第4話 邂逅
白い世界―――
何も見えない。いや、何もないのか?
見渡す限り、どこまでも「白」が広がっている。
自分が今、どこを向いているのか全く分からない。
上下左右という感覚がなくなっていく。
まるで、フワフワ浮いているようだ。
ホワイトアウトというやつだろうか。
どのくらいの時間が経っただろう?
和代、いや『和代だった者』は思考を巡らせた。
「何ここ?・・・私、死んだの?」
「じゃあ、ここは『あの世』?『天国』?まさか『地獄』?」
「『神様』とか『閻魔様』とかは?」
「フォッフォッフォッ・・・」
「え?誰?」
「ワシはな、そう、『神様的な存在』じゃ。」
そう聞こえた瞬間、目の前に1人の老人が現れた。
禿げ頭、白く長いひげ。ローブを身にまとい、木の杖を持っている。
「げっ、ザ・神様じゃん!」
「何じゃその、ザ・神様というのは?」
「いや~、あまりにもイメージ通りの神様だったんで・・・」
「そりゃそうじゃ。この姿は、お主のイメージに合わせておるからの。」
「ちなみに、この喋り方もそうじゃ。」
「あ~・・・それは、ご親切にどうも。」
「それで神様。私、死んだんですか?」
「うむ。死んでおる。」
「ですよね・・・じゃあ、ここは天国ですか?」
「いいや。そんなものはないのじゃ。」
「え?そうなんですか?」
「ここではただ粛々と魂を浄化し、次の器へ送るだけじゃ。」
「次の器・・・?」
「そうじゃ。お主も今から浄化されて、送られる。・・・のじゃが」
「じゃが?」
「お主は、前世にただならぬ未練を残してきたようじゃな。」
「・・・はい。」
「そこでじゃ・・・」
「ビッグサプラーイズ!!」
「お主は前世の記憶を残したまま、送ってやるぞよ。」
「ぞよ?」
「汝に問う。次の人生はどう生きたい?」
「う~ん。大好きな物や人に囲まれて、楽しく過ごしたいです。」
「それから、きれいになって人生を変えたい人のお手伝いが出来たら・・・」
「うむ。よかろう。では、転・・・」
「アーッ、ちょっと待って!」
「なんじゃ?」
「あの~、出来ればその~・・・『剣と魔法のファンタジー世界』が良いです!!」
「注文の多いヤツじゃのぉ。・・・まぁ、よかろう。」
「それでは、あらためて。」
「転生ーーっ!!・・・とか言って。」
シュッ―――
かつて『和代だった者』は新たな器のもとへと旅立った
フフフ、楽しい人ですね。
新たな人生。しっかり生きるのですよ。
たとえ、どんな困難が待ち受けようとも・・・
私はいつでも見守っていますよ。




