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襲撃

十月二十一日誤字修正


あらすじ

長い間空いていたのですごく簡単なのを一応入れておきました。

しばらくしたら消す予定です。


現国王      病気でふせっている

次男のグラッド  次期王位簒奪を目論見反乱を起こす

長男のアルフ   現在城に籠城して交戦中


最初に違和感を感じたのは侍女長とサロンなどへの出席のお断わりの手紙を書いている時でした。

窓の外で何かが動いた気がしたのです。

私の部屋から見えるのは木だけです。もうちょっと明るくなれば、花とか鳥とかも見えるのですけどね。

それに今日は風のない日で木が動いたとは思えません。

ただ、その時は気のせいだと思いました。


そちらにあまり気を向けている暇はなかったので。

侍女長が手伝ってくれているとはいえ、

サロンへの出席のお断りの手紙というのは、開催主へだけでなく、

出席する予定だった主だった人まで書かなくてはいけません。

ですので出さなくてはいけない手紙の数は膨大になります。

それがいくつもあるのです。ああ、なんで反乱を今週に起こしたのだろう。

来週にしてくれればよかったのに。来週はあんまり予定入ってなかったから。


そう思いながら、ナダス伯爵夫人という、ふと・・ぽっちゃりけ・・・・・あっ、

そう、ふくよかな女性に向けての手紙を書いている時の事です。

私はそれに気づきました。

「クロスボウ取って」

気づいたので侍女長に指示を出します。

「えっ、はっはい。」

侍女長はまだ気づいてないようで私の気まぐれだと思っているみたい。

壁にかかっているクロスボウを取ってきてくれた。矢は装填済み。私には少し重い。


ここで私の普段の変わった行動が役に立ったね。

貴族なのに平民の使用人たちとお茶会開いたり、平民の使用人たちにマッサージしたり、

突然抱き着いたりといった。

そう、役に立つこともあるんだよ。だからこれからも続けて行ってもいいよね。


「次は叫んで」

壁のほうに歩きながら次の指示を出したけど、侍女長は答えてくれません。なぜでだろう?

ああ、どんな内容を叫べばいいのか分からないんだね。

「てきしゅー、って叫んで」

ここでやっと侍女長にも理解が及んだみたい。

自分で叫んでもよかったんだけどね。私が叫ぶとのどが・・・・・。なんで私の体はこんなに弱いかな?


「てっ、てきしゅーーーーー!!!」

うん、いい感じ。あとはっ、と


「わたしはただの(けん)

私はクロスボウを構えてかすかに見えた人影に向かって撃ちます。

反動を完ぺきに抑え込んで撃ったクロスボウの矢は見事標的に当たりました。

次はないと思いますけど一応窓から離れて警戒します。

外を見ていましたがちゃんと家の私兵の人たちが怪我を負った襲撃者を追いかけていきます。

まあ、私が襲撃の前に対処したから襲撃はできなかったんだけど。

複数人いたので怪我を負った人以外逃げられるだろうけど、

いや、(うち)の人たち優秀だから捕まえちゃうかも。

うん、襲撃はもう大丈夫そうだね。


じゃあ、今度はこっちだね。

「お嬢様、その、腕は大丈夫ですか?」

侍女長が心配してるように現在腕が赤くはれています。まあまあ、痛いです。

なんでこうなったのかっていうと、

「わたしはただの剣」とか呟いた事から分かるように自己暗示で筋肉の枷を・・・・

ってあんまり時間がないんだった。

心苦しいけど、今は侍女長は無視で。


机に座りなおします。

そして急に立ち上がります。ポイントはわざと机に腕がぶつかるように。

「あうっ」

痛い。

けど我慢です。まだやることがあります。

次は走ります。と言っても机から窓際までの短い間ですが。

そしてこけます。ポイントは腕を摩擦やけどするようにズザーッと。


「っーーー」

さっきとはまた違ったひりひりするような痛みが走ります。

でも我慢です。あと一つやることがあります。

私はベッドの脇に置いてある救急箱を取ってきます。


「この軟膏を摩擦やけどしてる所に塗って包帯を巻いて」

侍女長に頼みます。

私の急な行動に驚いて、私を止めることのできなかった侍女長でしたが、

素早く手当をしてくれます。

なんでこんな行動をとったのは分かっていないと思いますが、

それでも頼みを聞いてくれる侍女長は有能だと思います。


主人(給金は家から出てるので少し違いますが)のいう事なら、何も聞かずに実行する。

そして私が間違ったことをしたと思ったら多分止めてくれるでしょう。

今回は無理でしたが。まあ、反応できないと見越してやった私が悪いのですが。

まあ、あれも必要なことでしたし。


そんな事を考えながらてきぱきとした侍女長の手当てを見てると、

階段をダダダッ、と駆け上がる音が複数聞こえます。

賊は逃げて行ったけれど、一応警戒のために家の私兵の人たちが来たのでしょう。

「お嬢様、ご無事ですかっ!」

古くから家に仕えてくれているという私兵部隊の隊長さんが、バンっ、と扉を開けて入ってきました。

乙女の部屋なんですからノックぐらいしてくれてもいいのに。


「お、お嬢様、ああ、何と言う事でしょう。」

何か嘆きだしました。なぜなんだろう。

多分こんな感じかな。

扉を開けて見えたのは侍女長に包帯を巻いてもらっている私の姿。

つまり、私が賊に怪我させられた。そうなると、隊長は仕事を果たせなかったという事に。


もう歳だからか、あまり恐怖感はありませんが、それでも男へのトラウマから近づかなかったのですが、

仕事に誇りを持っている人だと聞いています。

苦手な男だとはいえ、このまま放置はかわいそうなので誤解を解きましょう。


「これは賊に傷つけられたのではありませんよ。

 賊がいたことに驚いて机にぶつけてしまった後に、さらに転んでしまっただけです。」

あれ?それでも顔がはれない。

「それでも賊を侵入させてしまったことに変わりはありません。

 そのせいでお嬢様が傷ついてしまったなど、どう旦那様に報告すれば。」

いや、まじめ過ぎ。普通に聞いたら今のはどうやっても私のせいでしょう。

というか、実際は私自身が傷つけたことだし。

どうにか元気づけなければと思っていると、もう隊長はスッと姿勢を正します。


「お嬢様、用心のために今日は本館の方にお移り下さい。」

「分かりました。」

切り替えができる人だね。うん、家の人間は優秀だね。

「では、お嬢さま。私は着替えなどを準備して向かいますので。」

侍女長が後から来ようとするけど、それはちょっと困る。

「準備とかは後でいいから一緒に来て。」

私は心細げな顔を作る。

私と一緒に貴族とかのお客さんを迎えることもある侍女長には分かって、

私兵の人たちには分からない程度の演技。

これで侍女長はついて来てくれるはず。


「気がまわりませんでした。では私も一緒に。」

うん、完璧。

「ではお嬢様、二人ほど兵を側につけますので。」

隊長さんがそう言うと二人の私兵の人が前に出る。よく訓練された部隊だ。

けどちょっと困る。けどこの非常時に贅沢は言ってられない。けど・・・・・・・・。

まあ、仕方がないか。

そう結論を出して行こうと思った矢先、侍女長が隊長に耳打ちした。

私は体が弱い分、感覚が鋭いので話の内容を拾ってしまいました。


「襲撃が有ってお嬢様は少し気がまいってられます。男性ではなく、女性の兵を連れてきてください。」


ああ、心配されてるなあ。

それに男性に恐怖を感じるとか、苦手とか言わないあたり兵の人たちへの配慮もしてある。

本当に侍女長は完璧。


さっき前に出た二人が、女性の私兵を走って呼びに行ってくれた。

男性には行きにくいところがあるから、家では女性の私兵もそこそこいる。

容姿でも判断してるという噂があるほどに家の女性の私兵の人たちは美人さんばかりだ。

お母様から聞いたところによると実際に容姿でも判断してると言ってた。

貴族の見栄だね。護衛も美しくって。


私はたまに甘味とか差し入れに持って行ったりしてるから顔見知りもいる。

ただ、基本的に私兵の人たちは本館の方で待機しているから、別館にいる私には少し遠い存在だ。

その証拠に今回来た二人は美人さんだったけど、話したことすらない。顔は知ってるけど。

「では、お嬢様。私の後について来てください。」

一人が先頭で、もう一人が私たちの後ろで護衛されて、

少し侍女長に寄りかかりながら本館まで歩いて行った。


朝日によって庭の木で作られた影が少し不気味だった。



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