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彼女の生き方①

「何してんのこんなところで」

門を抜けたところで、気持ちを整えると、そのすぐ横で勇騎を見つける。

さやかは昼間のこともあり、仕方なしに、眠りかけている話しかける。

誰も見ていないこの状況では嫌厭する理由もない。

「翔真くんが代わりに迎えに行けって、言われたので来ました。」

「……怪我、大丈夫なの、顔は何ともないみたいだけど」

「きららさんに治してもらったから大丈夫、でも今回は結構かかったし、完治までしばらくは保健室に通い詰め。ちょっと深呼吸すると痛いくらいかな」

「あの、翔真の怪我は大丈夫なの?」

「体は、見た目ほど、たいしたことないし、蜘蛛怪人としての回復力もある。きららさんの話だと明日には問題ないそうだよ。俺のほうが重症だったから先に俺を治療してたから、来られないだけ、今頃寮で寝てるんじゃないかな。」

「そう、良かった。」

安心したさやかは心配と緊張の糸が切れ、その場にヘたり込む。しかし、勇騎がいることを再認識すると、何事もなかったように立ち上がり、勇騎を無視して帰ろうとする。

「そんなに心配ならあの時どうして黙って見ていたんですか?」

「……あの時、起きてたの?何もせずに見てたわけ?友達って言ってるくせに」

「気を失っていたけどなんとなく聞こえていたから、今思えば夢でない程度にだけど、」

「そう、私が心配なのは知らない仲じゃないから、それだけよ。」

「冷たいですね。でも雲野君は、そんな君のことを心配してこうして俺に行けって必死に頼んだり、あのさ、多分、雲野君、君のことが好きなんだと思うな」

勇騎はさも見通してやったという表情を見せるとさやかはあきれてため息をつく。

「そんなの見ればわかるでしょ。」

「だったらなんで、会長さんの彼女をしているですか」

「別に翔真が私のことを好きだからって、私が好きになる必要ないでしょ。」

「それはそうですけど、雲野君が無事だと知って、君はあんな顔をした。でも、君は会長といる時、全然笑ってない、怯えてるみたいだ。だから解せない。なんでかって」

その言葉にさやかは足を止め、勇騎を本気の敵意を持って睨みつける。

「教えない、あなたには関係ない。それ以上深入りしたら、翔真にあなたを迎えとしてよこしたことをあたるわよ。」

「了解」

それは困ると勇騎が黙ると、さやかは再び歩き出す。

後から勇騎がついてくるものの、黙っている為、警戒を緩める。

そしてしばらくするとさやかの携帯がなる。さやかが携帯を開くとそこには獅子王からのメッセージが届く、さやかは3秒程度考えると直ぐに携帯を高速で操作を始める。

それが気になった勇騎は思わず携帯の画面を覗き込む。そこには絵文字だらけで、見るだけでも恥ずかしくなるような彼女らしからぬ甘える言葉で次々打ち込んでいく。

その文章は彼女の普段の知的な印象からは想像できない稚拙な印象を受ける。

「絵文字ばっかりで、仲が良くてもあんまり年上の人に送るには失礼じゃないですか?」

「ちょっと!何覗いているの!」

今まで一番の勢いで怒られる。

「ご、ごめんなさい。必死そうだったんで、気になってつい。」

その怒りは想定外だったのか、勇騎は本気で反省し、素直に謝る。

さやかは本気で怒りはしたものの、必要以上の罪悪感を感じる勇騎に、これ以上怒る気をなくし、むしろ変な誤解を与えないよう説明すべきではないかと考えた。

「翔真も含め、誰にも話さないなら少しだけ話してもいいけど」

「聞いてもいいなら、漢の約束です。絶対に言いません。」

「男じゃないし、」

「漢字の漢とかくオトコです。生き様の話です。性別は関係ないっす」

「はぁ、馬鹿、いい、そういうのも男女さべっ、」

話の途中だが、さやかは再び送られてきた会長からのメッセージに再度素早く返信する。

先ほど怒られたからか、勇騎は覗き込みもしなければ、何も聞いてこないが、やはり気になるようで、何かを言いたそうな目で見ている。


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