避難
塀の上で巡回する警備兵が爆発に驚く。
近くでの爆発。
熱を伴った爆風が顔面を叩く。
「な、何が起きた!?」
大きな爆発音に他の兵士たちも何事だと集まり出す。
塀の上にいる者だけでなく、避難中の王都の住民たちにも轟いていた。
塀に遮られていても、空に立ち昇る黒煙が塀越しから見える。
外で何かあったんじゃないかと不安に包まれる。
内と外で様々なことが起きてパニックになる者もいた。
「狼狽えないでください」
そんな中、毅然とした態度で避難中の民を一喝する者がいた。
貴族の少女。
公爵家令嬢のティニア・スタント。
後ろにアンジュを従えて混乱している者たちの正気を保たせる。
「私たちの代わりに戦ってくれている人たちがいるんです。私たちはその人たちの迷惑にならないように速やかに避難する必要があります。不安に思うのも仕方ありませんが、今は――今だけは、避難することだけを考えましょう」
ティニアはそう言って避難民を先導する。
戦っている人が誰とは言わなかったが、ティニアの頭の中には、ひとりの少年が思い浮かんでいたことだろう。
避難場所は貴族住宅区画にある場所。
そこに地下への道があり、そこから王都の外へ出ることができる。
ティニアはそこへの誘導者として平民たちを導いていた。
ティニア自身もさっきの爆発音は気になっているが、今は避難することに集中するようにした。




