後編・侯爵家の後継
「……レオナ、義父上がなんと言おうと無理して合わせることはない。あんな不名誉な形で長年の婚約が解消になったんだ。心の整理にいくら時間をかけても誰も文句など言わないよ」
カップをソーサーに戻し、おもむろにアンソニーはそう声を掛けた。さりげなくありながら、言葉にこもる思いやりとともによくよく考えられたタイミングであることが感じられる。
カタキヤーク侯爵家のきょうだいは屋敷にて穏やかにお茶の時間を過ごしていた。
「あら。お義兄さま、わたくしそんなに落ち込んでいるようにみえて?折角のお気遣いですけれど……婚約が無くなりましたこと、なんとも感じていませんの。我ながら薄情ね?」
レオナは物心つく頃から父のオージへの評価を聞かされてきた。おかげで恋に盲目になる間もなく、冷静に婚約相手の素性を観察してきた自覚がある。
それでも父に誘導されたというよりは、オージという人間が自分に反発を感じていることについて常に意識的でいられた、というのが正しい。「自分の物になったと思えば興味を失い、常に新たなものを欲しがる」と聞いて相手をみれば、なるほどその通り、オージは政略で定められた婚約者がいるという、その事自体に反発し癇癪を起こし、相手であるレオナをまともに見ようとしないことがよく分かった。
そもそも彼は尊き身分で有りながらも未来の国王のスペアでしかない第二王子という立場に鬱屈を募らせていて、宛がわれた婚約者が誰であろうと八つ当たりの相手としてしか認識しなかった。自由にならない生と、無駄になるかもしれないと分かりながらの厳しい帝王教育、裏腹に重責の伴わない立場にあって、オージは自身の境遇を悲劇として浸っているところがあった。そしてその悲劇性が、責任を放棄して遊んだり、誰彼となく当たり散らしたりすることの免罪符になるのだと考えているらしかった。
少しでも思いやりのある人間だったら婚約者とされたレオナも同じ「悲劇的な」立場だということに思い至るだろうし、励まし合い共に成長する建設的な関係を築くこともできたろうに。
その点でレオナはオージの人間性を尊敬できないなと冷静に評価していた。
彼の境遇に同情し、共感を言葉にして、甘やかし時々は発破をかけて、そうやってレオナが努力をすれば関係の改善は可能なのだろうとは常々感じていた。好意を勝ち得ることはきっと出来ると。
けれど思いやりがなく身勝手にばかり振る舞う相手に、こちらばかりがそこまでの手間をかけてやることは難しかった。どれだけ優秀であっても、レオナだって感情のある人間なのである。
「薄情だなどと思うはずがない。私が卒業してからのこの一年間はともかく、それまで学園で殿下がお前に対してどう振る舞っていたか間近で見知っているのだからね。あのような対応をされて誰が愛なぞ育めるものか」
兄のスペアであるというコンプレックスを抱えたオージは、学園生活でことさら王族らしくない気安い振る舞いをして見せることを好んだ。周囲を高貴な身分の子弟の取り巻きで固めながら、下級貴族の子供や学園に数少なく在籍する庶民の特待生らを構う様子はアンソニーやレオナの目には矛盾と欺瞞を感じさせたものだが、身分の如何を問わず交遊を持ち見聞を広めること自体は悪いことではないだろうと好きにさせてみたところ、野心ある男爵令嬢なんぞを見初めてくるのだから仕方がない。
本気で彼女と添い遂げたいならばそれはそれで、彼女を教育すればいいとまずカタキヤークの兄妹ならば考えるのだが、オージの場合は愛しの彼女の常識にどんどんと染まっていった。下級貴族の常識はオージには目新しかったらしく、貴族でありながら幾分か堅苦しさのないその生き方が理想だなんだと語っていたのをアンソニーは傍らで聞いている。臣下としての責任感からアンソニーが折に触れてなした忠言は、煩わしいものとして一顧だにされず切り捨てられた。
そもそも貴族と言えど、未だ学園に通う身。家庭の躾も行き届かなかったらしいアマリリスの主張は下級貴族の常識すら外れたものであることをアンソニーは垣間見たものだが、オージはそれを彼女の個性と誉めそやした。
そして何をどう道を間違えたのか、高貴な者の特権を軽蔑し、風紀委員として生徒会活動に従事する婚約者を堅物と敬遠し、王族の慣例として与えられた生徒会役員の仕事を半ば放棄して、アマリリスの点数稼ぎの奉仕活動を立派だなんだと称えつつその尻を追うばかり。
レオナがオージに対して恋愛感情めいたものを一切抱いていないことはアンソニーもよく知っていたが、だからといって婚約者としての面目を丸潰れにされて良いと言うものではない。在学中は間近で見るその馬鹿馬鹿しくも軽率な行動に、義妹の内心を思い忸怩たる気分を感じもしたものだ。
「そのように仰っていただけると、わたくし少し胸のつかえがとれるような気がしますわ」
レオナは誇り高い娘だ。プライドを踏みにじられてさぞ思うところがあっただろうに、涼しげにこの程度の文句で内心を飲み込んでしまう。
義妹が得難い素晴らしい女性であることを、幼い頃からそばにいたアンソニーは誰よりよく知っていた。そしてオージと彼女の出会いが婚約者同士としてでなければ、つまり彼女が努力無しには手に入らない女性であったとしたら、オージはむしろ熱烈にレオナに執着していたのではないだろうかと思えた。
だからこそ先んじて彼女を婚約者に据えた、そこまでが義父の計算であるという可能性は、十分にあり得た。目的のためならば虎視眈々と策を巡らす、カタキヤーク侯爵は直情的に見えてもしたたかな貴族なのだ。
オージの性格を読み、あえて婚約者とすることでかえって王族の求婚から距離を取らせ。そしてレオナの実際の結婚相手として目されているのは自分であることをアンソニーは引き取られた当初から知っていた。カタキヤーク侯爵がアンソニーを後継者として育てようとしたことに嘘はないだろうが、同時に常に娘の伴侶としての器量を計られていることにも気付いていた。
その上で義父の目論みにうかうかと乗って我こそは、などとでしゃばることはせず、意中の相手を探るような問いかけものらりくらりとかわし続けてここまで来た。アンソニーは一貫して仲の良い家族、慕わしいいもうととしてレオナに接してきた。
貴族と言えど弱小も弱小、傍流の吹けば飛ぶような家庭の末っ子からカタキヤーク本家に引き取られ嫡男として遇されて、幼いうちに運命が他人の手によって引っくり返される経験をした。だからこそアンソニーは人の心変わりがどれだけ容易いかを肌身で知っている。
義父の数あるだろう腹案のうちの一つ、その程度の保証にその後の人生すべてを賭けてしまうのは恐ろしかった。もしもレオナが一言「オージがいい」と求めれば、それだけで自分がレオナの伴侶になる未来などあっさり断たれるのだ。
その自覚はいつもアンソニーの行動に一定の枷として働いていた。だから女性として日々輝くように美しく成長していくレオナにオージがどれだけ相応しくないと思えても、不平も不満も表にせずにいられたし、家の意向通りオージの派閥として涼しい顔で傍らに侍ることもしてきた。
レオナがオージを選ぶのならばオージを盛り立てるのが己の役目であるし、カタキヤーク侯爵家がオージを切り捨てると決めたならば、その時点で引き上げるまでだった。
「お前は充分によくやってきたとも。それは私だけではなく、考える頭を持った相手なら誰に聞いてもそう答えるさ」
思い遣り深く微笑んで、労るようにそう言ってくれる義兄……いいえ、アンソニーはもう大切なおにいさまというだけでなく、新しい婚約者になるのだわ、と内心で考えて、レオナは不思議な気持ちがした。まだ現実と実感が出来ていないふわふわとした、しかし決して不快ではない思いごと飲み込むように紅茶を含む。
才気に溢れた人。彼にとってもオージの取り巻きなどは意に沿わない立場であったろうに、そつなく務め上げた人。思えばアンソニーの在学中はオージら一行の暴走も常識の範疇に収めることが出来ていた。彼らがいよいよ無軌道に好き勝手を始めたのはアンソニーただ一人が卒業を迎え目を離してからだった。
在学中、あの我の強いオージにそうと悟らせず手綱を握ってくれていた何よりの証拠だろう。婚約者であったレオナの方が、オージの行動については放任であったくらいだ。
暴走を許したのは自覚あってのことではあるが、アンソニーの自制心と比べてしまえばあまりに未熟であったなと、レオナは自らの行いを反省した。
レオナは本心では娘をオージなんぞにくれてやる気は更々ないという父の希望をよく理解していたけれど、その上で第二王子の婚約者、ひいては王子妃として生涯努める気持ちがあった。娘を溺愛するカタキヤーク侯爵の思惑に反していても、レオナ自身は王国貴族として国の為に尽くすことに吝かではなかったのだ。
オージは決して理想の王族ではなかったが、だからこそ自分にフォローの役目が求められることを理解していた。己の立場をよく理解して、王家の教育では常に優秀な成績をおさめ、学園でも品行方正に付け入る隙なく過ごしてきたのだ。
当然糾弾されたような男爵令嬢へのいじめ行為など間違っても行っていない。オージ側の勝手な一人相撲だ。
学園生活でオージがアマリリスに引かれていくことは端で見ていてもあからさまだった。彼女が複数の男性から好意を向けられて、この国の第二王子すら取り巻きの一人と成り下がっている惨状も、それに気付かず恋に浮かれる高貴な身分の醜態も。
レオナは自分がもっと色々なことができただろうとの自覚がある。偽りの弾劾で言われかけたように男爵令嬢を追い詰めて、早々に完膚無きまでに参らせることもできただろうし、追放するも妾にさせるも胸先一つだっただろうし、それ以上に彼女に溺れる王子を諌め、腹を割って話し、王家の矜持を語り聞かせ、時には彼にかしずくことで自尊心を満たしてやり、あの段階から関係を改善することも、困難ではあっても無理ではなかったろう。
けれどしなかった。そこまでの愛情もこだわりも一切抱けなかったの一言に尽きる。忠実なる臣下として、レオナの国家への献身の気持ちをもってしてもそこまでだった。オージはいつでも我が儘で勝手、未熟な相手だった。
国のために身を尽くす覚悟はあっても、怠惰で愚かな王子のために自己犠牲を捧げられるかどうかはまた別の問題だ、と、レオナはそう判断した。
王国の忠臣である貴族令嬢という観点からしても、第二王子の伴侶としてさほど重要でない外交や国民向けの親善行為に勤しむよりも、侯爵夫人として侯爵領の切り盛りに励む実務の方が自分に向いていると思えたし、やりがいも感じられた。レオナはすでにそのように思考を切り換えている。
長い目でみればその方が国の役に立てるだろうという自信があるし、そのための努力もできる。
「それは甘やかしが過ぎるというものではないかしら?兄の欲目と思われてしまいましてよ。わたくし、もっといいやり方もあったのだろうときちんと分かっておりますもの」
「それこそお前が聡明であることの証左だと思うけれどね。お前以外の誰が同じ立場にあろうとも、現状を上回ってよい結果など導けるとは、私には想像もできない」
「殿下を親身になってお諌めする立場を半ば放棄していても?」
「相手が端から話を聞いてくれないのだから、それも仕方なかろうさ。殿下の、忠言に耳を塞ぐ態度は私とてよく見知っているとも。あれはさすがに目に余るところがあった」
「でもわたくし、婚約者と立場は違っていても、お側に侍って諫言をもって殿下を正しい道へと導いてきた優秀な方をよくよく存じておりますの。その方の在学中は問題が表面化することもありませんでしたのよ。わたくしを含め誰もその方の卒業後の穴埋めは出来ませんでしたけれど」
レオナの意味ありげな流し目にぱちぱちと瞬いてから、アンソニーは苦笑した。
「その者がお前より優秀であったなら、分かりきっている年の差に甘えず在学中に全ての根回しを終えているべきだったろうさ。そうもせず此度のような騒動の種を残しているようでは底が知れるというものだ」
レオナとの婚約解消が成ったからといって、オージのアマリリスへの思いが今後実を結ぶかどうかは知らないが、もしも恋を貫く気があるなら王太子夫妻に子供の二、三人も授かるのを待てば良いのだ。そうすれば後継問題は解決で、あとはオージが継承権を放棄して大人しく領地に身を慎めば、その時には身分の差に惑うことなく好きな相手を伴侶にすることを許されるだろう。健康で仲睦まじい王太子夫妻のことだから、そこまで遠い日のことではないだろう。
レオナはそれを忠告できる側近が今のオージに残されているかどうかを知らないが、常識的なことだし自分で気付けばいいと思う。今や婚約者でもなんでもない人の人生設計がどうなろうが、レオナには無関係なことだ。
アマリリスがオージを思っているのか、王子妃となる自己を思っているのかも、レオナは知らないし興味もない。レオナ自身は当然、王子妃という立場になんら執着を見出ださなかったが。
「まあ、わたくしの憧れの王子さまですのよ。いくらお義兄さまといえど、そんなに手厳しいことを仰らないで」
アンソニーは慕わしいにいさまだが、父の意向もあって完全に家族と割り切るよりは男性として仄かに意識する下地があった。彼がどうかすれば婚約者であるオージ以上に、自身の伴侶の有力候補として目されていることを、父はレオナにも隠さなかったので。
アンソニー自身は秋波などおくびにも出さなかったが、その潔癖さが、純然たるいもうと扱いがかえってレオナを安心して甘えさせているところもあった。
尊敬できる立派な男性であり、もっとも信頼していると言って過言でない相手であり、そして誰にも告げたことはないが、直接血の繋がらない素敵な素敵なにいさまは、ひどい婚約者の態度に心のささくれていたレオナの淡い初恋でもある。
義理の家族に敬意をもって接し、自らの立場を弁えながらも向学心を失わず、己が身を律し常に冷静に立ち居振る舞う、美しく賢い年の近い男の子。身分としての王子ではなく、そのありようが、まさにレオナの思い描く王子さまだった。
第二王子妃となる覚悟に嘘はなかった。それはオージ個人を見据えたものでは無かったかもしれないが、オージに流れる青き血に身を呈して尽くすだけの気持ちがあった。そのように教育されるなかで出会った王家の他の人々のことも人間として嫌いではなかった。自分もその一員になれることが誇らしいと思えるほど、尊敬出来る立派な方々であった。
けれどいくら自分も愛情の面では手を抜いたからと言って、やはりあのオージは酷い。卒業祝いのパーティーがとどめですっかり愛想も尽きたが、あちらがあれだけ分かりやすく断ってきたのだから、そこに便乗することは親切なくらいだと思ってほしい。
レオナの国への忠誠は今を持っても本物だが、それを王家への忠誠と同じくしなくとももう良いだろう。
父に従ったわけではなくあくまでも後押しをありがたく受け取ったとの自覚をもって、レオナは物心もつかぬうちに第二王子との婚約が整って以来はじめてのことながら、とうとう己の幸せを追求することを自らに許した。
今や自分には、本当に好きな人と結婚して家庭を築く、そんな未来が開けているのだ。
「憧れか。お前にそこまで言ってもらえる果報者には興味があるね。その名を聞いても?」
「有名な方ですからご存じだと思うわ。カタキヤーク侯爵家のアンソニー様と仰るの」
「おや。それはカタキヤーク侯爵家のレオナ嬢の兄ではなかったかな。それとも新しい婚約者だったろうか……?」
くすくすと屈託ない笑みを織り混ぜながら、二人は茶番のような会話を楽しんでいた。
「……そうね、とっても素敵な婚約者だわ。そしてもうすぐ素敵な素敵な旦那さまになるのよ」
「ああ、それは……素晴らしいな。そのアンソニーはなんという果報者だろう。ではレオナ、今後はその世界一幸福な男に相応しい呼び名を使うというのはどうかな?」
「そうね。ええ、お義兄さまのことは勿論大好きでしたけれど、もうそうして呼ぶのはおかしいのね。……ねえ、トニー」
「そうだね、レオナ。……ねえ、レオナ。心の整理に幾らでも時間を掛けてほしいと言ったのは、嘘偽りのない本音だったのだよ。それでもレオナがそう言ってくれるなら、期待してしまうというのもまた、正直なところなんだ」
「そのお気持ちが嬉しかったのも本当ですけれど、わたくし、過ぎたことにいつまでもぐずぐずとこだわるつもりはありませんの。それよりも未来のことを考えたいわ。だってトニーはもう一年も早く領地経営を実践で学んでいるのですものね。ただでさえ出遅れているのですもの。わたくし一日も早く領地の役に立てるよう頑張りますから、どうぞご指導くださいませね」
レオナは美しく朗らかに笑っている。
領地を任される立場こそ変わらないものの、このレオナと婚姻関係を結べば、遠縁の養子として領地を引き継ぐのではなく直系の娘の婿としてやっていくことになる。
カタキヤーク家にいくら近くとも所詮出自はよそ者という扱いをする古くからの領民や縁戚に対しては直系の娘という明確な後ろ楯を得て、自身は婿としてあくまで領地経営の実力だけで勝負ができる。それはアンソニーにとって立ち位置を磐石とする、望ましいことだった。
「何、今までレオナが受けてきた教育ほど厳しいことはないだろう。うかうかしていては私の方が追い抜かれてしまうというものだ。私も日々学びの身で大きなことは言えないけれど、これからは共に成長していこう」
それにしてもアンソニーは心底不思議だった。
オージがレオナを完全に自分のものだと気を抜いていたことはともかく、それであってもこんなに素晴らしい女性の存在は認識していて、よくも他の女になど目を移せたものだと。誰がどう考えても、レオナ以上の伴侶など望めないと思うのだが。
あの学園で義父の予言通りレオナをないがしろにするオージを見て、いくらオージの性質とはいえ、価値ある宝石を足蹴にしてガラスを磨いてはしゃぐような、そんな人間が実在することに信じられない気持ちがしたものだ。
驚愕と義憤を感じながら、そちらがその気であるのならばと、ほんの少しばかりアンソニーも細工を弄した。レオナだっていくらなんでもあの傲慢で愚かなオージのもとに嫁ぐよりも自分の方が幸せにしてやれそうだという思いがあって。
オージの取り巻きの立場でアマリリスを称え、少しばかり気のある素振りを見せてやり、アマリリスには油断を誘い、オージには目の前の少女が良いものだと錯覚させた。
しかしどうだろう。狙ってやったこととはいえ、自分の甘言を本気にする少女も、狙いのオージどころか他の側近すらアマリリスに陥落させられていくところも、全く理解の外だった。彼の周辺はよっぽど認知が歪んでいるのか、アマリリスは何か邪悪な術でも使っているのではないかと訝しんだほどだ。
そんなおいたは学園で卒業した。これからは責任ある次期侯爵として、愛しい妻と支え合って精一杯力を尽くし国を盛り立てようとアンソニーは思った。




