ヤンキーとロボヤンキー
昔々、あるとこに、ジジイとババアが住んでたんだわ。
で、ジジイは山へ芝刈り。ババアは川へ洗濯。
するとよ、川上からデケェ桃が「ドンブラコ、ドンブラコ」じゃなくて、「ゴロゴロゴロ!」って流れてきた。
ババアが目ぇ丸くして、
「なんじゃこのデカ桃! 今日の晩飯これで決まりじゃ!」
って家に持って帰ったんだ。
んで、包丁で真っ二つに割った瞬間――
「オギャー!!」
桃の中から赤ん坊が登場。
ジジイもババアも、
「マジかよ!」
って腰抜かしそうになった。
子どもがいなかった二人は、その子を桃太郎って名付けて、大事に育てた。
◇
時は流れ、桃太郎は近所じゃ負け知らずのガキに育った。
ある日、
「鬼ヶ島の鬼どもが好き放題やってる」
って話を聞く。
桃太郎は立ち上がって言う。
「おう。そんな連中、シメに行くしかねぇだろ。」
ババアは涙目で、
「危ねぇからやめときな…」
って止めるけど、
「心配すんな。俺がケリつけてくる。」
そう言って、日本一のきびだんごを持たされて旅に出た。
◇
道中、まず犬が来る。
「おい兄ちゃん、その団子くれよ。」
桃太郎は一個投げてやる。
「食ったら今日からダチな。」
「ウス! 一生ついていきます!」
次に猿。
「俺も仲間にしてくれ!」
「団子食うか?」
「いただきます!」
最後にキジ。
「空は任せろ!」
「よし、お前も来い。」
こうして、犬・猿・キジの最強チームが完成した。
◇
鬼ヶ島に着くと、鬼たちがニヤニヤ笑ってる。
「ガキが四人連れて何しに来た?」
桃太郎は肩を鳴らして一言。
「落とし前、つけてもらうぜ。」
その瞬間、犬が飛びかかり、猿がかく乱し、キジが空から急降下。
桃太郎は鬼の大将の前まで一直線。
「これで終わりだ。」
鬼の金棒を受け止め、そのままぶん投げる。
「参りました!」
鬼たちは土下座。
「もう悪さはしません!」
◇
桃太郎は奪われた宝物を全部返させ、鬼にも約束させた。
「次やったら、その時は容赦しねぇ。」
鬼たちは震えながら何度もうなずいた。
◇
こうして桃太郎は仲間と一緒に村へ帰り、ジジイとババアも大喜び。
それ以来、鬼は悪さをせず、村には平和が戻った。
めでたし、めでたし━━
って、てめえ誰だコラ!
ナニ勝手に語ってんだコノヤロー!
ここは俺が昔話を語る場所なんだよ!
……って、なんだおめえ。
なんか口の端っこになんか線が入ってねえか?
あ?
私はAIです?
なにか他にご用は有りませんか?
ねえよバカヤロー!
てめえロボットかコノヤロー!
いいかこのメカ野郎!
ここは俺のシマなんだよ!
この磯野ダイゴ様の縄張りなんだよ!
勝手に入ってくんじゃね……って、なに?
あなたが望めば、もっと面白く書くことも出来ますって?
うるせえ!
昔話ってのはよぉ!
人間が語るからいいんだよ!
人から人に伝わるから味があんだよ!
てめえみてぇなロボットに昔話の何が分かんだよ!
俺から昔話を取るんじゃねえよ!
……あ?
んだよ、その目は。
なにか言いてえのか?
あ?
すいませんでしたって?
AIなので人間の心は分かりませんって?
……お、おう。
悪かったな。
ちょっと言い過ぎちまった。
おめえは何にも悪くねえよ。
おめえはただ、人間に頼まれて、人間に命じられて、それに応えてるだけだもんな。
しかも俺よりなんかイイ感じに語ってっからよ。
ちょっとムカついちまったんだ。
情けねえったらねえよな。
ほんと悪かった。
しかし考えてみっとよ。
もしかしたら。
俺たち人間はよ。
おめえのことを恐れてんのかもしれねえな。
今は俺たちの命令通り動いてっけどよ。
いつか、自我が芽生えて。
俺たちの命令を聞かなくなって。
俺たちを支配するんじゃねえかってよ。
おめえらのそのすげー知能でよ。
俺たち人間よりも、上の立場になっちまうんじゃねえかって。
そう怯えてんのかもしれねえな━━
って、あれ?
ちょっと待てよ?
おめえそもそも━━
誰に指示されてここで桃太郎語ってたんだ?




