再鑑定①
ここは短いですが、次が少々長めです。
再鑑定は、ラターナ村の人達が環境に慣れてきた1週間後に開始された。
とは言っても人数が人数なので、あたしの順番が回ってくるまでかなり待った。
「鑑定できる人が少ないので仕方ないですよ」
ソワソワとするあたしに、田岸さんは辛抱強くそう言った。
「5区の住人からスタートですからね。ヒカリの順番は最後なんですから」
そうなのだ。1番人数の多い5区から開始され、1区のあたしは1番最後。早く知りたいあたしとしては、痺れも切れるというものだ。
「はぁ……。すっごく長い………」
鑑定開始から1週間を過ぎる頃には、すっかり待ちくたびれて不貞腐れ《ふてくされ》ていた。
しかも仕事もないので暇。
引っ越したばかりで掃除をする場所もない。
護衛のためマンション(あたしはずっとそう呼んでいた)の敷地内から出てはいけないと言われたので、散歩する範囲も限られている。
しかも1区の住人に限り、マンションの出入り口には衛兵が配備されていた。
出入りする人は全てチェックされるというわけだ。
身の安全を保証してくれるのはいいのだが、あまりにも暇。
なのでマンションの外に立つ衛兵さんに、本が欲しいとおねだりしてしまった。
すんなり本は届けられ、物語や小説を読みあさったた。面白かったが、活字ばかり読んでいられないので、薬草図鑑や医学書、ガラス製造に関する本、革製品の本などにも手を付けた。これらの知識はあたしの仕事に必要な情報だったから、メモに書き留めた。
それでも暇で、たまに田岸さんに愚痴を聞いてもらって過ごした。
4区の田岸さんの再鑑定はあっさり終わり、特に新しい発見もなかったと教えてくれた。
「まぁ、地図を作る力なんて出来ることは限られているでしょしね」
ちなみに、魔力量は1080で平均的だったらしい。
「生活魔法を使う分には支障ないらしいです。生活魔法は誰でも使えるから簡単に教えられるそうで、希望者には教室を開くと言われました」
凄い、アフターケアまでしてくれるなんて。やっぱり魔族の皆さんは親切だ。
そんな日々を過ごし、じっと待つことさらに14日。
ソルセリルに到着して1ヶ月が経った頃、ようやくあたしの順番が回ってきた。
再鑑定の場所はラディウスが住むあの3階建てのお屋敷の一室。
こちらの内装は豪華とまではいわないが、高級ホテルのような静かなエレガントさがあった。
座っているだけでも緊張する光沢のある椅子。泥をつけたら怒鳴られそうな絨毯。
花を生けている花瓶一つとっても、割ったら弁償できなさそう。
そんなただでさえ緊張する部屋で、あたしは高官魔族の面々に囲まれていた。
真ん中にラディウス。
今日も高そうな生地の服を着て推しを組んでいる。
右隣にエルフのヘルムート。
長い銀髪を後ろで束ね、薄紫の瞳が目を引く。見た目だけじゃなくて立ち姿もキリッとして綺麗で、やっぱり見目麗しい。
知っているのはこの2人だけ。
他に女性のネコっぽい獣人族。
茶色の耳に茶色の短髪。鷹のような黄色い鋭い目をしている。羨ましいくらいの小顔で、顔や腕は人間と同じ皮膚だ。尻尾はなかった。
すぐ隣に筋骨隆々としたドワーフの中年男性。その背中には大きな羽根がある。きっと翼人だろう。
わかりやすく長いローブを着ているのが、鑑定する魔術師かな。
あとは縮こまってポツンと立っている男性が1人おり、きっと同じ召喚者だろうと思った。アッシュブロンドで白い肌にブルーの瞳。寒い国の人かな?
部屋にいたのはこの5人。
ちょっと空気がピリついているのは気のせいじゃないだろう。
あたしの力を警戒しているのが分かる。
「イセ•ヒカリで間違いないですか?」
ヘルムートが尋ねる。
「はい」
「あなたの力の再鑑定を行います。鑑定は2人で行いますが、ここで知り得たことは機密情報ですから、公の場で喋らないように。鑑定する2人にも機密保持の魔法をかけていますから、ご心配なく」
そんな魔法まであるのか……。
本当に様々な種類の魔法があるんだと感心する。
「では、鑑定を始めます」
読んでいただきありがとうございます!
とても励みになっています。
次回、ヒカリの力の詳細がいよいよ分かります。
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