母さん……」
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「ちゃんと食べるのよ」
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「うん」
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「無理しないのよ」
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「うん」
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「怪我したら帰ってきなさい」
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レインは笑った。
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「それは無理かも」
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母は泣きながら頭を叩いた。
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「馬鹿」
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「英雄になる前に親孝行しなさい」
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村中が笑った。
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レインも笑った。
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そして。
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一歩前へ。
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村を出る。
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振り返る。
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生まれ育った故郷。
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小さな村。
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大好きな場所。
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「行ってきます」
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その言葉を残して。
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歩き出した。
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未来へ。
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夢へ。
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英雄への道へ。
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しかし。
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旅は始まったばかり。
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数時間後。
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森の街道。
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レインたちは初めての野営場所を探していた。
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すると。
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遠くから叫び声が聞こえた。
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「た、助けてくれぇぇぇ!」
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レインとミリアが顔を見合わせる。
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「行こう!」
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走り出す。
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その先で待っていたのは。
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巨大な魔物に追われる一人の大男だった。
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そして。
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この男こそ。
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後にレインの最初の仲間となる男。
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大剣使い。
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ガルドとの出会いだった。
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# 次回予告
## 第七話 大剣使いガルド
魔物に追われる大男。
第一印象は最悪!
口も悪い!
態度も悪い!
でもなぜか放っておけない!
レインは新たな仲間を得られるのか!?
そして初めてのパーティーバトルが始まる!
次回――
**『大剣使いガルド』**
「仲間?そんなもんいらねぇよ!」
「じゃあ俺が友達になる!」
「お前、馬鹿だろ!?」




