第11話 対決
「皆さん、死んでしまいましたか・・・」
姿を現した盗撮魔人。
手下だったであろう魔石を一瞥。
「お前ぇぇ!今度は逃がさない!」
激高し、飛びかかる真白。
「よせ!真白!」
美桜は止めようとするが、構わず突進。
ヒラリ
華麗にかわす盗撮魔人。
「おやおや、相変わらずせっかちですねぇ。」
「少しは仲間の死の余韻を楽しませて貰えませんかねぇ。」
「楽しむ、だと?」
「ええ。良い仲間だったんですよ。本当に。」
「それで何が楽しいんだ?」
「長年連れ添った仲間だったんですよ。前世からのね。」
「前世から?」
「はい。特に『大福P』とは気が合いましてね。」
「それぞれ自慢の映像を持ち寄ってね。鑑賞会をするんですよ。」
「鑑賞会・・・」
「そうそう。貴方の感電パンツは受けましたよ~」
「このっ・・・」
「堪えろ真白!」
「フフフ。楽しい毎日でしたよ。」
「その仲間が死ぬなんて・・・フフ、フフフ。」
「ハッハ、ワァッハッハッハ~!!」
「何が可笑しい?」
「笑えるじゃないですか?」
「大事な仲間が殺されたんですよ?目の前でね。」
「なかなか経験できることではないですよ?」
「ワクワクするでしょう?」
「この下衆野郎!」
「フフフ。あなたもすぐに分かりますよ。仲間が殺されればね!」
盗撮魔人の表情が変わる!
「ホーリーレイ。」
聖なる光線が美桜を狙う!
バシュ!
「うっ!」
美桜の左肩を光線が貫いた!
「ミオ!」
レオが駆け寄り、大盾を構える。
「ほう。よくかわしましたね。」
「今のはマルスの光魔法じゃのぉ。」
「おじいちゃん、マルスって?」
「Sランクパーティーのエースの名じゃ。」
「それじゃあ・・・」
「うむ。ミーナの報告の通り、上位パーティーのスキルを使えるようになっておるようじゃ。」
「どうしたら・・・」
「真白!早く回復を!」
「あ、うん。そうだね。」
レオの大盾の後ろに隠れて美桜を回復。
「すまない、真白。」
「ううん。遅くなってごめん。」
「さぁ皆さん、相談は終わりましたか?次、行きますよ。」
「不知火。」
ボシュッ!!
盗撮魔人の生み出した炎が鞭のようにしなり、
パーティー全体を薙ぎ払う様に伸びてきた!
「アクアウォール。」
オルディスの水の壁が炎を受け止めた。
「おじいちゃん!魔力は?」
「うむ。今ので打ち止めじゃ。」
「ストーンランス。」
ドドドドッ!!
地面から槍状に尖った岩が無数に突き上げて来る!
「アンジュよ!」
「はい、先生!ウインドミル!」
アンジュの放った回転する風の刃が岩を削り取った!
「そうですか、そうですか。」
「皆さん、良くやっていますよ。」
「しかしまぁ、やはり彼ですかね。」
「盗撮-スティール-」
カシャ
「うっ!・・・何じゃ?」
「おお!良いですねぇ。かなり使えそうです。」
「では、早速・・・タイダルウェイブ。」
「何!?」
巨大な水流がメンバー達を飲み込んだ!
ゴボゴボゴボ・・・
「ガハッ!ゴホッゴホッ・・・」
「みんな大丈夫?」
「ああ・・・ゴホッ・・・大丈夫だ。」
「先生!大丈夫??」
「ハァハァ、大丈夫じゃ。まさか自分の技にやられるとはの・・・」
「次来るぞ!」
「アクアランス。」
複数の水の槍が飛んでくる!
「グレートウォール!」
レオが大盾を構えた。
「アクアチェイン。」
「うっ!クソッ!」
水の鎖でレオが拘束され、大盾が倒れた!
バシュッ!バシュッ!
水の槍がレオの右脚と左脇腹を貫いた!
「グハァッ!」
「師範!」
「レオ!すぐ治す!」
「マイクロカレントヒール。」
レオの傷が回復していく。
「ああ、もう大丈夫だ。すまない。」
「良かった・・・」
「旋風斬!」
美桜の回転攻撃!
「アクアミラージュ。」
美桜に切り裂かれた盗撮魔人は霧散し、パーティーの後方に現れた。
「そろそろ、とっておきを出しましょうか。」
「海龍神-リヴァイアサン-」
空気中や大地から水分が集まり、やがて光り輝く海龍が実体を現した。
「さぁ、やってしまいなさい。」
グロロロ・・・
海龍は巨大な水球を吐き出し、こちらへ解き放った!
「山嵐!」
アンジュの生み出した強風に乗り、全員が水球をかわした。
「いつまで、避けられますかね?」
バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!・・・
海龍が次々に水球を放つ!
「山嵐!山嵐!山嵐!山嵐!・・・」
「ハァハァ、ハァハァ・・・」
肩で息をするアンジュ。
「アンジュ、大丈夫?無理しないで。」
「ハァハァ、大丈夫・・・ハァハァ。」
「アンジュよ。以前、わしのリヴァイアサンに傷をつけたことを思い出すのじゃ。」
「はい、先生!」
フゥ・・・
アンジュの顔つきが変わる―――
「風牙神-フェンリル-」
優しいそよ風。
徐々に風速が上がる・・・
ボウッ!!
突然の暴風。
風が渦を巻き、何物かを形作っていく・・・
やがて、風を纏った巨大な狼『フェンリル』が姿を現した。
「お願い!フェンリル。」
ウオォォォォーーーン!!
突風が吹いたかのようなスピードで、リヴァイアサンに襲い掛かるフェンリル。
バシュッ!バシュッ!バシュシュシュッ!!
鋭い爪と牙で海龍の身体を削り取っていく。
グロロロロォォォゥゥッ!
応戦する海龍。
しかし、身体を削られた海龍の攻撃力は弱まっていた。
先制攻撃に成功したフェンリルが圧倒。
そして、海龍神-リヴァイアサン-は消滅した―――
「ハァハァ・・・ありがとう、フェンリル。」
バウッ
返事を一声。
風と共に空へと消えた。
「アンジュよ。良くやったのぉ。」
「エヘヘ~。」
「スティール。」
「うっ!」
ドサッ
突然倒れる美桜。
「スティール。」
「うおっ!」
ズンッ
レオの左腕が力なく垂れさがる。
「スティール。」
「ハッ!」
ペタン
その場に座り込むアンジュ。
「え?みんな!」
「美桜!どうしたの?」
「レオ!アンジュ!」
「どうやら皆、盗撮されたようじゃ。」
「そんな・・・」
魔力の無い美桜は倒れた。
レオの義手は魔力を失い動かせない。
アンジュも魔法を奪われたようだ。
オルディスは既に魔法を奪われている。
残されたのは真白だけだ・・・
「レオ、まだ動けるよね?みんなを守ってて。」
「ああ。しかし、お前だけでは・・・」
「それでも、やるしかない。」
「フフフ。良いですねぇ。」
「もっと楽しみましょう。」
「・・・しかし真白さん。あなたはやはり美しいですねぇ。」
ニヤつきながら真白を舐め回すように見つめる盗撮魔人。
「クッ!絶対殺してやる!」
ゾワゾワしながらも殺気立つ真白。
「さて、それでは拝ませて頂きましょうか。」
「山嵐。」
ビュウゥゥゥーーーッ!!
天空から強風が吹き降ろす!
フワッ
真白のスカートが風に揺れた―――
「キャーッ!」
顔が赤く染まる真白。
「見ましたね?」
「フフフ。白、ですね。」
「見ましたね。」
空気が一瞬で張り詰める―――
真白を淡い光が包み込む。
髪が揺れシルバーに輝き、瞳には金色の光が宿った。
「おおっ!美しい!!」
恍惚の表情を浮かべる盗撮魔人。
「パンツを見たら殺しますよ?」
「ん?何です?」
「雷霆!!」
シ―――ン・・・
「え?何で??」
真白は元の姿に戻っていた。
「フフフ。」
おかっぱ頭をかき上げる盗撮魔人。
その額にはレンズのようなものが見える。
「盗りましたよ。」
「ご自身の技で送って差し上げましょう。」
「雷霆。」




