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地味な平社員の俺が、何故か美人上司と社内のアイドルに迫られている件  作者: おとら@9シリーズ商業化


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母に電話

 麗奈さんを好きと認めてから一夜明け……。


 俺は、ようやく自覚した。


 朝の食事をしつつも、昨日のことが思い浮かぶ……。


「あんまり寝れなかったし……やっぱり、好きってことか」


 昨日だけだったら気の迷いもあると思うが……。


「起きてもそう思うってことは……そういうことだよな?」


 ただ、問題は……。


「……自覚したところで、どうしたらいい?」


 付き合う?会社の上司と?

 うちは恋愛禁止ではないが……場合によっては他所に飛ばされることもある。

 仕事に私情を挟んでしまうからだ。


「うむ……あっ——」


 そうだ!そうだよ!


「今日会うし、森島さんに相談してみればいいんだ。お互いに相談なら問題ないだろうし」




 食事を終えた俺に、ちょうど連絡が来る。


「おっ……3時に新宿駅で待ち合わせでいいですか……」


 すごいな……カフェや終わりの時間まで書いてある。

 これって、俺は何もしなくてもいい感じか?


「まあ、楽でいいか」


 6時には解散しましょーって書いてあるし。

 ゴールデンウィークだから気を使ったのかもな……。

 やっぱり、気遣いができる子なのかも。


「そうなると……まずは……ふぅ……」


 気が重いが……いつまでも逃げているわけにはいかないか。

 麗奈さんや新しい仕事……後輩と指導……。

 俺は——少しずつでも、これから変わっていこうと決めたんだ。




 勇気を出して……そのボタンを押す。


「……もしもし?」


『侑馬?……ど、どうしたの?』


 母さん、動揺してるな……。

 無理もないか……俺からかけるなんて何年振りだ?


「いや……元気かと思って……」


『そ、そう……元気よ。お父さんはちょっとギックリ腰になったけど……かわる?」


「いや、いい……」


 流石に、まだそこまでの覚悟はない……情けないことに。


『そうよね……貴方は元気?ちゃんと食べてるの?お休みは?』


「そんないっぺんに言うなよ……元気だよ。ちゃんと食べてるし、お休みもある。良い会社に入れたよ」


『だって、珍しいじゃない……でも、良かったわ』


「……悪かったよ。これからはちょくちょく連絡する」


『……ど、どうしたのかしら?』


「いや……姉貴と会ったり、心境の変化があってさ……」


『そういえば会ったって連絡あったわね……心境の変化……良い人でも出来たの?』


「なっ——!?」


 いないが……似たようなものだ。

 なんでわかる?


『あら?当たったの?』


「まあ……いいなって思う人はいる……姉貴か?」


『いいえ、何も聞いてないわ。これでも、一応母親ですからね』


「そういうものか……まあ、そんな感じかな。じゃあ、また連絡する」


『連絡くれてありがとね、侑馬。嬉しかったわ……お父さんには言わないでおくわね?』


「ああ、それで頼むよ。それで喧嘩になったら、俺が嫌だし。親父には……時間がかかるかもしれないけど、いずれ直接話しに行くから」


『……そう、わかった。お母さんは、貴方の好きにしたら良いと思ってるわ。ただ……』


「わかってるよ。俺の味方はしなくて良いから。親父の機嫌が悪くなるし……じゃあ、切るよ」


『ええ、身体に気をつけてね』


「ああ……母さんもな」


 そして通話を切る……。

 その直後、俺はソファーに倒れこむ。


「ふぅ……緊張した……親と話すのが緊張とか……母さんでこれなら、親父とかどうなるんだ?……まあ、良い。とりあえず、少しずつだ。俺はそんなに器用な人間ではないし」


 これからの仕事で、もっと自分に自信をつけて……。

 いっぱしの社会人として、親父の前に立とう。

 1人の大人として扱ってもらうために……。




 その後はゲームをしたり、小説を読んで過ごす。


 そして昼ごはんを食べ終えた後、カジュアルな服装に着替える。


「よし……行くとするか」




 歩いて最寄りの駅まで向かい、新宿駅で降りる。


「あっ——水戸先輩、こっちですよー」


 改札口を出ると、森島さんが手を振っているのを見つける。

 その出で立ちは、意外な感じだ。

 下はジーパンにスニーカーだし、上はシャツにパーカー着ている。

 もっと女の子らしい服装のイメージだったが……。

 まあ、俺が意識されてない男ってことだな。


「こんにちは、森島さん」


「こんにちはー。さあ、行きましょー」


 軽快な感じで森島さんが歩き出す。

 俺は、大人しくついていくことにする。


「やけに……機嫌が良さそうだね?」


「そりゃーそうですよー。水戸先輩とデートですもん」


 ……はい?

 ん?これってデートなのか?

 相談って話では……?


「年頃の男女が2人で会ったら——それはデートと言いますよ?」


「そういうものなのか……?な、なんてこった……」


「クス……平気ですよ。今時は珍しくないですから。ごめんなさい、少しからかいました」


「勘弁してくれ……慣れていないんだよ……」


「えへへー、水戸先輩って可愛い人ですねー」


「……初めて言われたな、そんなこと」


「じゃあ、ラッキーですね。私が初めてって事で……」


「どういう意味だよ……ったく……」


 ……あんまし緊張しないな……。


 話しやすいというか……普通でいられるというか。


 森島さんが合わせてくれているのかもな……。


 俺はそんなことを思うのだった……。


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