生存
鉄の匂いがする?
次第に意識が覚醒する。
「そろそろ、起きてもいいんじゃない?」
エアリスの声で完全に引き戻された。
すると、意識を失う前のことがフラッシュバックする。
がばっと起き上がる琉海。
「あの鎧の男は……つッ!?」
跳ね起きた瞬間、痛みで表情をしかめる。
「まだ、あまり激しく動かないほうがいいわよ。複製したけど、完治まではいかなかったから」
「それよりも、奴らはどこに?」
「さあ、この村の住人を殺して、どこかに行ったわ」
「アンリは?」
「彼女は担がれて連れていかれてたわね」
エアリスは淡々と琉海の質問に答える。
その言い方が妙にイラっとする。
だが、このイラつきはエアリスにじゃない。
自分にだ。
もっとうまくできたんじゃないか。
最初に魔物が脅威だと思ってたのだから、魔法なり覚える努力をするべきではなかったのか。
自分を責める言葉がどんどん浮かんでくる。
「この村の人達で生き残りは……?」
「いないわ。ルイが気を失っている間、周辺を見てきたけど、全滅よ」
体はだるい。気持ちも落ち込んでいる。
それでも琉海は立ち上がった。
「それとこれは忠告よ。今回は心臓から逸れていたから復元できたけど、そう何度も直すことはできないから、肝に銘じておきなさい」
「ああ……わかった」
琉海の倒れていた場所は血だまりができていた。
おそらく、琉海の血だろう。
これだけ血を流しても生きている。
これでエアリスには二度、死地を助けてもらったことになる。
「助けてくれてありがとう」
「な、なに言っているのよ。ルイに死なれたら私も困るのよ。私のためにやったんだからね」
わかりやすく照れるエアリス。
照れているエアリスを見るのは初めてでなんだか、微笑ましく感じた。
「なに、笑っているのよ。あなたは死にかけたのよ」
口元を緩めている琉海に、エアリスはあきれた表情をしていた。
「いや、なんでもない。なあ、ちょっと村を見て回りたいんだけど」
「ええ、いいわよ」
もしかしたら、エアリスが見落として、生き残りがいるかもしれないと、淡い期待を持ちつつ、琉海は歩を進めた。
しかし、それは後悔でしかなかった。




