第47話 オスマン帝国との対立
機巧暦2139年12月・イタリア王国マルタ島
「使者の用件はやはりバルカン半島のことかな?」
「はい。貴方様、大日本帝国は不当に我が領土であるバルカン半島を占拠しました。これはどういうことでしょうか?」
海軍鎮守府の広間に海軍関係者が勢揃いしていた。海軍元帥の大覚寺尊治が中央の椅子に座り、その左右に北畠顕康少将と楠木幸政中将が座っている。新田義明中将は壁にもたれかかっていた。新田の腰には刀を差していてもしオスマン帝国の使者が危害を加えるようなことがあればすぐに斬り捨てられる状況になっていた。
「オスマン帝国はバルカン半島を我が領土と主張するのか?」
「紛れもなく帝国の領土です。今ここで貴方様がバルカン半島から全軍を退くと言えば我が帝国は今回の件を不問にします」
使者の態度はかなり高圧的だった。
「ハァ、困った国だのう。其方らが少し前に言っていたことを覚えているか?」
「いえ・・・・・・・」
「マルタ島の島民がな、漁の最中に遭難してバルカン半島に流れついたと。それでバルカン半島の連中は島民を助けるとごろか虐殺してしまったわけだ。島民は我ら大日本帝国の大切な国民でバルカン半島の犯罪行為をオスマン帝国に訴えたことがあったな?」
「・・・・・・・・・・」
「その時の其方らは何て言った? バルカン半島での件については我らの管轄区域じゃないから責任はとれないと言ったのだぞ。それはつまりバルカン半島は我が領土ではないと言っているのと同等なのだぞ」
「そ、それは外務が勝手に口走ったことです。我らの不手際ではありません」
「大臣に責任をなすりつけるな!! 其方らがしっかり大臣を育てなかった、または情報伝達が出来ていなかったからそうなったのであろう!!」
使者の言葉に大覚寺は怒鳴った。
「・・・・・・・・・・・ともかくバルカン半島から兵を退いて下さい」
「バルカン半島が大切な領土ならば、なぜ近代化をしなかった? なぜ古い身分制度を廃止して法体制を整備しなかった? 其方ら半島が荒れるに任せていただけだ。自分たちが大変で半島まで管理が出来ないならなぜ手放さない? ブルガリア独立戦争をなぜ鎮圧した? そのまま独立させてやればよかっただろ? わざわざ鎮圧して荒れている半島を再び荒らすのは・・・・・・・これ愚の極みなり!! 其方らはか弱き民草を何だと思っているのだ!!」
「民草は王を輝かせるための道具にすぎません。それで何がなんでもバルカン半島から兵を退かないと?」
使者は半ば苛立ちながらそう言う。
「兵を退くわけにはいかない。兵を退けばロシア=ソビエトが来るからな・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・わ、わかりました。王にそう伝えます」
こうして大日本帝国・欧州本部とオスマン帝国の戦争は避けられぬものとなった。




