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サミエルさんお仕事中

いつの間にか8月が終わりかけている…。

7月の記憶がない……。

シャチクコワイ…。ヤスミッテナニ?

話は少しだけ遡り、サミエルはハルと別れて謁見の間の玉座に不機嫌な顔で座っていた。


そもそもやるべき仕事は全て片付けハルを迎えに行った。

カナタにも2日は何もしなくてもいい。と言われたのだ。



(……だと言うのに……)


わざとらしく舌打ちをすれば玉座の前で縮こまって跪く家臣達の肩が恐怖で跳ねる。


すると冷や汗を流しながら1人の魔族がサミエルの前まで歩み寄り発言する。

「先日辺境の部族の反乱ですが、本日片付き首謀者である族長の首とその娘を捕まえて参りました」

「……ああ…」

そんな事もあったな。とサミエルは興味無さげに返事をする。


「こちらが族長の首でございます」

差し出された魔族の首に思いきり顔をしかめる。

「要らん。床が汚れる。その場で捨ててこい、馬鹿者が」

同じように差し出すのであればハルの様に菓子を差し出せ。

そういえばあの菓子は結局献上されなかった。

などとどうでもいい事を考えながら次に引っ張り出された娘をチラリと見る。

鎖で全身を拘束された娘は、サミエルを睨みつけようと顔を上げて硬直していた。

その顔が恍惚とした表情に変わっていくのを、サミエルは嫌悪に思う。

自分達の反乱は失敗し、実の父親の首をぞんざいに扱われ、己を侮辱した者に向ける表情か。


どうせ己の身体を捧げる代わりに自分の部族の者達を見逃せ。とかそんなところか。



(………殺すか)



そう思って殺気を放とうとした時、何故かハルの顔を思い出した。


…今からハルに会うのに、血の匂いがするのは気が引ける。

そんな自分らしくない感情にサミエルは思わず苦笑いをする。


「生きたいと申すなら生かしてやらんこともない」

サミエルの口からそんな言葉が出たので、家臣達は唖然とした。

娘は頬を高揚させてサミエルに懇願する。

「この身は陛下のお好きになさってくださいませ。陛下の為ならばどの様に扱われても本望でございます!」


その発言を冷めた表情で聞いたサミエルは右手を上げ、家臣に娘を連れていくように告げる。

その後ろ姿に釘を差すようにはっきりと告げる。


「金輪際余に近づく事を禁ず。余の視界に入る事も禁ず。生きたいのならば生きよ。この城以外の場所でな」

城の外に捨て置け。と告げると娘は絶望した表情で何か叫ぶ。

その姿が見えなくなった所で深いため息をつく。


「これ以上くだらん要件はあるまいな?余はもう行くぞ」

じろり、と家臣を睨み付ける。

殺気に家臣達は視線をさ迷わせながら小さくなる。

彼の殺気を物ともせず発言するのは唯1人だけだ。


だが、彼の前に1人の魔族が歩み寄った。


「陛下。先ほどの人間を本気で娶るおつもりですか?」


そう告げた魔族は側近の中でも野心家だ。

カナタを敵視し、いずれは魔王の座を奪おうと力をつけている。

万が一の事を考えて娘を人質にとっているのだが。


(……だが余を恐れていてはこの椅子は獲れまいよ)


「何だ?余の決定に不服を申すのか?死ぬか?」

わざと軽くにこやかに死刑宣告をすれば、魔族は目に見えてわかるほど青ざめた。

それでもなお食い下がらずサミエルに詰め寄る。

「し、しかし!人間が魔界にいるとわかれば魔族達が黙っていません!」

「では黙らせろ。それが貴様の仕事であろう」

「陛下!」

「失礼致します。陛下、戻りました」

タイミングよく現れたカナタにその場の視線が集まる。


「何を口論されていたかは存じませんが、そろそろ時間です」

そう告げるカナタにその場にいた全員が押し黙る。


(…嘘だ。こいつ、さっきの会話聞いていたに違いない)

その証拠に楽しそうな視線をこちらに向ける。

だが、この場から抜け出せる口実を作ってくれたのは素直にありがたい。やはり持つべきは忠臣だ。


「そうか。では解散せよ。今余の機嫌は悪い。残っている者をうっかり殺しかねんなぁ」


その言葉に魔族達は我先にとその場を後にする。

発言をカナタに遮られた魔族はカナタとすれ違いざま殺気を帯びた視線を向ける。

カナタは涼しい顔で受け流すと、その場にサミエルとカナタの2人だけになった。


「ハル様はお部屋にご案内致しました。今はミシャと顔を合わせている頃でしょう」

「そうか。では参ろう」

嬉々として立ち上がったサミエルはパチン、と右手の指を鳴らす。


すると2人は幽玄の間の前に移動した。



そうしてハルの居る部屋の扉を開けようとした時。


中から声がした。

声の主はハルとミシャだから何の問題もない。のだが。



聞こえた会話にサミエルはふるふると震えた。


「何よコレ…凄いわ…ふふ、こんなになって…」

その色っぽい声はミシャ。


「は、恥ずかしい…」

対するハルの声もどこかしら扇情的に聞こえる。




「あ、あの淫魔ぁぁぁぁぁぁ‼︎俺より先にハルに手を出すとはどういう了見だぁぁぁっ‼︎」

「落ち着いて下さい。どうしてそんな妄想を真っ先に思い浮かぶのですか。あと1人称が素に戻っています」

カナタの呆れ声にサミエルは顔を真っ赤にして反論する。

その様子は先程までの冷酷な表情をしていた人物とは到底思えない。


「何を言うか!あの女、貴様にしか興味無い振りをしているが気に入った者なら女でも構わんのだぞ⁈むしろ女の方が多い!」

「うわあ(棒読み)」


「も、もうダメだってば!」

「!!!!!!」

ハルの焦った声にサミエルは。

「何をしておるか貴様らぁぁぁぁぁぁ!!」

バァァァァァァァン!!

と壊れんばかりの勢いで扉を開ける。



「何よこの"プリン"とか言う食べ物…こんなの初めて…って陛下⁉︎」

「何で一々発言が卑猥なのよ⁉︎聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど!…ってああ!またノックしないで入った!」



部屋の中ではハルのお弁当のデザートを仲良く食べる2人。


…そこにいかがわしい場面は存在していない(ミシャの発言はアレであるが)






「期待してた展開と違ーーーーう!!!」

(余よりも先にハルの料理を食べるとは何事かぁ!)



「陛下、本音と建前が逆になっています」

なんだこれ。

先程までの殺伐としたサミエルは既にいない。

呆れた表情で目の前のミニコントを眺めていたカナタはふと廊下を振り返る。





自分達しかいない廊下の先の先。

悪意がこちらに向かって牙を剥いている。





嵐は思っているより早く来る。

1人称の文章だと長くなりそうだったのでこういう形にしてみたのですが、どちらにしても長くなってしまいました。だけど書き直すだけの気力がなかったのです…。ごめんなさい。3日くらいぶっ通しで眠りたい。後半はそんなテンションで書いてしまいました。

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