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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 桜木紫苑
第二章 翔ぶ鶴
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第5話 帝都アンカラの陥落

機巧暦2139年12月・アナトリア半島



「劉季元帥、見えてきました。あれが帝都アンカラです」



「さすがはオスマン帝国の帝都・・・・・・・規模がデカい」



先遣隊の劉宋が率いる精鋭部隊6万が上陸しその後、劉季、劉徹、劉且がアンタリヤから上陸しオスマン帝国内の支城や都市を落としながら帝都アンカラに迫った。落とした都市の守備は反オスマン勢力に任せた。さらに各地の反オスマン軍を掻き集め侵攻軍は総勢20万となった。



「・・・・・・・・劉徹、城の周りを少し見る。何か弱点があるやもしれぬ」



「御意」



帝都アンカラの目の前まで来ると劉季はそう言うと軍馬でアンカラの周囲を駆け回り地形を見た。



「東に大河か・・・・・・・堤防があるところを見ると暴れ川なのか」



「地元住民によれば堤防が無ければ雨期には田畑や街は水没してしまうとのことです。流れを変えたとも聞いています」



「なるほど・・・・・・・・この帝都がある場所はちょうど盆地・・・・・・」



劉徹がそう言うと劉季はほくそ笑む。



「劉徹!! 直ぐに人を集めよ!!」



「ぎ、御意!!」



その後、人員を総動員し帝都の東堤防とは別に南に堤防を建設した。





そして・・・・・




「今だ壊せェェェェ!!」



東堤防の中間地点を爆発したのだ。破壊された箇所から濁流が帝都アンカラに押し寄せあっという間に水没した。攻め手は南堤防のお陰で濁流に呑まれることは無かった。






それから約10日後ーーー



ーーーー劉季陣営



「元帥、バルカン半島にいたオスマン軍が壊滅したみたいです」



「オスマン帝国はバルカン半島に精鋭部隊を置いていたと聞くが、その精鋭部隊が崩れたということか?」



「その通りでございます」



「フッ」



「劉季元帥、帝都から白旗が揚がっております!!」



「うん。劉宋か・・・・・白旗だと?」



劉季が劉徹と話していると外で見張りをしていた劉宋が駆け込んできた。



「元帥、オスマン帝国が降伏したということです!! すぐに船を出せ!!」



「はっ!!」



降伏を受け旧清軍の劉宋率いる陸軍部隊は水没した帝都を筏で進み城壁まで来ると梯子やロープを掛けてよじ登る。幸い帝都内まで水浸しとはなって居らず劉宋軍はそのまま内部に雪崩れ込んだ。





そしてーーーー



「居たぞ!! 捕まえろォォォォ!!」



「なっ!?」



宮殿にいた皇帝と妃、皇太子を捕らえる事に成功した。逃げようとしていたらしいが我先に逃げる官僚らに阻まれ逃げれず結局、追っ手に捕まったのだ。






ーーーー帝都アンカラ・宮殿

 


「責任を取るべき皇帝が臣民を捨てて逃げるのはあるまじき行為!!」



「・・・・・・・・・」



「何か申したらどうだ?」



「・・・・・ご、ごもっともに御座います。し、しかし貴方も国を捨てた者でしょう? 他国を責められる立場でしょうか」



劉季の言葉にオスマン皇帝は言い返した。



「確かに母国を捨てたのは事実。しかし実権は地に堕ち、外国からの侵略もまともに防げぬ状況であった。末期状態であった清王朝は民にとって枷でしかなかった。だから我ら軍閥が王朝の実権を握り近代的な国家にしようとしたのだ。対して貴様ら外戚を重んじ忠臣を虐殺、さらには豪奢な生活と度重なる外征により財政破綻させた・・・・・・・我らと一緒にしないでもらいたいものだな」



「フッ、哀れなものですな。貴方の王朝も私の王朝もかつては強大を誇った。それが今では弱小も弱小・・・・・・最弱となってしまった。何ででしょうかね」



「・・・・・・他国を見くびってたんですよ。見くびってた結果、気付いたら自分らが置いていかれたんです。文化も技術も制度も・・・・・・」



劉季は消え入りそうな声でそう言う。



「我らのような旧帝国はお終いということでしょう・・・・・・貴方の思想や信念に照らし合わせて私の首を刎ねるといい」



「分かりました。臣民を苦しめ、挙げ句の果てに逃げようとした責任放棄の罪によりオスマン帝を凌遅(りょうち)と致す!! 執行者は我ら軍ではなくオスマンの民とする!! 劉徹、劉宋!! 其奴らを宮殿の外に連れ出し柱に縛りつけよ!!」



「御意!!」



劉徹、劉宋は命を受けると後ろ手で縛られた皇帝と皇太子、妃を連行した。凌遅(りょうち)とは国家転覆や反乱の首謀者に科される刑罰で全身の肉を寸刻みで刻んでいく残虐極まりない刑罰だった。見せしめにも効果抜群のため旧清王朝では頻繁に行われた。





宮殿外ーーーー



「元帥、凌遅に処す必要はあるのでしょうか? 彼らは反省しているように見受けます」



「確かに彼らは反省している。だがな民はどうだろうか?」



「あ!」



「皇帝一家は民の恨みを一身に集めているわけだ。このまま生温い斬首など行っては民の為にならぬ。存分に恨みをぶつけさせる事でガス抜きとなる」



「ガス抜き・・・・・ですか」



「ガス抜きせねばとばっちりで我らが恨まれるぞ。恨みや憎しみをこの刑罰でガスを抜くのだ・・・・・・・・」



柱に縛り付けられる皇帝一家を遠目から見ていた劉季はそう言う。



「・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・」



その後、皇帝一家は鉈や鎌、ナイフを持った民衆によって解体ショーの如くバラバラにされた。肉片を食べる者までいたという。結局、民衆が去った後、柱には頭蓋骨と背骨や肋骨のみが残されて内臓や肉片は道端に散らばっていた・・・・・・・・

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