《蒼狼視点》
うーん、タイトル決まらなかった。そのうち変えます。
黒耀と謁見を果たした夜、オレは白藤様をいつもの様に寝室まで送り届けた。
いつもなら、白藤様はそのまますぐに眠りにつく。
だがその日は何故か、白藤様は布団に入ろうとせず、窓辺に佇み夜空を見上げながら延々と一人で何かを語り続けていた。
「……だから俺は言ってやったんだ。だって豹牙はまだ言ってもたった14歳の子供。誰かに認められたい、だけど必死になってるところは誰にも見せたくない。そんな葛藤を胸の内に抱えている内に、無意識に他者を妬んでしまったんだ」
「はぁ、……さようですか」
……言っても白藤様は13歳だけどな。
そんなことを考えながらオレは生返事を返す。
一応初めは真剣にも聞いていたが、半刻ほどでだんだん面倒になってきたオレは、それ以降適当な相槌だけを返して聞いているのであった。
「豹牙はプライドも高くて、負けず嫌いな性格は、時に他人と壁を作ってしまうこともあるが、俺はそんなところも豹牙の長所として捉えていきたかったんだ。例え黒耀や草達を貶める言動をしたとしても、今はまだ俺がそれを嗜める時ではなかった。何故ならこの少年時代も過ぎ去れば、きっと豹牙自らが気付く事なのだから……」
窓枠に腰掛け、腕を組ながら遠い星空を見詰めている白藤様。……はぁ、まだ寝ないのかな。
ふとそんな思い無意識に肩を竦めたその時、白藤様の視線がこっちを向いた。
「な、そう思わないか? 蒼狼」
「さぁ。思う思わない以前に、私には全く意味が理解できませんのでなんとも」
オレは目を伏せ、なるべく当たり障りないよう気を付け答えたつもりだったのだが、その声は自分でも驚くほど淡々とした冷たい響きを孕んでいた。
そしてそのせいか、白藤様の頬が引き攣る。
「あ、もしかして俺一人で語ってた? もう一回最初から説明し直そうか?」
「いえ、長くなりそうなのでもう結構です。要は“プライドばかりが無駄に高く、面倒臭い性格の豹牙が、大人気もなく黒耀に嫉妬していた”ということですよね」
「あの、いや……なにもそこまでは言ってないよ?」
白藤様はオレの要約が気に入らないのか、しどろもどろに訂正してきたが、概ねは間違ってない筈なのでオレは続ける。
「そしてその際、ここで黒耀を庇ったら豹牙が更に面倒臭くなりそうだと直感した白藤様は、不貞腐れた豹牙を持ち上げつつその場にいない黒耀を宥めることにした、と」
「……蒼狼さん? なんかそんな言い方されると、俺が最低な奴みたいじゃん」
「ええ。まぁ、……そうですね」
「肯定すんのかーい」
軽いノリで合いの手をいれる白藤様だが、オレの頬はピクリとも動かない。
「とは言え、今回は完全に豹牙が悪いので、その最低な行いもチャラでいいと思います」
「よ、容赦ねぇなぁ……」
豹牙なんぞに容赦の必要などない。
「実際豹牙は、単純に善人を信じるような素直な奴じゃなく、必要悪を肯定するような者の方が安心して心を開くところがありますからね。白藤様は豹牙の為に敢えてそういう態度を取られたのでしょう? ……例え、本当は黒耀に心底同情して、あのように全てを本人に委ねていたのだとしても」
そう付け加えた時図星を突かれたかのように、一瞬ギクリと白藤様の眼が見開かれた。
「……何を驚かれているのです? 私は白藤様の神獣ですよ。黒耀を駒と見る冷徹な仮面を見せられようと、その内心では心から同情なさってることくらいお見通しなんですよ」
「お見通されてるのか……流石蒼狼、っと言うか、なら一体何が“全く意味が理解できません”なんだ??」
そう言って、コテンと首をかしげる白藤様に、オレの苛立ちはとうとうピークを迎える。
「はい。白藤様がどのような仮面を被ろうが、それはどうでも構いません。……ただその後、白藤様は何を思って豹牙を落とそうとなぞなされたのです? そこですよ、理解が出来ないことは」
オレはゆっくりと、低く唸るような声で、まるで無自覚な白藤様にそう訊ねた。




