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【ネガ・にじバース】スレイトアール王戦記【第一章】  作者: Veis Vain Nova……


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20/20

《ゆづ、異界に立つ》20/20 ゆづ、問ふ




誰一人逃がさない。死ね、神の怒りに焼き貫かれて!『神之怒(メギド)』!!─────『転生したらスライムだった件』






数秒おきのレーザー照射を一旦止めて戦車の大群の方向を眺めていたジル様がおもむろにこちらを見下ろし、煌アイ越しに目が合った。


「…!」


手を振って合図を送ろうとするとまたすぐふい、と目線を戦車の方に戻してしまった。


「…?」


「…社長~…絶天煌社長、いる~?…」


と呼びかける、よく通る声がジル様の足元方向から聞こえた。


「(…!)」「(繰命さんだ…)」


衣装と同じ白の四角い大荷物を肩に掛けて徒歩でこちらに向かって来る繰命さんの姿が見えた。


「(…何で…一体どこから?)」


繰命さんが歩いて来た方向…つまり今背中を向けている方向は街とも私達が進んで来たのとも全く違う方向で、見渡す限り青々とした野っ原しかなかった。ずっと進んで行けば何なら戦車の大群の端に行き当たるような方角で、繰命さんはそんな場所から白い歩兵の行き来する中をこっちに向かってとことこと歩み寄って来ていた。


「まぁー、戦場の天使のお出ましよ…伊那さん、こっち!」


たまたま近くを通った歩兵をボウガン型の銛みたいな武器で串刺しにした後、繰命さんは小走りになった。〝指示ィ~!指示下さァ~い!〟と大声で繰り返しながら煌さんに向けて走り寄っていく。


「(足腰強…あの細身であんな大荷物担いであのスピード…足腰強…)」


「アニカ・サンドルートを至急看て頂戴!うちの部隊員は全員無事よ」


煌さんの身振りによる誘導でこちらを見つけて〝なァにィ~!!〟と言いながらぐんぐん近付いてくる。


「珍しいじゃん、サンドルート女史!」


と言いながら肩に担いでいた四角い荷物を展開してガスコンロの油はねガードの()()()()()みたいな板状の装置を広げ、アニカさんに沿わすように置いた。長身のアニカさんの頭~爪先をすっぽりとカバーしたそれが内側に向けて、コンビニの出入り口付近の頭上に設置してある虫を退治する装置に似た青い光を照らした。


「あ、メンタル・ヘルス子じゃん」


と言いながら装置とは反対側のアニカさんの脇に一巻きのビニール製の、長い布みたいなものを広げた。内側にはハサミやメス、注射器やゴム管のような明らかな手術道具一式がずらりと挿さっていた。


「(…!処置するんだ、ここで…)」


「怪我無い?メンタル・ヘルス子は」


「…」


「てかなんでこんな所にいんの?重病人が」


言いながらアニカさんの手の甲に小さな注射を撃ち、口に透明なプラスチック製のマスクを被せていく。


「…治りますか?」


「うん、治るよ。ちょっと重傷だけど」


「本当に!?」


アニカさんを縦に膝枕していた三枝さんに、その肩口に両手を添えるように身振りで指示を出す。


「うん。まあ、私が来てなきゃ危なかったけどね」「…サンドルートさーん?」


〝これ痛いですかー?〟と言いながら肩部分が変に隆起していた右腕を両手で抱え、全身をぐん、と跳ね上げるようにしてアニカさんの胴体側に押し付けた。


ぼぎゅ、という鈍い音が響く。


「…」


「うん、効いてるねー」


軽い目くばせで返事をするだけのアニカさんは落ち着いていて、表情は穏やかだった。


「(麻酔が効いてるんだ…)」


顔を寄せて〝アニカさん良かったね、治るって〟と耳元で言うと口角を上げてはにかんだような笑顔を見せた。


「(…よかった、本当に…)」


気持ちに余裕ができて赤い化物と煌さん達が戦っている方向を見ると、煌さん達は赤い化物に対して意外にも善戦しているようだった。5、6人の配下の方達が取り囲み、2人が左腕のチェーンソウを抱えて振るえないように止めていて、どすえちゃんがその肩口に登って生身の方の手で顔を掴み、振り落とされないようロデオのように耐えていた。赤い化物が足を使って状況を変えようとすると取り囲んでいる配下の方々が打撃系の武器かローキックの連打でそれを阻止していて、一進一退の攻防が続いていた。


「(すごい、みんなすごい。何とかなりそう…)」


しかも上空にはあのスーパーマンみたいなジル様が控えていて、と思って見上げると、それに連動してまた顔を背けるのが見えた。


「(…?)」「(何?何でちょっと素っ気なくするの…?)」


「はい、じゃぁー非戦闘員のお二人にはここで手術(オペ)のお手伝い、頼もうかな~?」


「…!」


願ってもない申し出だった。


「やる…やります、やらせてください!」


「よし、いいお返事だ!じゃぁー、まずは」


と言って刃渡の長い、細く鋭利なハサミを取り出す。


「胴体部分から看ていくから。シャツの合わせ目部分を縦に切ってワァ~ォ///しちゃってください」


「はい、シャツを切ってワァ~ォ///……」


受け取ろうと思って差し出した手には、いつまで経ってもハサミは手渡されなかった。


「…?」


「大丈夫?」


「…?何がですか?」


「発狂しない?」


「…」「発狂?」


「メンタル・ヘルス子じゃん、君。大丈夫?刃物渡しても」


「…」「失礼な!」


ハサミをひったくって所々血で固まっているアニカさんのシャツの、前の合わせ目部分をボタンに沿って縦に裂いていく。


「おー、上手い上手い。手際いいね」


「できますよ、わたくしにだってこのくらい」


〝冷静なのが逆に怖いんだよな~〟と言いながらビニール管の付いた針をアニカさんの鎖骨のすぐ下に刺してテープで留め、それと繋がっている血液パックを三枝さんの装甲の胸部分に小さなフックで引っ掛けた。


見易いようにと思って大きく開いたシャツの下に、今私が着ているものと全く同じデザインのコルセット型のバトルスーツが表れた。


「お、気が利く~。仕事できるタイプだね」


「(…)」「(…あれ?)」


バトルスーツの胸部の上部分から、それに締め付けられて苦しそうに溢れ出た豊かなものが確認できた。


「…?」「…!?」


「…?何?どした?」


アニカさんにあってはならないものが、そこにはあった。


180cm超えの高身長でも卓越した頭脳でも優しい大人の包容力でもなく、一番あってはならないもの…あった時点でその人ではなくなるものが。


ここは私の夢の世界だけど、夢だとしても…いや夢だから猶更、私がアニカさんを()()()に描くはずがなかった。


「…ハ、ハァ、ハァ、」


「…?何何何何?」「怖いよ?どうした?」


「…ハ、ハァ、ハァ…あ、あなた、誰よ…?」


「…」


「アニカさんじゃ、ない…あなた、誰…?」


「…始まったか」


透明なプラスチック製の呼吸器を着けたまま、偽物のアニカさんは怪訝そうな顔でこちらを見返していた。


「…はっ!?まさか…」


「…」


「詰め物…?こんな大変な時に、みんなで命張って頑張ってる時に…そうまでして、見栄を…?」


「…ちょっとどいてくださいねー」


「情けない人…見損なった。本当…」「つまんねーから。肉まん詰めたりオープニングでスカした笑顔で乳有り・乳無しのギャグかましてる時とか…」


繰命さんがアニカさんのバトルスーツの脇腹付近に手を伸ばしてくいくい、と何やら操作するとごふぁ…と深く息を吐くような音がしてバトルスーツの締め付けが緩んだ。続けて繰命さんがバトルスーツの胸の上の部分と腹の下の部分を掴んで持ち上げると、蟹の甲羅が剥がれるようにべり、とバトルスーツが前方向に外れた。


「…!?ひぃっ、」


アニカさんはバトルスーツの下にチューブトップ型の黒のインナーを着込んでいて、絶対にそこにあってはいけない二つのモノはそれに包まれてつん、とお行儀良く空を向いて立っていた。


「(…大きい)」


推定、控え目のEカップ。


体が細いからもしかするともう少しあるかも知れないけど、仰向けに寝ていながら横に流れず上を向いて立っているそれは、順当に目測するならそのくらいのサイズだった。


「…」


思わず手を触れると


「…()った!!」


物凄い弾力だった。下に下着を着けていなくて布一枚越しに触るそれは、遥か昔に出来かけの自分の物を初めて触った時に相当するコリコリとした弾力を孕んでいた。


「(…何だこの張り、何この弾力…わたくしより遥かに大きいくせに…わたくしより、圧倒的に年増のくせに…)」


顔の角度的にアニカさんがいよいよ怪訝な表情でこちらを見ているのは分かっていたけど、止まらなかった。


「本物だァ、くっそ…本物だァ…ア、アニカ・サンドルートに本物の乳がァ…」


「…ちょっと、ちょっとちょっと」


繰命さんに優しく肩を掴んで立ち上がらされた。


「繰命さん、おかっしいよこんなの…」


「うん…うんうん、そうだね」


「ねえ本当は分かってんでしょ、繰命さんも。こんなのおかしいって、アニカさんがこんな…」


「うん…分かってるよ」


「グミあんじゃん?コリコリが売りの。あんなだよ?あんなんが中に詰まってる感触だよ」


「うん…あのね、ちょっとメンタル・ヘルス子はね、繰命の後ろに立っといてもらおうかな」


アニカさんの横に(ひざまず)いた繰命さんに引っ張られ、その背中側に立たされる。


「うん…そこ。そこに立っといてもらおうかな」


「っかしいよ、こんな…おかしいよ、アニカさんなんかに、こんな立派なモノが…」


「うん…動くんじゃねーぞ?」「じゃ、手術(オペ)を開始しまーす。ちょっと頑張ってね、サンドルート女史」


「っかしいよォ…」


それにしても秀逸な触り心地だった、と思って手を眺めていると繰命さんが〝こっからいっとこうかな〟、と言いながらおもむろにアニカさんの右脇腹に、縦にメスを入れた。


「…!!」


「うん…よし。内出血は軽微…と」


白い断面からサァ…と流れ出る血をガーゼで押さえながら、その中に鉗子を差し込んで処置していく。


青い光をアニカさんに浴びせている油はねガード(人サイズ版)の左端の板の上に小さなモニターが付いていて、アニカさんの右の肋骨のレントゲン映像がアップになって映っていた。


「(ひいぃ、キツい…)」「(けど見なきゃだめだ、アニカさんのだし、繰命さんだって頑張ってくれてるんだから…)」


「うん…よし、一箇所め完了…」「多分、思ったより全然大したことないわ、サンドルート女史。気楽に待っといて」


縫合してぷつん、と糸を切った繰命さんのナース服に包まれた豊かな胸が横にぷるん、と揺れた。


「(…!)」「(…)」


「…よし、と。じゃあ次は鎖骨側いっとくか」


三枝さんに持たせたビニール袋に使用済みの器具を全部入れて、アニカさんの右の鎖骨の下にペンでバツ印を書いて戻って来た繰命さんの胸が、そのタイミングでまたぷるん、と揺れた。


「(…()っそいくせに豊かなんだよなぁ…)」


「よし、二箇所め…メス。」


三枝さんから受け取ったメスで鎖骨の下を横に切り開いて鉗子を差し込んだ後、今度は何やら手こずり始めたようだった。


「…あー、浅かったか。結構奥の方に飛んじゃってる…」


両膝を突いてアニカさんに覆い被さるようにして前後運動しつつ、〝んっ、ん、〟みたいな小さな声を漏らしているのがえっちだった。


「(…可愛い。意外とお尻肉付いてる。地声が可愛いから意図せず漏らした声が破壊的に可愛い)」


ナース服から伸びている繰命さんの細い手と脚は血の気が無いと言っていいほどに真っ白で、まるで蝋だった。


「…いよし、完了。ごめんね、サンドルート女史。もうちょっとだから」


縫合を済ませて戻って来た繰命さんのナース服が起こす衣擦れの音を聞きながら、その大きな胸を右上から見下ろして()()()()していると繰命さんが


「…どーしよう。難易度Aの手術(オペ)中に背後からセクハラの波動を感じる」


と言った。




──




何のことか全然分からなかったのでジル様を見上げると、丁度こちらに向かってゆっくりと滑空してくるところだった。


「ジル様…!」


近くで見ると、やはりジル様は間違いなくジル様だった。昨日の夜着ていたものとは違う比較的基本モデルに近い衣装に身を包んでいて、前髪もやはり基本モデルに近い重めのぱっつんだった。


車のハンドルぐらいのサイズだった赤紫色の球はボウリング玉ぐらいの大きさまで縮んでいて、でも右手に掴んだスレイトアールセイバーの刀身はその色に包まれて光ったままだった。


「ジル様、凄いです…一体どういうことなんですか?スーパーマンじゃないですかほとんど…」


「…」


「何なんですか?この光の球。剣も。やば過ぎじゃないですかまるでアベンジャーズ…」


と言い寄る私を完全に無視して素通りし、繰命さんに


「どう?繰命ちゃん。死ぬ?そいつ」


と声をかけた。


「…」「え、ジル様…?」


「いや、余裕で生きますね。重傷ですけど…もう少しで処置終わります」


「あー、なんだそっかぁ」


「はい。まぁー…半年は安静ですね」


「うんうん。」


「ちょっと、すっごい戦力ダウンになっちゃいますけど、第三皇室」


「いやいや、大したことない。こいつは我々の中で一番のザコ…」「何やってんの?ボロボロじゃん笑」


「…」


「顔真っ白じゃん、よく生きてんねそれで笑」


と、アニカさんにしか使わない特有の周波数で語り掛けていく。


「(…え?なんで無視するの?わたくし、彼女なのに…)」


後ろから歩み寄って見上げたジル様は、やっぱり身長が物凄く高かった。


「(…あ゛ー。かっこいいな、やっぱり…)」


「ちょっとさぁ、前の方の戦車先に焼いたら後ろ見えなくなっちゃって笑」


「…」


「暇んなっちゃった笑 どうしたらいい?」


イケメンが前髪を払うようにアニカさんが顔を振ると、三枝さんが察して透明な呼吸器を外した。


「…バカ、何やってんだお前」


と言ったアニカさんの声量はびっくりするぐらい小さく、声もいつもの数倍しゃがれていた。


「(…!)」「(アニカさん…)」


ジル様の言った通りアニカさんの顔は真っ白で、さっき近くで見た時と比べて随分頬がこけているように見えた。


体の至る所で起きていた流血はもう止まっていたし、処置ももう終わるようで容体が安定したのは素人目にも分かったけど、代わりにアニカさんはげっそりと痩せ細った病人に早変わりしていた。


「(…)」「(おいたわしい…)」


「…」


「…」


そんなアニカさんの、黒いブーツに包まれたまま爪先が天を向いている足をジル様がぱかん、と蹴とばした。


「!?ちょっと!」


「うるせーこの死に損ない」


反動で戻って来た足をもう一回ぱかん、と蹴とばす。


「ちょっと!やめてください」


「大丈夫でしょ?繰命ちゃん」


「はい。下半身は打ち身だけなんで、特に」


「…突っ込んでくりゃいいじゃん」


としわっしわの弱々しい声で、アニカさんが言った。


「…」「え?何ですか?アニカさん」


「煙で見えないなら直で突っ込んでくりゃいいんだよ、お前が」


「…?」


「…」


「何空でじっとしてんだよ、お前。ほんとバカ丸出しだったぞ」


と言いかけたアニカさんの足をまたぱかん、と蹴ってジル様が


「そーか、それでいいんだ…」


と言った。


「…?」


「じゃあ取り急ぎ行ってくるわ」


「…」


「いなくて大丈夫?あたしが」


「いやいいよ…早く行ってきて」「…あ、でもその前に」


〝あの赤いの倒してから行って〟と言いながら顎で弱々しく、今も煌さん達と取っ組み合っている赤い化物を指した。


「あー…いいの?銀の竜鱗(シルバースケール)の皆さんが取り組んでるのに」


「その銀の竜鱗(シルバースケール)が下手すりゃ死ぬんだよ」


「…ふぅん」


赤い化物に向かってくるりと体を反転させ数歩歩み出たジル様が、その動きに反応するように胸の前に回ってきた赤紫色の球体に左手の人差し指だけでちょん、と触れると、


「!!?」


キィィ、とガラスを引っ掻くような嫌な音がして、さっきまで上空から放っていたレーザーの極細単距離(ごくほそたんきょり)版、みたいなものが放たれ、赤い化物の胴体を貫いた。


「ギッ、ギィッ!ギィッ!ギィッ!!!」


煌さんの配下の方達が取り囲む中心で赤い化物が、登場した時と同じジャミングノイズが混ざったような苦悶の声を上げてのたうっていた。


「(…ジル様…!!)」


「…えぇ?あんなのにやられたんだ?」


「生け捕りとかサンプルとか考えなくていいから、確実に殺してくれ」


つかつかつか、と赤い化物に向かって歩み寄って行くジル様が今まで腕を組んで配下の方達の指導に当たっていた煌さんを追い越した時、煌さんの顔が僅かにジル様の方に傾いた。


「(…!)」


煌アイで見た煌さんの顔は、鬼のような形相だった。一言の断りもなく割って入られたのが余程気に入らなかったのか、煌さんは両目を真っ黒に染めた鬼のような形相でジル様の後ろ頭を睨みつけていた。


「(ビッグマウスだし、唯我独尊だし、我が強いから、こっちのジル様…)」「(でもそれがいいんだ…本当に格好良い。何と言うか、色気があるし…才能に見合ってる)」「((とうと)過ぎてお姿を視界に入れるだけで心拍数が上がってしまう…)」


足元まで来たジル様に対して、その倍は身長があろうかという赤い化物がよろめきながら左手のチェーンソウを振り上げた。


「…!危ない、ジル様…!」


自重に任せ気味に振り下ろされた巨大なチェーンソウは、思い切りジル様の右肩に入った。


「あ!ああ!…あぁあ!そんな…」


ギィ…!!!ギリギリギリギリ、ギィ…!!!とけたたましい音を鳴らしながら大量の火花が散る。


「ジル様、そんな…!」


「…」


「ジル様…!」


ジル様はノーリアクションだった。高速回転する金属の刃と自身の右肩との摩擦で飛び散る大量の火花に顔をびかびかと照らされながら…スレイトアールセイバーを握った右手を軽く腰に当ててすん、と立ち尽くしたままだった。


「(おいおいおいおい、おいおいおい…)」「(固過ぎ、ジル様…ジル様が固過ぎる…)」


〝ア゛ア゛ァァ…!ア゛ア゛ァ゛ア゛…!〟と唸りながら全力でチェーンソウを押し付ける赤い化物を余所に、ジル様は待ちくたびれたようにくい、くい、と首を左右に一回ずつ傾け、今まで自分の肩口に食い込んでいた巨大なチェーンソウを抱きかかえるようにしてぴょん、と飛び上がった。


続けざま赤い化物の背面に着地し、身を(よじ)るようにしながらめきめき、ぶちぶちと音を立ててチェーンソウごと赤い化物の左腕を捻じり切っていく。


「!?ア゛、ギァ、ギ…!!!」


「…!!?」「嘘、ジル様…!?」


赤い化物の左腕は肘の少し上の辺りで渦を巻くように寸断され、赤々とした体液が飛び散ると共に巨大なチェーンソウが地面に転がった。


明らかに苦痛の声を漏らしながら地に伏した化物の左脚を、今度は赤紫色に光るスレイトアールセイバーで大腿部分からスパッと切断した。


「!?ア゛ァ、ア゛…」


右手で左腕を押さえてうずくまっていた化物が支えを失って受け身を取るように、左肩口からごろりと地面に転がった。


「…つ、強過ぎじゃん…」「何あれ…あんなの…!!」


「…」


細い体で巨大な化物を事も無げに蹂躙していくジル様は、想像だにしない格好良さだった。すらり、ふわりと身を入れ替える度に白い長髪と青いスカートがさらさらと揺れる。


「か、格好良過ぎじゃん、あんなの…」「は、反則過ぎる…!!」


「…」


気付けば顎先にとろりと垂れていたよだれを拭いて顔を上げたら、ジル様がこちらに向かって涼し気に歩いて来るところだった。


左手と左脚を失って地面に転がり、少し哀れな風体を晒していた赤い化物は、煌さんの配下の方達によってリンチに遭い始めていた。


「ジ、ジル様。ねえ、ジル様…」


「…」


「お話しよう?…させてください。ねぇ」


「…」


「ジル様…」


わざわざ私の脇を通るラインを歩いてご帰還された割に、どれだけ言い寄ってもジル様は目も合わせてくれなかった。


返り血一つ浴びていない涼しいお顔で伏し目がちに、しゃなりしゃなりと寝ているアニカさんの方へ向かっていく。


「ジル様、ねえ…」


「…繰命ちゃん、どう?処置の方」


「終わりました…!」


と血に染まった手袋の親指を立てて繰命さんが言った。


「良かった…ありがとう、繰命ちゃん。いつも本当に頼りになる」


「へへ…いや、皇女がここまで運んでくれたお陰っすよ」


「うん」


「帰りって…サンドルート女史の輸送、お願いできる感じですか?」


「もちろん。戦車片付けた後でいい?」


「りょーかいです!じゃあ患者の体、ギチギチに固めて待ってますね!」


「うん!お願いね」「…今からあたし行ってくるけど、死ぬなよ?容体が急変とかして」


とぐったりとしているアニカさんに目を合わせて言う。


「…うるせー。ありそうなことを言うんじゃねえ」「早く行け」


「…うん」


「あと、」


「…?うん」


「あんまりうちの子(ゆづ)に冷たくすんじゃねえ。ぶっ殺すぞ、てめえ」


と、死人と遜色ない顔色をして弱々しく凄むアニカさんを受けて


「…」「ふんっ。」


と言いながらジル様がこちらを振り返り、ジト目で私を見下ろした。


「(あぁ…!ジト目…ジル様の、ジト目…)」「(身長差20cmからの、見下ろし加減の、ジト目…)」


「…」


「(あ、ありがとう…ありがとう、ジル様…もといアニカさん)」


「…だろ?」


「(この世の、ありとあらゆる…)」「…え?…はい?」


「…」「お姉ぇー様だろ!?」


と怒鳴りながらジル様は地を蹴り、戦車の大群に向けて地上数mを超スピードで突っ切って行った。


「あ…」「お、お姉ぇ様ぁーーーー!!!」


濛々(もうもう)と立ち(のぼ)っていた分厚い煙が一瞬にして消し飛び、戦車の群れの一角が久々に姿を現した。


「(…何という…)」


戦車の群れは、最早壊滅状態だった。車体に裂け目を作って地面を向いて俯く物、砲塔がひしゃげて主砲がここまで進軍して来た方向を向いて固まっている物、主砲を撃つごとにバラバラと部品を撒き散らす物…煌アイで確認したところ少なく見積もっても半分がそんな有様だった。


そんなほぼガラクタの山と化した戦車群の中程から、まだ主砲から砲弾を吐いている戦車を一両、左手一本で頭上に担いでジル様が宙に飛び上がった。


「(…見な?あれがオレの、推しなんだぜ…?)」


戦車を別の戦車に投げ付け、自分の近くを通った砲弾をスレイトアールセイバーで両断し、仕上げに例のレーザーで短く周囲を薙ぎ払った後また次の一角に移って行く。


「(…あぁ、あのレーザー…ジル様のジト目…)」「(じゃなくて。目と同じ色だ。瞳の色と、同じ色なんだ…)」


どうやら戦車の大群を壊滅させる総仕上げの段階に入ったらしいジル様は、ずっと地上数mの宙を舞いながら躍動していて、自然スカートの中がずっとチラ見えしていた。


「(…)」


煌アイでズームアップして観察した空色のレギンスは、ジル様のすらりと伸びた細い脚や意外と肉付きのいいむちむちとした太腿、そこから続くぷりんと上がった恥ずかしいお尻にぴたりと張り付き、そのフォルムを強調していた。


「(…)」


ジル様は明らかに油断していた。〝レギンスだから大丈夫〟と、〝レギンスだから見えてもノーダメ〟と。浅はかな油断を以て今日ああしてこの場に現れ、何も気にせずスカートの中身を大盤振る舞いに御開帳していた。


「(…嗚呼、最推しの君。どうしてあなたは、箱一清楚でありながら…)」「(箱一エロくも、あるのでしょうか…?)」


この世界で出会ったジル様は、最強だった。同じく最強だったアニカさんよりも、煌さんよりも、その二人よりもさらに最強だったあの赤い化物よりも、侵攻して来た敵国の戦車の大群よりも、遥かに…


「(…)」


でも無自覚エロはもっと最強だった。


だって無敵に振る舞われているこの場においてすら、ジル様はご自分の無自覚エロに敗北しておいでなのだから。


「(…あ~…帰りたくねぇ~、現実世界…)」


余りにも、


余りにも色々あり過ぎた今日の終わりに得た成果は、前々から分かりきっていたそんな普遍の真理だった。




【登場人物・用語】


白河(しらかわ)ゆづ…………ここまで唯一の語り手であり続けた人で、次話以降そうではなくなる人。繰命にメンタル・ヘルス子と呼ばれているが実際この世界に転生して来て以降ずっと半分錯乱したような状態にあり、〝これは夢だから〟〝どうせ夢だし〟と繰り返すことで急過ぎた環境変化の中で何とか正気を保っていた。ジルに冷たくされているのは前日夜に別れたからなのだが、能天気でポジティブな性格をしているので都合の悪いことは嘘のように綺麗さっぱり忘れる。ジル・スレイトアールの見下ろし気味のジト目がイイのは、それは全人類みんながそう。


〝嗚呼、最推しの君。どうしてあなたは、箱一清楚でありながら…〟……………ゆづの辞世の句(=死ぬ直前に詠む句)。清楚が好きだけど清楚なだけじゃだめ、エロいのはもちろん好きだけどエロいだけなんて身も蓋もない、その両方を合わせ持って初めて我が推し足りえるのだ、という思いがしたためられている。要はお行儀よくお上品に振る舞って守りに徹するだけの女性には心惹かれないし、かと言って自分からカップサイズを言っちゃうような感じだと引いちゃうだけだし、その間のバランスを上手くとって欲しいもんだよな、俺の推し。みたいな精神。


あまり関係のない話だが、ゆづは元の世界にいた時ジルと配信上でコラボした男性ライバーを間違えてうっかり映り込んだ男性スタッフか、案件先の人だと思い込むことでいつもその時間いっぱいを耐えていた。


ジル・スレイトアール…………見せパンだったら平気だろうと思い込んでしまう罪作りなタイプ。〝見せパンだったら平気〟だったなら体育の授業からブルマは未だに絶滅していなかった筈なのでこの理論はそもそもおかしい。超越的なパワーをいくつも合わせ持っているが要所要所で抜けていて、今回は戦車の群れにしても赤い化物にしても上空から排滅怪光(はいめつかいこう)でさっと薙いで終わる筈だったところを薙ぐ順序が悪くて対象が見えなくなってわざわざ下りて来て接近戦で…という手際の悪さを見せている。ゆづに冷たくしているのは前日の夜に別れているからだが、わざわざ目の前で行ったり来たりを繰り返し第三者とこれ見よがしに会話したりしているのは当て付けで、ゆづへの無言の攻撃。とても女性らしいやり口で、同時にとても嫌なやり口。何の臆面もなく擦り寄ってくるゆづに〝子犬みたいな顔で媚びたら何でも許されると思いやがって…!〟と内心腹を立てている。排滅怪光(はいめつかいこう)の第一回目の照射前にボロボロの状態のアニカを上空から見つけて〝う゛っ!?〟と一度声を上げており、その直後に繰命を連れて来て良かったと心から胸をなで下ろしている。繰命とは仕事上で何度も協力し合っている良い関係だが煌とは一度も会話したことがなく、一方的に憎まれている関係。煌のことは何人もいる自分を憎んでいる人間のうちの一人だという認識でしかない。


スレイトアールセイバー…………九慈(くじ)メタルと同等の硬度を誇る首都スレイトアール近郊で少量採れるレアメタル〝スレイトアール(こう)〟と、同じくレアメタルの特殊鉱石〝アドンナイト〟を配合した合金で作られた、スレイトアール王家に伝わる宝剣。ゆづの世界のジルが3D配信でたまに持つものと比べると随分小振りで細く、刀身も青かったりはせずシンプルな銀色。赤紫色に光っているのはジルが生成した排滅力場(はいめつエネルギー)を纏わせているからだが、それをすることでこの剣の刀身が切った物のその部位はその時点でこの世から消滅する…つまり〝赤紫色に光るスレイトアールセイバー〟にはこの世に存在するありとあらゆる物が切れる。スレイトアールセイバーは現状排滅力場(はいめつエネルギー)に晒されても消失しないただ一つの武器。


アニカ・サンドルート…………推定・控え目のEカップだった人。不自然なほどに弾力があり仰向けに寝ていても横に流れず上を向いている、と言えばいかにも怪しいが正真正銘の天然もの。昔から無頓着で家にいる時は専らノーブラ派だが最初に育ったその時のまま形も張りも一切崩れたことがない。全ユニバースの中でAAAカップじゃないのはこのアニカ・サンドルートだけ。何度も見て触ってもいる自分の胸とジルの戦う姿の二つに対するリアクションを見てゆづが重度の病気だったことを思い出している。今回自作のバトルコルセットを着用した上で赤い化物に手痛いダメージを入れられているが、バトルコルセットは繰命が外した時点で破損していない。バトルコルセットにより生成されたシールド状の膜に完全に守られた上でその内壁に叩きつけられて体中を損傷した、というのが実際のところ。煌作の銀の竜鱗(シルバースケール)部隊の兵装だとこれはほとんど起きず、故にこちらの方が上位互換品で、だから赤い化物と戦っている銀の竜鱗(シルバースケール)部隊の中から負傷者は出ていない。ジルに〝銀の竜鱗(シルバースケール)が死にそうだから助けてやってくれ〟と言ったのは特にまともに兵装を着用していないM.E.K.A.舞子(メカまいこ)のこと。ゆづの世界のアニカは卑屈ムーブを売りにした負け犬キャラでこちらの世界のアニカは数々のトロフィーを己が手一つで手に入れてきた自信溢れる社会的強者だが、その差が乳の有る・無しによってできたものなのかどうかは誰にも分からない。


繰命伊那(そうめいな)…………物凄いグッドタイミングで久方ぶりに現れた人。ここに来る前は街の中心で行われた戦いに参加していてたくさんのスレイトアール軍人の命を救っているが、同時にスレイトアール側の人間の中でこの日最も多くの敵兵を殺した5人のうちの一人にもなっている(バトルコルセットを着けない生身のままで318名を殺害している)。主に使用する武器は据え置き型の大型タレットやボウガン型の銛だが、ボウガン型の銛が特にお気に入り。理由は〝音がしなくて適当に撃っても必ず殺せるから〟だが、確かにこの武器だと白騎士の装甲程度ならどこを撃っても軽々と突き破る。10km以上も距離のある二つの戦場を股にかけ最も多くを救った上で最も多くを殺し、細い体で大荷物を担いで駆け回る繰命はいつも言動がおかしく常に躁状態だが、担当する患者に対してだけは優しく、おおらか。地声の良さがもろに出たその状態の繰命にころりと落ちるイナ隊メンバーは後を絶たないという。何もない方向から姿を現したことにゆづが驚いていたが、ジルの足元方向でもあるそこから繰命が現れた理由はジルに輸送されてここまで来たから。ジルは作中で見せた能力の他に空間移動の能力も持ち合わせていて、自分の他に最大4人までを同時に移送することができる。繰命はジルとも煌とも良好な関係を築いていて、どちらとも何度も仕事上で協力し合ったことがある。


油はねガードみたいな板…………戦場で外科手術を行うための即席キット。板状の装置の内側に照射される青い滅菌光が全ての細菌を死滅させ、同空間に生成される軟式カタクルス光子のフィールドが空気の対流を妨げて塵や土埃の進入を防ぐ。正式名称はOpe(オペ) Professiona(プロフェッショナル)l試作型。最初に作った試作型の出来があまりに良過ぎてそのままの型を使用し続けている。繰命が率いる戦場医療部隊イナ隊のみが使用する装置だが本来は展開した板状の本体の上に全自動型の迎撃用タレットが付く。今回はジルが同行している上に行った先にアニカや銀の竜鱗(シルバースケール)がいることを把握済みだったので持って行っても荷物になるだけか、ということでタレットは置いてきた。タレットが無くても十分な大荷物だが、最大のネックは装置自体が大きくて重過ぎること。イナ隊は普通戦場に出る兵士に追従して台車型の装置を押しながら進むので大抵の場合問題はないのだが、今回のように単身での出向だとどうしても妨げになってしまう。煌、あるいはアニカから譲り受けたバトルコルセットを着用すればその問題も即解決するのだが、忘れ物癖が激しい繰命はやっぱりその着用を忘れてこの場に来ている。繰命を始めとしたイナ隊の活躍により、この戦いでスレイトアール側に死者は結局一人も出なかった。


絶天煌(ぜってんきらび)…………とある理由でジルをめちゃめちゃに嫌っている人。部下と自分との連携作業でじりじりと追い詰めていた赤い化物を横から搔っ攫われたことにも物凄く怒っているが、それをしたのが他の皇子を始めとした別の誰かならあら助かりますわ、どうもありがとうとお礼の言葉を述べていた。アニカが重傷を負ったことに一旦強く動揺しているが、煌アイでその状態を細かく観察した上でそんじょそこらの医者より確かな医学的知見を以て〝最大数時間は放置しても命に別状はない〟という極めて的確な判断を下し、司令本部にイナ隊の出動を要請した上で赤い化物の討伐に当たっていた。ジルのことはめちゃめちゃに嫌っているが繰命とは国指折りの才女同士ということで意気投合していて、伊那さん、社長と呼び合う関係。ジルとはこれまでに数度挨拶程度の会話を交わしたぐらいの接点しかない。


京家(きょうや)M.E.K.A.舞子(メカまいこ)…………赤い化物の肩の上に乗ってその動きを制御する危険極まりない役を買って出た人。一緒に戦った銀の竜鱗(シルバースケール)の部隊員達と比べて圧倒的に兵装が薄く、また義手を失っているため本来やるべきではないが、アニカをやられた怒りでゾーンに入っていることを感じた煌が責任を持って了承した。赤い化物と戦う段になってまともに兵装を着けてこなかったことを本気で後悔していて、煌に二度以上大技を使える義手の開発を打診してしこたま怒られた後で和装にも合う自分専用の兵装を開発してくれと追加で依頼して〝…もう、あなたには負けましたわ〟と言わしめる。煌とは親子とも師弟とも姉妹ともつかない特殊な関係性だが繰命とは顔見知り程度でそれなりに話すぐらいの間柄。ジルに関しては一方的に見かけたことがあるだけで向かい合って顔を合わせたことは一度もない。煌がジルを鬼のように嫌っていることはよく知っているがそれは自分には関係のない話で、ジルのことは第二皇子(自分とこのボス)と同等の名君の器だと思っている。


〝赤い化物〟…………活躍し過ぎたアニカを潰すために投入された、破格の強さを誇る某国の特殊歩兵。その役割だけはこなすことができたが続いて接触した銀の竜鱗(シルバースケール)に手こずっているうちに本当にヤバい敵に鉢合わせ、一瞬のうちに倒されてしまった。鋼鉄を素手で殴って粉々に吹き飛ばす腕力とそれクラスの攻撃を我が身で受けて跳ね返すタフネスを合わせ持つが、どちらもジルには通用しなかった。アァ、とギィギィしか言わないので人間かどうかも怪しいが、痛みを感じることだけは今回分かった。この戦場で出会ったジル以外の誰よりも圧倒的に強いが左腕と左脚を失ってはさすがに為す術がなく、現在は銀の竜鱗(シルバースケール)による壮絶なリンチに耐えている。特に赤い着物を着た女による虐げがネチっこくて容赦がない。


()創国祭(そうこくさい)〟…………首都スレイトアールの中心部で勃発し、続いてその郊外でも次戦が起きた某国による今回の侵攻に後々付けられた名前。街の中心部に攻め入った勢力は瞬く間に制圧され後発組の最たる目的だったであろう首都衛壁の破壊も成らずでスレイトアール側の大勝利で幕を閉じたが、〝透明な戦車〟や〝赤い特殊歩兵〟、〝経路不明のまま街の中心部への侵攻を許す〟等数々の新要素が確認され、人員も特殊歩兵を含め2万5千人超が投入された本気の侵攻戦だった。()創国祭(そうこくさい)という名が付いているがスレイトアール側で死者は一人も出ていないので、流れたのはそのほとんどが某国側の血。


三枝零足彼別奴さえぐさレタスキャベツ…………繰命の手術助手を地味にそつなくこなした人。各種能力がことごとく低いがその場で出された指示にぱっと従う類の行いはかなり得意。アニカが倒される前の段階でゆづに対して強い推し心を持ち始めていたが、病床のアニカに対するゆづのとち狂った言動を見て私が傍について支えてあげなきゃ…という間違った使命感を持ち始める。繰命によりさらっと非戦闘員認定を受けているが、赤い化物がすぐ近くにいるこの戦場で武器も持たずにいる弱い銀の竜(三枝)鱗は非戦闘員で間違いない。

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