着々と進む準備 続き
増井は所長室の扉を開けた。
「失礼します」
山道武則は机に置かれた龍禍録に目を通していた。
「例の件はどうなっている?」
「順調です。現在、鳴神所の構成員は五千人を超えました」
「五千か」
「はい。このままの勢いで増え続ければ、いずれ龍牙連合の構成員数を上回る見込みです」
山道は巻物を閉じた。
「随分と増えたな」
「ええ、後一万は集められると思います。」
「これだけいれば、龍牙連合と戦争するだけの人数が揃えられるな」
「間違いないですね」
「黒崎のメンテナンスも怠るな」
「そちらも問題なく出来てます」
山道は立ち上がった。
「ならば、次の計画に移る」
「いよいよですか」
「ああ。龍禍録は手に入った。人員も揃いつつある」
山道は窓の外に目を向けた。
「これ以上、龍牙連合に時間を与える必要はない」
「各部隊に指示を?」
「まずは幹部を集めろ。今後の方針を伝える」
「承知しました」
増井が一礼する。
「それと、荒木孝太郎の件ですが」
「何か動きがあったか?」
「もうすぐ到着すると監視してるうちの部下が」
「前にも言ったが裏切ったとわかったら殺せ。そうでなければうちの戦力として迎えてやるんだ」
「ずいぶん荒木孝太郎にご執心なんですね」
「まさか」
山道は増井を見た。
「使えるならとことん使う。ただそれだけだ」
「分かりました」
「増井」
「はい」
「五千人を超えた程度で満足するなよ」
山道は机の上の龍禍録に手を置いた。
「龍牙連合と千堂祀は何があっても潰す。俺の復讐劇だ」
「……」
増井は深く頭を下げ、所長室を後にした。
程なくして、荒木孝太郎が鳴神所本部に到着した。




