生還
爆発が起きた場所は、辺り一面が焦土と化していた。
燃えた草花。
近くにいた人間は無事では済まないだろう。
そんな中――
立ち込めている黒煙の中で動く人影があった。
それも3人。
ケホケホと2人の声が煙の中から聞こえてくる。
そして、風にさらわれ、煙が晴れると、エアリスと静香を庇うように立っている琉海がいた。
琉海の背後には爆発が届かなかったのか、地面には青々しく草花が風に揺られていた。
「逃げたか」
琉海は辺りを見てそう呟く。
琉海の後方以外は悲惨なことになっていた。
熱風を伴う爆発が草花を燃やしたのだろう。
琉海が武器強化した剣で横に薙ぐのが遅れていたら、無事では済まなかったかもしれない。
まだ、焦げ臭さが残るなか、ルイは地面にキラリと光るものを見つけた。
持ち上げてみると、微かに煤を被った銀のリングだった。
腕に嵌めることのできそうなリング。
これがアクセサリならブレスレットかもしれない。
軽く汚れを拭いてみると、破損はなく無傷のようだった。
「これは……?」
ブレスレットの周りには読めない文字が無数に刻まれている。
びっしりと刻まれた文字はただの模様には見えない。
何か理由があって刻まれたものに思えた。
琉海がブレスレットを眺めていると、エアリスが近づいてくる。
すでにマナを渡しており、服や傷は癒えていた。
「ねえ、それ貸してみて」
「ああ、ほら」
琉海はエアリスに渡す。
エアリスはじっくりとそれを見て、息を吐いた。
「これのせいね。私が粒子化できなかったのは」
「なんなんだ。それ?」
「ここに刻まれているのは、古代文字よ」
「古代文字?」
琉海が聞き返すと説明してくれた。
古代文字は、まだ、人間が精霊と密接に繋がりを持ち、マナを扱うことのできた時代。
武器や防具に刻むことで、強力な武器を使うことができたようだ。
しかし、次第に人間は精霊の力を必要とせず、独自の力で魔法を生み出した。
精霊術を扱える者は減り、古代文字も使う者はいなくなった。
「ここに刻まれているのは、精霊の能力を制限するものみたいね」
「制限……それで、粒子化できなかったのか」
「ええ。でも、古代文字なんて久しぶりに見たわ。誰がこんなものを作ったのかしら」
「さあな。あいつを捕まえることができていたら、聞けただろうけど」
琉海はそう言って、辺り一帯に痕跡がないか見るが、何もなかった。
もし、残していても、さっきの爆発で全て吹き飛ばされているだろう。
琉海は静華のほうに視線を向けた。
「静華先輩は大丈夫でしたか?」
「え、ええ。大丈夫よ」
しかし、静華は立てずにいるようだ。
琉海は心配になって近づくと――
「そ、それ以上、近づかないで!」
静華が手を前にして制止するよう促す。
「い、今来られると、抑えつけられなくなる……」
静華は誰にも聞こえないほどの小声で呟く。
「…………? 本当に大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だから。ちょっと落ち着いたら立ち上がるから」
静華はそう言って深呼吸をした。
様子の可笑しい静華に首を傾げる琉海。
(大丈夫って言っているし、様子からして、怪我もなさそうか)
心配しなくても大丈夫だろうと判断し、静華が落ち着くまで待って三人で王都に帰った。




