↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
123/195

回収

 とめどなく放ち続ける榊原。

 煙の中からなんとか飛び出したエアリスだったが――

 服はボロボロ。

 顔も煤だらけ。

 息も絶え絶えで痛々しい火傷の痕もあった。


「どうして……」


 エアリスは小さく呟く。


「頃合いか」


 榊原は火球を放ち続け、その中に榊原は紛れた。

 エアリスが避けている最中、蹴りが腹部を襲う。


「うッ!」


 腹部を圧迫され、苦悶の声が漏れる。

 エアリスは追撃を恐れ、剣を薙ぐ。

 しかし――


「遅い」


 榊原の剣の方が速く、エアリスの剣は宙を舞った。

 そして、榊原の手がエアリスの首を掴む。


「ぐッ!」


 首を絞められ、地面から足が離れるエアリス。

 もう片方の剣で反撃しようとするが、それも弾かれ、手から離れてしまう。


「うぐっ!」


 首を掴む手の力が増したのか、エアリスの口から苦しそうな声が聞こえてくる。

 このままでは、エアリスが死ぬ。

 静華はすぐさま魔法を放とうとした。

 だが、魔法は具象化されなかった。


「…………ッ!?」


「会長の今の精神状態じゃ、魔法は使えない。下手に魔法を使おうとして誤爆されても困るから、やめときな」


 榊原の言葉に苦虫を噛み潰した表情をする静華。

 精神状態。

 静華の心は解き放たれた感情が渦巻き、自分で制御できていなかった。

 薄々はわかっていた。

 八ヵ月と短い期間だが、魔法を使い続けてきたのだから。

 魔法を使用する際は、平常心を保つことが重要となることを。

 これが、基本であり、根本なのだと知っている。

 だが、人間の心はそう簡単に平常心になることができない。

 だから、クリューカの元でどんな状態でも平常心を保てるように訓練した。

 しかし、戻ってきた感情は理性で抑えつけられるほど、小さいものではなかった。

 榊原は静華を一瞥し、邪魔にならないと判断したのか、視線をエアリスに向けた。


「な……ん……で……」


 首を絞められて苦しい中、なんとか言葉を紡ぐエアリス。


「聞かれたことにホイホイと答えるような馬鹿じゃないよ」


 榊原は右手に持つ剣の切っ先をエアリスの左胸に当てる。


「上級精霊の霊核を回収するのは、初めてだから本当か半信半疑なんだけど、核がここにあるってホント?」


 榊原は人間の心臓がある箇所を剣で示す。


「…………」


「だんまりか。まあ、開いてみればわかることかな」


 さっき自分で言ったことを棚に上げて喋り、剣を刺し込もうとする。

 エアリスの服を貫き、柔肌に触れる。


 瞬間――


 榊原とエアリスの間を鋭い暴風が空気を切り裂いた。

 榊原はエアリスの首から手を離し、躱した。

 さらに、二発目。


「おっと」


 榊原はそれも躱す。

 だが、躱したことで追い詰めたエアリスと距離が離れてしまう。


「追いかけてこれるとはね」


 エアリスを庇うように立っているのは、琉海だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。