夢見る乙女
王都の中央。
王宮近くのコロシアムでドラゴンと戦闘を繰り広げる少年の姿がそこにあった。
両手に二本の剣を携え、数多の連撃を繰り出す。
それは苛烈だった。
幾重もの甲高い音がコロシアム内に響かせる。
ドラゴンも衝撃で体を怯ませるが、ただそれだけ。
ドラゴンの躰には傷ひとつなかった。
再び、果敢に攻めようとした琉海だったが、ドラゴンより先に琉海の剣が先に限界を迎えてしまう。
《創造》をまだ扱いきれていないことを実感させられる。
その隙を魔薬に侵された三人が襲いかかってくる。
判断は一瞬。
深追いせず、回避に専念して後退する。
三人もドラゴンの守護者のように琉海を追おうとはせず、ドラゴンの間合いの範囲内で動きを止める。
一連の戦いを王宮の上階から眺めているのは、王女であるクレイシア。
王族なのだから、真っ先に避難させられているはずなのだが、クレイシアは琉海の戦いに見惚れていた。
ドラゴンに立ち向かう少年。
それも1人で。
まるで悪いドラゴンに挑む勇者。
お伽話のような光景がそこにはあった。
クレイシアは夢中になる。
「すごいわ……」
そして、夢見る乙女は初めて小さな恋心を覚えた。
まだ、恋慕するほどのものではない。
勇者に恋をするお姫様というお伽話のような構図に酔っているのかもしれない。
それでも彼女の頬は赤みを帯び、口元は笑みを浮かべていた。




