明奈の法廷デビュー
久々の投稿です。
あれから3日経った。ちづと真由が通う職員室にて。
「小林先生」
家庭科を担当する教師の元に教頭がやって来た。
「新学期始まってどうですか?」
「通常の授業は問題ないのですが選択の方が5名ほど」
今日は選択の授業をちづ達5人は欠席した。
「やはり大変な事になってるようですね。」
教頭は小林に1枚の封筒を渡す。それは裁判所からの出廷通知書であった。
初公判が行われたのはその週の土曜日だった。原告人席にはちづと代理人の明奈が座っていた。
「芳子さん!!真由ちゃん!!」
ちづは立ち上がると傍聴席の方に手を振る。スーツ姿の芳子と真由始めとするちづの味方の女子が来てくれたのだ。芳子は黙ってちづに手を振るを
「ちょっとちづ、座りなさい。法廷よ。」
隣にいる明奈がちづを座らせる。
「お姉様、今日はいつになく真面目ね。」
いつもはピンクのトレーナーにスエットの姉が今日は白いジャケットにフレアスカート、ピンクのブラウスを着て髪も夜会巻きに纏めている。これが明奈が法廷に行く時のスタイルだ。
「当たり前でしょ。貴女のためにここにいるんだからちゃんとしなさい。」
向いにの被告人席には家庭科の教師とその弁護士が座っている。明奈達の方を見てクスクスと笑っている。
「麻川さん、相変わらずですね。」
明奈の背後を振り返ると判事達が入って来た。
「高橋君」
判事は明奈の知り合いのようだ。
「お姉様、どなたですの?」
明奈はちづの問いかけに黙っている。
初公判は原告側の尋問から始まる。ちづが証言台に立ち明奈が質問する。
「ちづさん、選択科目で家庭科を選んだのはなぜですか?」
「昨年の文化祭のファッションショーで2、3年生の先輩達がスカートを履いてランウェイを歩いているのを見て私もやりたいなって思ったからです。」
ちづは緊張しながらも質問に答える。
「では先生がスカートではなくズボンを製作すると聞いた時はどう思いましたか?」
「悲しかったです。作りたかったスカートがあったのに。」
「お聞きになりましたか?裁判官。」
明奈が正面に向き直り裁判官にちづが1年前に描いたスカートのデザイン画を見せる。
「原告は1年も前から家庭科の授業を選択すると決め自身でどんなスカートを作るか考えていたのです。それをたった1人の男子生徒のために踏みにじられました。被告の行為は授業を選択した女の子の気持ちを無視したものと判断し女子全員への慰謝料請求を求めます。以上です。」
ちづは教師にスカート製作を認めさせる事も希望したが既に型紙やキットの発注は終わっている事、文化祭は6月で時間がない事から慰謝料請求のみに切り替える事にした。
「それでは先生、お聞きします。」
次に被告側の尋問が行われる。証言台に立つのはちづの家庭科の教師の松山だ。敵の弁護士は新山という40代ぐらいのベテランの男性だ。
「貴女は今年の家庭科の選択ではスカートではなくズボンを製作する事にした。間違いありませんね。」
新山が質問する。
「はい。」
松山は1言だけ答える。
「毎年スカートなのになぜ今年はズボンにしたのですか?」
「今年は受講希望者に男の子が1人いたのでズボンにしました。昨年度に既に相談され男の子も受講できるか聞かれたのでそう答えました。スカート製作に関しては本人の希望を聞きズボンがいいと言ったのでズボンにしました。」
「お聞きになりましたか?ズボンは男の子の希望であります。また文化祭のファッションショーで着るという点に関してはスカートを履く意志のない男の子にスカートを履かせるのは不特定多数の人の前で晒し者にするようなものです。教師の判断は妥当なものです。」
「おい、ちょっと待て!!」
新山が発言を終えると傍聴席から叫び声がした。




